猖獗を極めていた酷暑が、見事に姿を消してしまった。
気象関係者はさまざまな解説をしてくれているが、後追いの論説などに興味はない。これからの天候のほうが気になる。
先が見えないのは天候ばかりではない。景気の行方も不透明だ。
そのような中、安保法制の論議だダラダラと続けられている。
一方では国家・国民の安全のためには必要な法案だと力を入れ、他方は「憲法違反だ」、「戦争法案だ」と叫んでいる。
およそ議論が噛み合っていない。まるで双方とも、議論を噛み合わそうとしていない。
私はこの法案に反対ではない。懸念がなくもないが、やむを得ないと思っている。
理由の一つは中国の軍備拡張だ。まだまだ留まる処を知らない。しかもその軍備を背景に、周囲に力による威圧を加えている。
ベトナムなどと領有権で争っている南沙諸島に、軍事基地や飛行場を作っている。
「尖閣諸島は日本の固有の領土」と主張しているのに、しばしば公船に領海侵犯をさせている中国。
軍事力を背景に、現状変更を強行しようとしているとしか考えられない。
二つ目の理由は、同盟国アメリカの弱気だ。もはやリーダーたる気概が失われているように思えてならない。
核兵器を保有していないし、今後も持たない日本にとって、何を以って核の抑止力を強めればいいのか。
何によって国の平和と国民の安全を守ればいいのか。
軍備反対や戦争放棄を叫ぶだけで、国土や国民の生命・財産を守れるのだろうか。
平和外交を続けていれば、どの国も日本を攻めてこないと言えるのだろうか。
確かに今までの70年間、日本は平和を享受することが出来ていた。
しかしそれは、決して憲法九条があったためでもなく、戦争を放棄していたためでもない。アメリカの同盟国であったことも理由の一つだったのではなかろうか。
そのアメリカが、オバマ政権になってから、弱体の道を彷徨い始めてように思えてならない。
今こそアメリカとの同盟関係を一層強固なものとし、抑止力を高めるべきではなかろうか。
民主党を初めととする野党は、ひたすら「戦争法案」とか「徴兵制の復活」とか「地球の裏側へ戦争に行くのか」と叫んでいる。
日本という国土と日本国民の財産と生命をどのようにして守って行くのか。
情緒的な空疎な議論ではなく、現実に即した大人の議論をしてほしい。今日で8月は終わりなのだ。
空論の虚しかりけり八月尽 ひよどり 一平