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レイラと五人の仲間たちの物語  レイラの最後の10分38秒

2021年08月16日 | もう一冊読んでみた
レイラの最後の10分38秒/エリフ・シャファク  2021.8.16

  イスタンブール トルコ大使館 文化広報参事官室

    読者への注釈

 本書には多くの事実を記しているが、物語全般はフィクションである。
 キリオスの“寄る辺なき者の墓地”は実在の場所であり、急速に大きくなりつつある。
 最近ではヨーロッパへ渡ろうとする途上、エーゲ海で溺死したますます多くの難民がそこに埋葬されている。
 彼らの墓も、ほかのすべての墓と同様番号だけが記され、名前が記されることは稀だ。
 作中に登場させたこの墓地の永眠者たちは、そこに葬られた人々についての新聞記事や実話を参考にして創作した。

 そして最後に、主人公の五人の友人はわたしの想像の産物だが、わたしがイスタンブルで出会った実在の人々----トルコ出身者、移住者、外国人----に触発されたところもある。
 レイラとその友人たちはまったく架空のキャラクターではあるが、この小説のなかで描いた友情は、少なくともわたしの見るかぎり、この魅力的な古い街と同等の現実味を持っている。



 子供時代が終わりを迎えるのは、思春期に体つきが変わるときではなく、自分の人生を第三者の目で眺めるようになったときなのだ。


 結局、だれよりもよくザイナブのことを理解してくれたのは、やはり父だった。
 父は深く息をついて、すべてを聞いていたかのように、軽く頭を垂れた。そして言った。
 「どうしても行くというなら、行きなさい、愛し子よ。友達を作ることだ。よき友を。忠実な友を。だれもひとりでは生きていけない----全能の神は別だが。だから覚えておきなさい。人生という砂漠を、愚か者はたったひとりで、賢い者は隊を組んで旅することを」



古都イスタンブルで暮らすレイラと五人の仲間たち。彼女らは、いろいろなハンディを背負いながらも協力し合い、励まし合いながらたくましく生きている。

人生の最初に出会った人“助産婦”から遺体検案所の雑役係の“老人”まで、人生の途上で出会った様々な心優しい人々とその人となりが詳しく語られている物語でした。

ぼくには、今年出会った最高に素晴らしい、思い出深い一冊になりました。
記録したメモは、40字×450行にもなったので簡単な紹介としました。


  『 レイラの最後の10分38秒/エリフ・シャファク/北田絵里子訳/早川書房 』


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