昨年奇しくも谷崎潤一郎の「刺青」映画を2本(吉井怜、若尾文子)観たし、昔伊藤咲子のも観ていたので、ここは4度目の映画化という事で観ておこうと・・・
この短編を初め、映像関係者を刺激して止まない谷崎文学と言った所でしょうか。
それぞれにシチュエーションを基盤として自由な発想で映画化していますが、今回の作品はまさにヒロインが女郎蜘蛛の刺青を施され、その影響で人生に変化が現れると言う1点だけが「谷崎・刺青」と言える作品。ヒロインは消せる事のできる女郎蜘蛛の刺青の下絵を見て、自ら肌に墨を入れることを志願するのですから。
妻子ある男性との不倫に破れ、出会い系サイトのサクラをしている女、アサミ。妻子と別居して家を出て、今日を生きるために自己啓発セミナーの勧誘をしている男、二ノ宮。穢れた過去を贖罪し、救いを求めるふたりは偶然に出会った。自らの選択で刺青を彫ることを決意したアサミは、天才肌の彫師・彫光に肌を委ねる。やがて彼女の背中にはみごとな女郎蜘蛛の刺青が躍り、それは彼女自身を劇的に変えてゆく。刺青は二ノ宮の生き方をも大きく変え、やがて刺青に翻弄される男と女たちの運命は、大きく揺らぎはじめた…。
監督の瀬々敬久はAVの台頭で苦戦していた90年代ピンク映画を支えてきた監督の一人だそうで、なるほど社会派ピンク映画の雰囲気があり、懐かしい。
谷崎の刺青をちょっと拝借して描いた現代の姿は納得のできる楽しさと寂しさにあふれた作品に仕上がったのでは。
二ノ宮役の和田聰宏が好演。
別居した妻が新しい男と子連れで居る場面に遭遇。煙草を吸う男に「妻も子供も煙草が嫌いなのだから止めろ!」と迫り返り討ち。泣き出す息子に「泣いちゃ、だめだ!」・・・ほう、子別れの場面みたい。
そんな彼はは妻から「もう合いに来ないで」と拒絶され
女郎蜘蛛のアサミと美人局まがいの事をして経営難の孤児院を救うための募金活動。いかがわしいセミナーの勧誘を信じきって仕事としてきた彼にはなんの迷いも無く行動。(でも2人も殺めているんですが)
出会い系のサクラであった事を贖罪して「許してくれる?」と男達に身をまかせるアサミ(川島令美)は美人というにはちょっと微妙だが妖しい魅力を発揮。(妙に声がアニメチックでアンバランス)
刺青男との濡れ場。情事の後のエロさは見事。
ただ、島田久作の彫光に「二度と巡り合えない肌」と言われる割に背中の美しさに不満が残る。映像処理とか吹き替えとかでもう少し拘って欲しいところ。
出会い系でアサミに合いに来る役で我らが志んととちゃん伊藤克信の出演が嬉しい。「良くわからないけど、いいよ」って訛る。
出合ってホテルに連れ込んだ女が彫り物してたら、やっぱり焦りますよね。愚かな男たちの反応は面白い。
観ていてなんだかとても寂しい気持ちになる・・・そんな1本でしたヨ。
「堕ちた女郎蜘蛛」ってタイトルはちょっと違うような気もします。
私事ですが汚い話、昨年背中に噴瘤なるおできが出来て皮膚科で治療をした。その際、効かない麻酔で切開してウミを出したわけだけれど、痛いのなんの。診察台にうつ伏せになってウ・ウ・ウと唸り、冷や汗物。こんな感じがずっと続いて刺青されるんだろうな。とてもじゃないが真っ平御免だ!と感じたのであります。
軟弱者には無縁だけれど最近のファッション感覚で肌に墨を入れる若者の風習はあまり感心しない。そのうちピアスのように麻痺して慣れてしまうのだろうか・・・
1月24日
渋谷 ユーロスペース
この短編を初め、映像関係者を刺激して止まない谷崎文学と言った所でしょうか。
それぞれにシチュエーションを基盤として自由な発想で映画化していますが、今回の作品はまさにヒロインが女郎蜘蛛の刺青を施され、その影響で人生に変化が現れると言う1点だけが「谷崎・刺青」と言える作品。ヒロインは消せる事のできる女郎蜘蛛の刺青の下絵を見て、自ら肌に墨を入れることを志願するのですから。
妻子ある男性との不倫に破れ、出会い系サイトのサクラをしている女、アサミ。妻子と別居して家を出て、今日を生きるために自己啓発セミナーの勧誘をしている男、二ノ宮。穢れた過去を贖罪し、救いを求めるふたりは偶然に出会った。自らの選択で刺青を彫ることを決意したアサミは、天才肌の彫師・彫光に肌を委ねる。やがて彼女の背中にはみごとな女郎蜘蛛の刺青が躍り、それは彼女自身を劇的に変えてゆく。刺青は二ノ宮の生き方をも大きく変え、やがて刺青に翻弄される男と女たちの運命は、大きく揺らぎはじめた…。
監督の瀬々敬久はAVの台頭で苦戦していた90年代ピンク映画を支えてきた監督の一人だそうで、なるほど社会派ピンク映画の雰囲気があり、懐かしい。
谷崎の刺青をちょっと拝借して描いた現代の姿は納得のできる楽しさと寂しさにあふれた作品に仕上がったのでは。
二ノ宮役の和田聰宏が好演。
別居した妻が新しい男と子連れで居る場面に遭遇。煙草を吸う男に「妻も子供も煙草が嫌いなのだから止めろ!」と迫り返り討ち。泣き出す息子に「泣いちゃ、だめだ!」・・・ほう、子別れの場面みたい。
そんな彼はは妻から「もう合いに来ないで」と拒絶され
女郎蜘蛛のアサミと美人局まがいの事をして経営難の孤児院を救うための募金活動。いかがわしいセミナーの勧誘を信じきって仕事としてきた彼にはなんの迷いも無く行動。(でも2人も殺めているんですが)
出会い系のサクラであった事を贖罪して「許してくれる?」と男達に身をまかせるアサミ(川島令美)は美人というにはちょっと微妙だが妖しい魅力を発揮。(妙に声がアニメチックでアンバランス)
刺青男との濡れ場。情事の後のエロさは見事。
ただ、島田久作の彫光に「二度と巡り合えない肌」と言われる割に背中の美しさに不満が残る。映像処理とか吹き替えとかでもう少し拘って欲しいところ。
出会い系でアサミに合いに来る役で我らが志んととちゃん伊藤克信の出演が嬉しい。「良くわからないけど、いいよ」って訛る。
出合ってホテルに連れ込んだ女が彫り物してたら、やっぱり焦りますよね。愚かな男たちの反応は面白い。
観ていてなんだかとても寂しい気持ちになる・・・そんな1本でしたヨ。
「堕ちた女郎蜘蛛」ってタイトルはちょっと違うような気もします。
私事ですが汚い話、昨年背中に噴瘤なるおできが出来て皮膚科で治療をした。その際、効かない麻酔で切開してウミを出したわけだけれど、痛いのなんの。診察台にうつ伏せになってウ・ウ・ウと唸り、冷や汗物。こんな感じがずっと続いて刺青されるんだろうな。とてもじゃないが真っ平御免だ!と感じたのであります。
軟弱者には無縁だけれど最近のファッション感覚で肌に墨を入れる若者の風習はあまり感心しない。そのうちピアスのように麻痺して慣れてしまうのだろうか・・・
1月24日
渋谷 ユーロスペース
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