2016年5月19、20日に鹿児島県かごしま県民センター・宝山ホールで開催された第59回春季日本歯周病学会学術大会に院長の市丸と参加してきました。
今回は、当院からの演題発表はなかったため、講演を聴いてより多くの情報を収集することが目的でした。
中でも、ベルン大学歯周病学分野のAnton Sculean教授の講演は、非常に勉強になりました。内容は、主に歯肉退縮などの軟組織が減少・喪失した症例に対する結合組織移植術の術式に関する話でした。できるだけ低侵襲で予後良好な結果を導くための方法について講演されました。英語での講演ではありましたが、動画が多く用いられており、非常にわかりやすい講演でした。また、初日のシンポジウムでは、歯周組織再生療法の最前線の研究に関する話がありました。山中教授が、iPS細胞でノーベル賞を受賞されてから3~4年しか経過していませんが、すでにiPS細胞は、歯科の領域でも臨床応用の一歩手前まで研究が進んでいるようです。現在の再生歯科医学では、主に異種の動物(ブタ、ウシ)由来の材料を用いることが主流です。これにより十数年前までは抜歯の宣告をうけるような歯も、保存できる可能性が高まりました。一方で、重症になればなるほど、結果にばらつきがある(成功したり失敗したり)ことも事実であり、われわれ臨床家は、再生療法による保存とインプラント治療とで治療方針に悩む場面もあります。しかし、iPS細胞を応用した再生療法が確立されれば、おそらく結果のばらつきは少なくなり、インプラント治療に頼る必要性が少なくなると個人的には感じました(インプラント治療は現状、歯を喪失した場合のベストな治療法であることは、間違いありませんが、自分の歯に勝るものはありません)。
2日目の専門医・認定医教育講演では、薬剤併用歯周療法の話を聴きました。機械的にばい菌や歯石を除去した上で、抗生剤の服用を併用すればより良好な結果が得られるというものです。これは、当院でも数年前から取り組み、良好な結果を得て、学会でも数回発表している治療方法でもあり、今回の講演によって当院の取り組みが学術的な水準を満たしていることに確信を得られたことは収穫でした。
その他にも、いくつかのシンポジウムや特別講演を時間が許す限り聴くことができ非常に有意義な2日間となりました。今後も、知識の研鑽を継続し、歯科界に貢献できるように精進したいと思います。
くらのうえ市丸歯科 新鳥栖インプラント歯周病センター(佐賀県鳥栖市)
副院長 山口 竜亮