室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

ジャズって・・

2010-01-15 11:26:10 | Weblog
昨日は、月一登場の“阿部寛トリオ”を聴きにミントンハウスに行きました。

いつもの阿部寛さん(アコースティック・ギター)小林真人さん(ウッド・ベース)に、ゲストが小林淑郎さん(クラリネット)です。

小林淑郎さんは、特別な存在感のある方です。以前、阿部さんのCD『Echos Of The 78‘s Era』を作った時にも、小林淑郎さんだけ、オケの参加は無しで、コンボでだけ3曲も登場。去年の新宿ジャズ・フェスティバルで最後に聴いてとても面白かった、清水万紀夫さんとの2クラ・セッションも大変強く印象に残っています。

これ見よがしの名人芸とは対極にある、小林淑郎さん独特の節回し。音数が少ないだけに、音色が際立って聞こえるのでしょうか。ボソボソッとした節の中に味が有り、時おり張った音色の中に艶っぽさが光ります。小指と薬指にはめられた指輪も、その艶っぽさを裏付けるかのようです。

全体に《動》というより《静》の、竹林が似合う(実際にそんなソロのCDもリリースしていらっしゃるのですが)《和風》か・・と思ったりする中に在る『ジャズ・スピリット』って何なんだろう? 昨日は、ずっとそれを考えながら聴いていました。

クラシック音楽を演っている時に天に向かって放つ“光”は、混じりっけの無いピュアなものを目指しているのですが、ジャズにはザラッとし何かが在る・・。クラシックのピュアな美しさには無い、《苦み》かなー。黒人の歴史のフィルターを通ってきたモノを、それをつかまえられた日本人が演っているんだなー、と改めておもいました。

作為的に演出しようとしていないのに、どこか可愛いくらいのチャーミングな小林淑郎さんを拝見していてこそ感じたのでした。

《違い》越えられない川。改めて言わなくたって、誰もが知っている事だったかもしれないけど、日頃クラシック、ジャズ、タンゴ、ポピュラー音楽全般・・と、垣根を外してというか、橋を渡すような活動が多くて、それぞれにどっぷり浸かっているつもりだったので、再発見が妙に新鮮でした。