尖閣諸島で逮捕した中国船長を、「処分保留」で釈放した。
その船長は日本領海内で不法な漁労活動をしていた。その上、海上保安庁の巡視艇に故意に衝突をしたのだ。だからこそ、「公務執行妨害現行犯」で逮捕したのではなかったのか。
例によって、中国は、「不当逮捕だ、即刻釈放!」と、声高に叫びだした。しかも、次々に制裁措置を強化していった。
日本政府は、「日本領海内のことであり、国内法によって粛々と対処する」と、当初は威勢のいいことを言っていた。
「そりゃぁそうだ、尖閣諸島は日本領土なのだから・・・」
日本人は誰だってそう思っていた。むしろ、「菅政府、なかなかやるではないか」と、頼もしくも感じていた。
一方、中国政府は、凄まじい対応に出た。旅行の中止、政府高官の交流中止、白樺の掘削再開、レアメアースの輸出中止。挙げ句の果てに、中国へ出張していた日本人の4人を逮捕した。
そのように中国政府の措置は拡大の一途。一方の日本は、「両国とも冷静に対処すべき」の言葉を、仙石官房長官らが、気弱に呟くのみであった。
アメリカとしては、幾度か、「尖閣諸島は日米同盟の範囲内」という発表をしてくれた。
それがどのような意味を持っていて、しかも、効力を発揮したのかしなかったのか、私にはよく分からない。いずれにしても、アメリカ国益を考えての話だ。
しかしながら、突如として、「船長を処分保留のまま即時釈放」へと、事態は急変した。
私には、その間の交渉は知らない。菅・オバマ会談が行われたが、その結果かどうかもしらない。ひょっとしたら、オバマ大統領から菅総理に対し、「地域の摩擦は慎重に!」とでも言われたのかもしれない。オバマ大統領にしてみれば、中国元の切り上げ問題のほうが大きい。
仙石官房長官の言によれば、「この問題は検察の判断」だそうだが、誰だってそんなことを思っていない。もしそれが真実だとすれば、政治主導を標榜していた菅政権が、スタートから官僚主導に引き摺れたことになる。
我々国民は、またまた「弱腰日本」を思い知らされた。
「日本が中国の圧力に屈した」という屈辱を感じ、「尖閣諸島の領有権は怪しくなっていくのだなぁ」ということもあらためて実感した。
これは竹島問題の悪い例となり、北方領土の模範解答を出してしまったようなものだ。
やっぱり日本は弱い。弱腰だ。
国は領土と国民の生命・財産を守るために存在するのだ。
竹島は韓国に実行支配されたまま。北朝鮮の拉致被害者は取り戻せない。北方領土も、もはやロシアが支配している。尖閣諸島も怪しくなった。
我々日本国民は、すぐに国の対応を批判する。しかし国の不手際や弱気は、すべて国民の意識の浅さや無気力にあるのではないか。
今回の問題に関しても、国に猛省を求めたいが、同時に、国民の凛とした姿勢と行動力にも大いなる反省点があるのだ。
国民よ、もっともっと「国」について考えようではないか!
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