遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

日本という国は小さすぎ

2009-04-22 23:28:03 | BIONEWS
若手研究者の海外武者修行を支援、政府が渡航費や滞在費(読売新聞) - goo ニュース
5年間で1万5000人から3万人の若い研究者に渡航費や滞在費を政府が援助する構想が打ち出されました。期間は・・・ほんの数ヶ月から1年!(笑) 向こうの生活に慣れた頃には終わりかーい!? そんな短期じゃ、なんの成果もでんだろう。
日本のお役所の場合、申請する時にどこの国のどの大学の誰の研究室か書かなくてはいけなくて、向こうの受け入れ側の先生からも書類に署名してもらわなかったりする。これは世界の常識と反対で、留学するお金をゲットしてから向こうの大学の先生に自分を売り込まないといかん。そういうふうにして武者修行したことない人たちがシステムを作るとシステムだけが立派で使えないものになっちまうのな。
この記事の本文で気になったのは、年々留学する若い科学者が減ってきているデータ。最近の若い人たちの安全志向もあるけども、アホな文部科学技術省がむやみに大学院重点化を進めて博士を増やしたがために(バブル崩壊後の不景気のために大学院への進学者が増えてしまった面もありますが)、外国から帰国するためのポジションを見つけることがとても困難になっているのも留学する若い人が減っている大きな原因のひとつです。仮に運良く日本に帰国できたとしても不運で不幸な経験をする仲間をみてきているので(簡単に見つかるポジションにはそれなりの理由があるのだよ)、僕はこれからの人に気楽に留学することを奨めるがなかなかできない。それに、最近若くして教授になりエリート街道を歩く人の多くが『留学経験のない人』であるように感じます。世渡りするには留学は不利なのは確かだ。そうして考えると、この政府の留学サポートプランは国内で余った博士を海外に出しちまおうという作戦に思えてしまうのは気のせいか?? 
博士が余ってるのを事実として認めて対策をちゃんと考えないと、大学研究者の任期制やこのニュースに出てきた短期留学サポート制が官製の『高学歴失業者生産システム』に堕してしまうと危惧しています。俺は博士取得者に高校の教師の資格を認めて高度な科学教育を教えさせるとか、思い切ってアジア各国の大学に研究費をつけて斡旋するようなことしないと日本の大学だけではどーにもならなくなると思っています。今回の経済恐慌のおかげで欧米の研究機関はかなり渋くなっていますしね。

iPS細胞の研究競争激化、日本は米に「1勝10敗」(読売新聞) - goo ニュース
日本政府の科学研究に対するダメさかげんは、どーしょーもないレベルにあります。国の出す研究費は先進国中最下位ですからなぁ。幹細胞関連で米国の10分の1。最新科学技術の勝敗が決まるのはだいたい2年くらいですから、そろそろiPS細胞に関しては敗戦処理に入った方がいいですね。日本の研究者による成果はこれからもポロポロ出てくるでしょうけど、世界をリードする状況にはならないんじゃないすか。まあ、記事の本文を読んで下され。僕が以前から山中先生が日本を捨てて米国で研究すべきだと書いている理由が分かってもらえると思います。

今日は梅乃宿の粕取り焼酎『さなぶり焼酎』です。豊作を祝う祭り「早苗饗祭」の時に供える粕取り焼酎から命名されたそうで、粕取り焼酎独特のふくよかな香りは控えめで口当たりのまろやかさが印象的です。オンザロックで試してみましたが、ストレートでやるべきでしたね。25度なのに柔らかすぎ~。

本日のお酒:奈良粕取り焼酎 梅の宿さなぶり焼酎
コメント
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