跳び越えて団栗踏まず通りけり ひよどり 一平
(とびこえてどんぐりふまずとおりけり)
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団栗を踏まなかったからと言って、自慢したいわけではない。
ほんのちょっとの気遣いをしただけのこと。
何のために、誰に気遣ったのか?
団栗に気遣ったのかもしれない。
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はからずも団栗五個と向き合へり 一平
片方の足を下ろす段になって、落ちたばかりの団栗が眼に入った。
「あつつ、いけねえ!」
踏む足を少しずらして、どんぐりを跨いだ。
団栗は、それぞれつるんとした顔で、私を見上げた。
喜んでくれたのかどうか、私にはわからない。