あれは・・・31歳の秋だった。コロラド大を辞めてテキサス大に移る時、テキサスでのボスに日本人の研究者を紹介してもらった。ダラスでの生活を立ち上げるのに助けて欲しかったからだ。ちょうど京大出身の日本人研究者がゲーシング教授の研究室に居るので、彼にお世話になることになった。そんなわけで、アパートは彼の住んでいるアパートメント"WILD FLOWER"の1DKを借りた。後で知ったことだけど、帰国するあてのあるような偽留学(単なる長期出張)の人達はもうちっとグレードの高いアパートメントに住んでいて、WILD FLOWERに入居していたのは彼と僕だけだった。彼は剣道3段、居合2段でスポーツマンらしいスカッとした性格で、奥さんはクラフトや手芸が大好きな明るい人。彼の部屋が近くだったこともあって、すぐに仲よくなって行き来をするようになった。旦那がスポーツマンで奥さんがやたら明るい家庭ってのはいいよね。
ちょうど彼は今まで使ったことがない酵母という生き物と悪戦苦闘していて、彼にとって僕はちょうどいい情報源だったようだ。彼は細胞が熱衝撃を受けた時に大量に出てくるBiPというシャペロンタンパク質の発現制御を研究していた。彼がその仕事を科学雑誌CELLで発表した時、論文の謝辞に僕の名前を挙げてくれた。CELLに僕の名前が出るなんて、これが最初で最後かもね。(笑)
僕も彼も日本に帰るあてのない留学だった。大げさに言うと人生かけていたのだ。まあ、僕はこんな性格だからあんまし悲壮感はなかったんですが、家族のある彼は真剣そのもの。そもそも剣道家なので自分に対してとても厳格だ。厳しいだけに自分で自分を苦しめるところがあったように思う。留学前に帰国するあてのない留学だとは奥さんの家には言ってなかったらしいから大変だ。日本帰国に到る彼の苦悩と努力を知っているし、当然僕はできるだけサポートしようとした。彼も僕が困難や問題にぶち当たった時に相談に乗ってくれた。母校京都大学に彼が戻れたのは運もあったかも知れないが、そこで小さな研究室を持って自分の研究をどんどん育てていけたのは、彼の厳しくて粘り強い精神があってのことだと信じている。
ガードナー賞に京大の山中伸弥教授と森和俊教授(読売新聞) - goo ニュース
森さん、おめでとう。すごい人になったね。でも、森さんなら当然だと思うよ。
3月に獅子吼で撮った野の花の写真を『いでんや』にまとめました。この時期のテキサスの春は美しいブルーボネットが野原を染め上げてとっても美しいんですよ。厳しい環境で育つ野の花"WILD FLOWER"は小さいんだけど粘り強くて、咲くときゃあ野原を明るく彩って人の気持ちをウキウキさせるんですな。作り物の花にはない力があると思うのです。
本日のお酒:手取川大吟醸 吉田蔵
ちょうど彼は今まで使ったことがない酵母という生き物と悪戦苦闘していて、彼にとって僕はちょうどいい情報源だったようだ。彼は細胞が熱衝撃を受けた時に大量に出てくるBiPというシャペロンタンパク質の発現制御を研究していた。彼がその仕事を科学雑誌CELLで発表した時、論文の謝辞に僕の名前を挙げてくれた。CELLに僕の名前が出るなんて、これが最初で最後かもね。(笑)
僕も彼も日本に帰るあてのない留学だった。大げさに言うと人生かけていたのだ。まあ、僕はこんな性格だからあんまし悲壮感はなかったんですが、家族のある彼は真剣そのもの。そもそも剣道家なので自分に対してとても厳格だ。厳しいだけに自分で自分を苦しめるところがあったように思う。留学前に帰国するあてのない留学だとは奥さんの家には言ってなかったらしいから大変だ。日本帰国に到る彼の苦悩と努力を知っているし、当然僕はできるだけサポートしようとした。彼も僕が困難や問題にぶち当たった時に相談に乗ってくれた。母校京都大学に彼が戻れたのは運もあったかも知れないが、そこで小さな研究室を持って自分の研究をどんどん育てていけたのは、彼の厳しくて粘り強い精神があってのことだと信じている。
ガードナー賞に京大の山中伸弥教授と森和俊教授(読売新聞) - goo ニュース
森さん、おめでとう。すごい人になったね。でも、森さんなら当然だと思うよ。
3月に獅子吼で撮った野の花の写真を『いでんや』にまとめました。この時期のテキサスの春は美しいブルーボネットが野原を染め上げてとっても美しいんですよ。厳しい環境で育つ野の花"WILD FLOWER"は小さいんだけど粘り強くて、咲くときゃあ野原を明るく彩って人の気持ちをウキウキさせるんですな。作り物の花にはない力があると思うのです。
本日のお酒:手取川大吟醸 吉田蔵