室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

Trio Siciliano

2010-01-08 10:19:40 | Weblog
イタリアはシチリアの《トリオ・シチリアーノ》からCDが届きました。

私が編曲して出版されているピアソラの曲が3曲、収録さてれいるのです。《トリオ・シチリアーノ》かっこいい名前でしょ?

http://www.triosiciliano.it/

バイオリンのSilviu Dima シルヴューは、シチリアの首都パレルモのオペラ座《テアトロ・マッシモ》のコンサートマスター。そもそも1998年に“リベルタンゴ”のバイオリン、チェロ、ピアノのトリオ版を編曲出版して少し経ったころ、インターネットが普及し始めた‘99か2000年に、シルヴューから「“リベルタンゴ”を送ってください」というメールが来てからのお付き合い。

他のピアソラ作品のトリオ版も送ったり、彼らの為の編曲注文を引き受けたり、ときどきコンタクトがあったのが、3年前に《テアトロ・マッシモ》が来日した時に初めて東京で会って、その後、一昨年私がシチリア旅行をした時に、パレルモで会いました。《テアトロ・マッシモ》で“アンナ・ボレーナ”を見せてもらって、翌日、観光につきあってくれて、夕方からは彼ら《トリオ・シチリアーノ》のリハーサルを見せてもらいました。

その時にもやっていたピアソラ作品ばかりのCDが出来上がって、送ってくれたのです。

シルヴュー、ピアニストのファビオ、チェロのジョルジオ、3人とも優れた演奏家で、演奏は素晴らしいです。CDを聞きながら、ファビオのお母さん所有だというスタジオで、シルヴューとファビオが「あーでもない、こーでもない」「じゃあ、こーやってみようか?」とアイデアを出しては試みる、熱のこもったあの日の情景を思い出しました。

彼らが、私が音符にした楽譜に対して、物凄い情熱を持って取り組んでいる姿に『至福の時』を覚えました。壁にフランツ・リストの肖像が掛けられていて、ファビオはどうやらリスト好きなんだな、それでこんな風に弾きまくりたいのかな・・と思ったものですが、CDにもその時に弾いていたように、私が作った“アディオス・ノニーノ”のカデンツァにグリッサンドやアルペジオが何箇所か足されています。

どの曲も彼らの味付けで調理されていて、彼らの思い入れの深さが分かり、面白いです。「自分はアドリブしたり、イクミみたいに編曲したりは出来ないけど、演奏でクリエイトできると思っているんだ。でも少しずつ、編曲もやるんだ」ルックスだけでなく、キャラクターもチャーミングなシルヴュー。

浅草を案内した時に、「イクミ、イタリアから来るとねえ、どこもたいていスゴいと思わないんだよ」と言われて、「失敗した!そうだったなあ。知っていたのに忘れていた」と思ったことは忘れません。リベンジに、せいぜい富士山や京都などの写真がついているカレンダーでも送ろうかな。