森雅夫・編 「妖怪文藝（巻之弐）響き交わす鬼」

妖怪文藝の巻之弐です。
今度は鬼に関する文章を集めたもの。と、言っても鬼だけでは1冊持たなかったのか後半は妖怪名鑑となってモノノケ、魑魅魍魎のお話が並んでいます。

ここでは何と言っても巻頭の対談「桃太郎なんて嫌いです」加門七海＆霧島ケイ。
特撮物とか変身物に興味の無いお二方が編者の強制によって見せられた「仮面ライダー響鬼」にはまっていく様が面白いです。
鬼に関して造詣の深い方々が響鬼を見ると、一般的な人の数倍も奥深く楽しんで行ける。これって知識や学問、教養の醍醐味じゃないかな。いろんな物が豊かに楽しめる。要するこの方たちは得しているわけです。

ちなみに家では、響鬼が始まった当初、面白そうだと感じたのですが、Hero-Nが姫と童子、化け物を怖がるためあまりちゃんと見ていません。

その他著書人は野坂昭如、尾崎紅葉、芥川龍之介、椋鳩十、香山滋、福永武彦・・・
と、今回も豪華。

気に入った物を順に上げると

「美女と大蟻」　香山滋　（ゴジラを書いた人によるお話、とにかく面白かった）
「かべは知っていた」　三田村信行　（児童文学です。妖怪は出ません。このアンソロジーに載せるのは？児童文学というのは実は侮れないんですよね。「おとうさんがいっぱい」所収。他も読みたくなります。結末は消化不良気味）
「一反木綿」　椋鳩十　（子供のころ動物児童文学としての記憶のある氏がこんなエログロを書いているとは驚き）
「蟹族妖婚譚」　藤澤衛彦　（これは後半の考証部、価値あり）
「鬼桃太郎」　尾崎紅葉　（鬼の文字による序文付き、挿絵付き）
「桃太郎」　芥川龍之介　（「桃太郎なんて嫌いです！（笑）」）