映画 「唇からナイフ」

「唇からナイフ（MODESTY BLISE）」1966年　監督：ジョセフ・ロージー

ピーター・オドンネルの新聞連載の人気漫画『モデスティ・ブレィズ』を脚色したスパイ映画。
60年代もっともSEXYでおしゃれな女スパイって事なので「カジノロワイヤル(1967）」好きの私としては期待してしまうわけです。
ところがいかにもテンポが悪く「カジノロワイヤル」には到底・・・

いきなりSFチックに始まりますが、未来の設定というわけでもないようです。
途中睡魔が来て意識を失う。
一応スパイ映画なので筋を追うのに取り残されるのは辛いのだけれど、こういう映画の良いところはオシャレなファッションやちょっと寒いユーモアを楽しんじゃえって開き直って見る事もできるところ。

モデスティ・ブレィズのモニカ・ヴィッティの色気と美貌はちょうど頃合が良くってブロンドの女スパイ変幻自在コスプレは良いです。
相方ウィリーにはテレンス・スタンプじゃないですか。カッコ良いですぞ。（役柄としては対してカッコ良くない二枚目半）

後半この2人のコンビが仲睦まじく嬉々としてミッションに当たるところが好ましい。でもちょっと妬ける。

ラストはブレィズを育てたというアラブの国王シークが2人を助けに来る、そこで俄かにスラプスティックとなるのだけれど、敵と銃撃戦をするモデスティとウィリーは戦いの後の生活をミュージカル仕立てで歌いだしてしまう。
この映画、他にもモニカ・ヴィッティが軽く歌を口ずさむ場面があるけどどれも良かったですね。
2人は背中合わせで銃撃戦中
「こんなことならやっておけば良かった」
「いや、こういう関係も珍しくっていいかも・・・」
「せめてキスだけ・・・」なんて言っちゃって・・・
そうかそうか、2人はけしからん事はいたしておらんかったかヨシヨシ。

しかしそれにしてもSEXYな女スパイさん（当然レザーのスーツ）といい事ができそうになっていざという時、レザースーツの脱がせ方が解らなかったらどうするよ。
「どこから脱がせるんだ」に
モデスティも脇やら背中を指し示しながら？？？ととぼける。
「着る時はどうやって着た！」ってイラつくのも解るよね。

銀髪の悪役（ダーク・ボガード）が実は人が良かったり、その女が危険なサディストだったり、キャラがとても面白いのでコミックの方も読みたくなりました。

このキャラクターとこのキャストだったのだから続編からシリーズ化へとなっても良かったのに・・・2作目に期待って感じの感想でしたからね・・・

Trailerはよても良いですね。




池袋　新文芸座「魅惑のシネマ・クラシックスVol.9」より