今回は看護師教育、看護師養成の教育課程と、実際の看護業務の違いについて書いていきたいと思います。
つい最近まで、公立系大学病院で勤務していたスタッフが看護学校の教員になりました。
このコロナ禍で、臨地実習に引率したところ、
「まだこの看護学校は全身清拭なんてやってるの?」
「シーツ交換なんかやらせるの?」
と疑問に思っていました。
現在の看護師の業務には、介護業務は助手や介護福祉士が行うような「分業」が進んでいます。
清潔の援助は看護ではなく、介護の仕事だという認識があります。
まして、術後早期離床についても、看護ではなく、理学療法士や作業療法士によるものだとなっています。
じゃあ看護師のメインの看護業務とは何か?と問われた時、医師の指示による診療補助、
つまり「医療処置の代理」と入院患者の「経過観察と報告」になっています。
「看護師がどんどんミニドクター化している」と言われるのはあながち間違っていませんし、実際に
疾患を理解しその疾患に対して行われる検査や治療について、それらの影響などの知識の方が求められています。
ですから、生活の援助、生活の自立に向けた援助を行うのは、在宅の看護師か地域包括ケア病棟の看護師の役割になります。
しかし、地域包括ケア病棟では、社会福祉士や理学療法士、介護福祉士がその役割を担っているため、看護師の存在意義は
病棟医、主治医への観察報告かかり、急変対応かかりなのです。
処方された薬剤投与、つまり点滴の管理、輸液の管理、採血検査、処置の介助がメインになっており、身体管理が
ルーチンワークとなります。
しかし、看護学では、1人の受け持ち患者の自立を目指して、生活の再構築を目指す支援、援助をします。
そして、受け持ち患者は80歳以上の高齢者ばかり。
老化、加齢によって骨折したり、検査を受けてガンがみつかり消化器のオペを受けた人であったりと様々です。
しかしながら、ガンは存在しませんが、「お医者様が言うから」ということでオペを受けたり、転んで骨折したりと
「何もすることもない、加齢とともに人生に絶望している高齢者のお世話係」が看護実習のメインになっています。
実際に入院中の患者は高齢者ばかりで、「老い先短い高齢者に不要不急のオペや検査漬けにする意味なんてあるのかな?」
と思ったりしますが、入院させるための病気づくりをしていかないと、病院経営は成り立ちません。
「骨折のオペのリハビリだけ」という民間病院が多いのは頷けます。
残念ながらそういった病院では、介助浴、リフト浴といった効率性が求められ看護師の仕事はもっぱら健康管理だけなのです。
ですから、本当に看護をしたり、生活の世話をしたいと考えるなら、介護福祉士を目指すのが妥当だと思います。
しかし、介護福祉士を持った学生も看護学校に入ってきます。
その理由を聞くと、「疾患の事や処置や検査を勉強したい」と言いますが、本音の部分を聴いてみると
「給料や待遇が看護師はいいから」男性の介護福祉士からは「介護福祉士では将来結婚もできないかもしれないくらい収入が低い」
と話します。
実習では介護の仕事を教え、看護師免許を取ると、ミニドクターとして働かされる。
そりゃ「看護って何だろう?」
と思いますよね?
理論と実際が違いすぎますから。
でもやりがいを感じたいなら、現場でお世話ができる介護が本来の看護だと思いますよ。
処置の手伝いは看護ではなく、医療ですから。
今回はこんなところで終わりにしたいと思います。
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