今週は、この2冊。
ギリシア人の物語Ⅰ/ミレニアム2/
■『ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり//塩野七生』 2016.3.5
『ギリシア人の物語Ⅰ』を読む。
塩野七生氏の歴史書は、どれも読みやすく、面白い。
この著書も大変面白く、楽しく読めた。
肥沃で豊かなペルシアの王様は、なぜ痩せて狭い平野と小さな島々ばかりのギリシアがほしかったのか、誰しも疑問に思うことだろう。
もしかしたら、肥沃で広大な土地を領有しているペルシャ王が、痩せて狭いギリシアや小さな島にすぎないエーゲ海の島々にまで領土欲を抱くはずがない、と考えたのかもしれなかった。(p105)
その夜の戦勝祝いは、ペルシア王クセルクセスがマルドニウスに残していった豪華な天幕の中で行われた。
ギリシア都市国家連合の全軍の司令官や隊長を招待した席で、総司令官でもあるパウサニアスは言った。
「これほどの富に恵まれていながら、クセルクセスはなぜ、これとは比べようもないくらいに貧しいギリシアを征服したいと思ったのだろうか」
これには、全員が笑った。いつもは厳粛な顔つきを崩さない、アリステイデスまでもが笑ったという。(p264)
しかし、覇権意欲の強い領土型の国家は、痩せていようが小島であろうが、自国内に組み入れないかぎりは満足しない人種なのである。
ペルシア王が征服に乗り出すときは、事前通告を発するのが常だった。それが、「土地と水」を差し出せ、というのであっったのも、ペルシアが領土型の国家であったことを示している。(p105)
【巻末年表】
紀元前490年
第一次ペルシア戦役が本格的に始まる
春、ペルシアの第二軍(一万五千)がマラトンの平原へ向けて進軍を開始
ギリシア軍(アテネ軍九千とプラタイア軍一千)、マラトンへ向かう
夏、両軍がマラトンの平原で衝突(「マラトンの会戦)。指揮官ミリティアデスの作戦が奏功し、ギリシア軍が大勝。スパルタ軍は一日遅れて戦場に到着した。ペルシアの第一軍は戦場に現れず、退却した
紀元前489年
ミリティアデス、ペルシア支配下のパロス島攻略に向け進軍
八月、パロス攻防戦。ミリティアデス、脚部に重傷を負う
秋、攻防の決着がつかず、ギリシア軍が撤退を開始
帰還したミリティアデス、対立勢力に告発され、有罪判決が下された後、脚部の負傷がもとで死去(六十一歳)
紀元前480年
第二次ペルシア戦役が始まる。
ペルシア軍は陸上軍二十万、海上軍八百隻で臨む。対するギリシア軍は陸上軍一万、海上軍三百三十隻足らず。
春、ダリウスの後継者クセルクセス率いるペルシア軍がサルディスを発ち、ヘレスポントス海峡を渡ってギリシアへ入り、北部ギリシアを南下してアテネを目指す
八月、ペルシア軍がテルモピュレーでギリシア軍を攻撃、「テルモピュレーの戦い」が始まる。
スパルタの重装歩兵の敢闘によりペルシア軍二万の兵が戦死、退却
ペルシアの猛攻撃によりテーベが降伏。テスピアイ兵が壊滅する。最後まで残ったスパルタ兵も命懸けの玉砕を果たし、テルモピュレーの戦いが終結
九月二十三日、サラミス湾で両海軍が衝突。「サラミスの海戦」始まる。
テミストクレス率いるアテネ軍がペルシア海上軍主力フェニキア軍をサラミス湾内へ誘い込み、新造船の特徴を活かし、勝利
紀元前479年
八月二十八日、ギリシア軍が中部ギリシアのプラタイア付近の平原でペルシア軍を撃退(「プラタイアの戦闘」)。スパルタの英雄レオニダスの甥パウサニアスが活躍
たくさんの英雄が生まれ、そして消えていく
時代が人を求めるのか、人が時代をつくるのか
『 ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり/塩野七生/新潮社 』
■『ミレニアム2 火と戯れる女(上)/スティーグ・ラーソン』 2016.3.5
スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』遡って「2(上巻)」だけを読む。
出版は、少し古く2009年4月。
世界的ベストセラー小説に成るだけあって面白い。
しかし、考えさせられることは多多ある。
食物と性にはタブーはないというものの、この物語に出てくる人たちのセックスは凄まじい、欲望のままに事に及ぶ。
後腐れのないそのような人を選んでセックスしているとは言うものの現実なら、血をみそうで恐ろしい、相手があることだからとも思う。
エリカは、自分の選んだ生き方が、田舎町の”キリスト教主婦連合”におそらく認められない種類のものであることを自覚していた。だが、そんなことはどうでもよかった。彼女は十代のころからすでに、ベッドで何をしようがどんな生き方をしようが自分の自由だと考えていた。それでも、知人たちの大久がミカエルと彼女との関係について陰でこそこそと噂していることについて、腹立たしいと思っている。
『 ミレニアム2(上) 火と戯れる女/スティーグ・ラーソン/ヘレンハルメ美穂・山田美明訳/早川書房 』
ギリシア人の物語Ⅰ/ミレニアム2/
■『ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり//塩野七生』 2016.3.5
『ギリシア人の物語Ⅰ』を読む。
塩野七生氏の歴史書は、どれも読みやすく、面白い。
この著書も大変面白く、楽しく読めた。
肥沃で豊かなペルシアの王様は、なぜ痩せて狭い平野と小さな島々ばかりのギリシアがほしかったのか、誰しも疑問に思うことだろう。
もしかしたら、肥沃で広大な土地を領有しているペルシャ王が、痩せて狭いギリシアや小さな島にすぎないエーゲ海の島々にまで領土欲を抱くはずがない、と考えたのかもしれなかった。(p105)
その夜の戦勝祝いは、ペルシア王クセルクセスがマルドニウスに残していった豪華な天幕の中で行われた。
ギリシア都市国家連合の全軍の司令官や隊長を招待した席で、総司令官でもあるパウサニアスは言った。
「これほどの富に恵まれていながら、クセルクセスはなぜ、これとは比べようもないくらいに貧しいギリシアを征服したいと思ったのだろうか」
これには、全員が笑った。いつもは厳粛な顔つきを崩さない、アリステイデスまでもが笑ったという。(p264)
しかし、覇権意欲の強い領土型の国家は、痩せていようが小島であろうが、自国内に組み入れないかぎりは満足しない人種なのである。
ペルシア王が征服に乗り出すときは、事前通告を発するのが常だった。それが、「土地と水」を差し出せ、というのであっったのも、ペルシアが領土型の国家であったことを示している。(p105)
【巻末年表】
紀元前490年
第一次ペルシア戦役が本格的に始まる
春、ペルシアの第二軍(一万五千)がマラトンの平原へ向けて進軍を開始
ギリシア軍(アテネ軍九千とプラタイア軍一千)、マラトンへ向かう
夏、両軍がマラトンの平原で衝突(「マラトンの会戦)。指揮官ミリティアデスの作戦が奏功し、ギリシア軍が大勝。スパルタ軍は一日遅れて戦場に到着した。ペルシアの第一軍は戦場に現れず、退却した
紀元前489年
ミリティアデス、ペルシア支配下のパロス島攻略に向け進軍
八月、パロス攻防戦。ミリティアデス、脚部に重傷を負う
秋、攻防の決着がつかず、ギリシア軍が撤退を開始
帰還したミリティアデス、対立勢力に告発され、有罪判決が下された後、脚部の負傷がもとで死去(六十一歳)
紀元前480年
第二次ペルシア戦役が始まる。
ペルシア軍は陸上軍二十万、海上軍八百隻で臨む。対するギリシア軍は陸上軍一万、海上軍三百三十隻足らず。
春、ダリウスの後継者クセルクセス率いるペルシア軍がサルディスを発ち、ヘレスポントス海峡を渡ってギリシアへ入り、北部ギリシアを南下してアテネを目指す
八月、ペルシア軍がテルモピュレーでギリシア軍を攻撃、「テルモピュレーの戦い」が始まる。
スパルタの重装歩兵の敢闘によりペルシア軍二万の兵が戦死、退却
ペルシアの猛攻撃によりテーベが降伏。テスピアイ兵が壊滅する。最後まで残ったスパルタ兵も命懸けの玉砕を果たし、テルモピュレーの戦いが終結
九月二十三日、サラミス湾で両海軍が衝突。「サラミスの海戦」始まる。
テミストクレス率いるアテネ軍がペルシア海上軍主力フェニキア軍をサラミス湾内へ誘い込み、新造船の特徴を活かし、勝利
紀元前479年
八月二十八日、ギリシア軍が中部ギリシアのプラタイア付近の平原でペルシア軍を撃退(「プラタイアの戦闘」)。スパルタの英雄レオニダスの甥パウサニアスが活躍
たくさんの英雄が生まれ、そして消えていく
時代が人を求めるのか、人が時代をつくるのか
『 ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり/塩野七生/新潮社 』
■『ミレニアム2 火と戯れる女(上)/スティーグ・ラーソン』 2016.3.5
スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』遡って「2(上巻)」だけを読む。
出版は、少し古く2009年4月。
世界的ベストセラー小説に成るだけあって面白い。
しかし、考えさせられることは多多ある。
食物と性にはタブーはないというものの、この物語に出てくる人たちのセックスは凄まじい、欲望のままに事に及ぶ。
後腐れのないそのような人を選んでセックスしているとは言うものの現実なら、血をみそうで恐ろしい、相手があることだからとも思う。
エリカは、自分の選んだ生き方が、田舎町の”キリスト教主婦連合”におそらく認められない種類のものであることを自覚していた。だが、そんなことはどうでもよかった。彼女は十代のころからすでに、ベッドで何をしようがどんな生き方をしようが自分の自由だと考えていた。それでも、知人たちの大久がミカエルと彼女との関係について陰でこそこそと噂していることについて、腹立たしいと思っている。
『 ミレニアム2(上) 火と戯れる女/スティーグ・ラーソン/ヘレンハルメ美穂・山田美明訳/早川書房 』
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