ゆめ未来     

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と、彼女は言った 片岡義男

2016年12月17日 | もう一冊読んでみた
と、彼女は言った/ 片岡義男    2016.12.17

 今週は、この1冊。
 と、彼女は言った

長い一生のどこかで、生きている醍醐味が迫り上がってくる、こんなステキな会話、美しい女性と一度はしてみたいものだ。

 「八時には閉店。よろしかったら、そのあと、近くでお話を。せっかくだから」
 「僕はいいですよ」
 「三十分だけ、待っていただける?」
 「何分でも」
 「すぐ近くで」
 「どこででも」
 レジのデスクの外に出た彼女は、ドアの前で立ちどまり、笑顔で彼を振り返った。
 「喋りかたが昔とおんなじ」


この短編集のテーマは、これだ。

 「俺の人生を指先でもてあそんでくれよ」
 「鉤括弧に入れてある」
 「誰かに言ってる台詞なの?」
 「そうだろうね」
 「最後に載ってる短編の、最後の一行
 「と、彼女は言った」

 「いまこの場面は、短編の終わりかたとして、うまくいってるだろうか」


ジャックはここで飲んでいる』を読んだ時、『ジャックはここで飲んでいる、と彼女は言った』と思い込んでしまった。

しばらくして、おや、これは2冊の別々の本なんだと、やっと思い込みに気がつき、今回、後半部分の『と、彼女は言った』を読んだ次第です。

この本に収められている7編の短編のうち、「と、彼女は言った」と「バスの座席へのセレナーデ」がぼくは好きです。

 『 と、彼女は言った/片岡義男/講談社 』


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