「兄さんは、お母さんのお腹の中で、40年間何をしていたの」
「芸術家、アーティストになろうとずっと考えていたんだよ
でも40年目にやっと気づいたんだ
日曜画家や自費出版の作家ならいつだってなれるってね
問題はアーティストで収入が得られるかどうか
ってことだけが問題だったんだ」
「兄さん、そもそも、アーティストって何なの
カタカナにするとかっこよく思えるだけで
単に働かずに楽をして儲けたいってことじゃないの」
「そうなんだ
そこのところがよくわからなくなって
40年目に外の世界に出たんだが
人生はすっかり終わってしまってて
こうして巡礼の旅をしてるわけだ」
兄、瀬渡内三はそう言うと
空のかなた、まるで冥王星でも見つめるかのように
目を細め、小さなためいきをついた
梅雨なのに晴天の青空が少しまぶしかった
「芸術家、アーティストになろうとずっと考えていたんだよ
でも40年目にやっと気づいたんだ
日曜画家や自費出版の作家ならいつだってなれるってね
問題はアーティストで収入が得られるかどうか
ってことだけが問題だったんだ」
「兄さん、そもそも、アーティストって何なの
カタカナにするとかっこよく思えるだけで
単に働かずに楽をして儲けたいってことじゃないの」
「そうなんだ
そこのところがよくわからなくなって
40年目に外の世界に出たんだが
人生はすっかり終わってしまってて
こうして巡礼の旅をしてるわけだ」
兄、瀬渡内三はそう言うと
空のかなた、まるで冥王星でも見つめるかのように
目を細め、小さなためいきをついた
梅雨なのに晴天の青空が少しまぶしかった