『聖☆おにいさん』予告編
The Gallery In My Heart / Yumi Matsutoya (1979)
にゃんたろうがしきりに顔を舐めるので
内三は目を醒ました
「痛いよ、にゃんたろう
なんだ、この線香の匂いと木魚のポクポクいう音は
おい海老三、俺はまだ死んでないぞ」
「あ、兄さん、起きたのかい
ぐっすり寝てるから蚊取り線香をつけておいたんだよ
あれは、木魚じゃないよ、ウドムおじさん、いや、おばさんが
ドラムの練習してるんだよ
忘れたの、僕たちバンドをやるんだよ」
「えっ、あのチェンマイのオカマの谷おじさんが帰ってきてるのか」
早起きの朝顔はもう眠ってしまった
空の青は彩度高く移りゆき
蚊取り線香は夕暮れの匂い
少年であろうと70歳であろうと心の中には
同じ夏が何度も何度もやってくるのだと内三は思った
たとえ色彩の薄い俺にだってきっと
燃えるような青を作り出すことができると内三は信じた
それが悲しいほどの命の色だと思った
第1章 完
内三は目を醒ました
「痛いよ、にゃんたろう
なんだ、この線香の匂いと木魚のポクポクいう音は
おい海老三、俺はまだ死んでないぞ」
「あ、兄さん、起きたのかい
ぐっすり寝てるから蚊取り線香をつけておいたんだよ
あれは、木魚じゃないよ、ウドムおじさん、いや、おばさんが
ドラムの練習してるんだよ
忘れたの、僕たちバンドをやるんだよ」
「えっ、あのチェンマイのオカマの谷おじさんが帰ってきてるのか」
早起きの朝顔はもう眠ってしまった
空の青は彩度高く移りゆき
蚊取り線香は夕暮れの匂い
少年であろうと70歳であろうと心の中には
同じ夏が何度も何度もやってくるのだと内三は思った
たとえ色彩の薄い俺にだってきっと
燃えるような青を作り出すことができると内三は信じた
それが悲しいほどの命の色だと思った
第1章 完