河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

6月18日(火)のつぶやき

2013年06月19日 | ソーラー農作園芸

色彩の薄いせわた兄弟の巡礼 第26話

2013年06月19日 | ソーラー農作園芸
にゃんたろうがしきりに顔を舐めるので
内三は目を醒ました

「痛いよ、にゃんたろう
なんだ、この線香の匂いと木魚のポクポクいう音は
おい海老三、俺はまだ死んでないぞ」

「あ、兄さん、起きたのかい
ぐっすり寝てるから蚊取り線香をつけておいたんだよ
あれは、木魚じゃないよ、ウドムおじさん、いや、おばさんが
ドラムの練習してるんだよ
忘れたの、僕たちバンドをやるんだよ」

「えっ、あのチェンマイのオカマの谷おじさんが帰ってきてるのか」

早起きの朝顔はもう眠ってしまった
空の青は彩度高く移りゆき
蚊取り線香は夕暮れの匂い

少年であろうと70歳であろうと心の中には
同じ夏が何度も何度もやってくるのだと内三は思った
たとえ色彩の薄い俺にだってきっと
燃えるような青を作り出すことができると内三は信じた
それが悲しいほどの命の色だと思った


第1章 完