JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「忘却」

2010-04-28 | 映画(DVD)
「ドキュメンタリー特集 優れたドキュメンタリー映画を観る会VOL.25 私の明日~アスタ・マニャーナ」

「忘却」2008年 蘭・独 監督:エディ・ホニグマン
原題: el oblivion
2009年山形国際ドキュメンタリー映画祭 山形市長賞受賞作品

ペルーのリマで生きる老バーテンダー、レストラン給仕や革職人、路上パフォーマンスで日銭を稼ぐ若者や子どもたち。経済的に政治的に困難な状況を生き続けるために人々が忘れていること、忘れえないことに耳を傾け詩のように編まれた本作。バーテンダーの作るカクテルや大道芸人たちの小道具、記憶力をよくするカエルジュースなど彼らから作りだされる産物と言葉の狂想曲は、喪失感と曖昧な未来の中にある灯火だ。

南米ペルーの首都リマでの底辺の生活を追ったドキュメンタリー・フィルムは、もうそれだけで貴重であり価値がある。

南米の中にあっても忘れ去られ埃がかぶってしまうような街なのでしょうか。政治的に困難な歴史が物語られる。

平凡な人生の中で珍しいイベントではあたものの23年前の旅の記憶はどんどん忘れ去られて行く。
そんな中、いつも思い出すのはペルーの貧しい子供たちのクリスマス・パーティーに招待していただいた事。あの時の少年たちの目・・・高山病で苦しむ私に声を掛けてくれた少年の言葉・・・
アスタ・マニャーナの民族ではあるが、子供たちは実に健気に働く・・・貧しい国のお決まり。

リマには物乞や泥棒、かっぱらいも多かった。物乞いの中でも怠惰な乞食とこのフィルムに出てくる大道芸人のように何かしらの芸(実に他愛のないお手玉でも良い)をして、小銭を得る者がいる。
「観光客は金を持っているが節度をもって街の芸人には小銭を施せばよい」と教えてくれたのは当時リマで通訳などの仕事をしていた知人。
この知人のおかげでツアー客より僅かながら現地の人たちとの交流をもち心を知ることができた。もちろん上っ面だけであることには違いないけど・・・

横断歩道の信号待ちドライバー相手に側転をみせながら小銭を得る少女というのは見かけなかった。無口で仲良しな姉妹の眼差しが母親の話と重なって印象的。

ピスコサワーをまた飲みたい。
そして、飲んだことのない、カエルのジュースもぜひ、飲んでみたい。記憶力、良くなるかな。
バーテンダーやジュース屋がレシピの紹介の中に政治を皮肉る言葉を交える洒落っ気が素敵。


アラン・ガブリエル・ルドウィグ・ガルシア・ペレス


アルベルト・ケンヤ・フジモリ

何度か歴代の大統領が就任を宣誓する映像が差し挟まれ皮肉っぽい。
ところで大統領の襷の正しい掛け方って右肩だったの、左肩だったの。襷屋の爺さん、ただものじゃないな。

もっと長く見ていたい、多くの中南米ファンに見てもらいたいドキュメンタリー。

下高井戸シネマ

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