前回に続き、昨年、胡錦涛国家主席が来日され、早稲田大学で講演された内容から。
天行健, 君子以自強不息
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(訳)天の運行が力強いように、君子は自ら強い意志を持ち、世の中を絶えず発展させ続けなければならない
●出典:
《易経》 天行健, 君子以自強不息; 地勢坤, 君子以厚載物
Tian1xing2jian4, jun1zi3yi3zi4qiang2bu4xi1 Di4shi4kun1, jun1zi3yi3hou4de2zai4wu4
「天行健, 君子以自強不息」は、易経の乾卦。
「地势勢坤, 君子以厚載物」は、坤卦。
乾は天。坤は地なので、乾卦は天の道理。
坤卦は地の道理を引用して、君子、つまり高徳の人物は如何にあらねばならないか、説いている。
天行健, 君子以自強不息:天の運行が力強いように、君子は自ら強い意志を持ち、世の中を絶えず発展させ続けなければならない
地勢坤, 君子以厚載物:大地が豊かで素直であるように、君子は美徳を厚くし、大きな包容力を持たねばならない
20世紀初頭、梁啓超が清華大学で「君子を論ず」という講演を行った時、清華で学ぶ学生たちに中華民族の美徳の継承を期待し、《易経》の「自強不息」、「厚載物」を引用し、学生たちを激励した。後に、この8文字は、清華大学の校訓となった。
この講演で、胡錦涛さんは、早稲田の学生たちに、自らの母校、清華大学の校訓を引用し、世界の発展や学問の発展に貢献するよう激励するとともに、自らも中国でこの精神を貫き、ブレのない政治を行う決意を示されたのではないかと思う。
昨年5月に、中国の胡錦涛国家主席が来日された際、早稲田大学で講演をされた。
その時の講演内容から、取り上げます。
その時の講演内容から、取り上げます。
苟日新、日日新、又日新
Gou3ri4xin1, ri4ri4xin1, you4ri4xin1
(訳)新たな探究を志したなら、日々絶えず新しいことを追及し続けなければ
ならない
《礼記・大学》
湯之,《盤銘》曰:“苟日新,日日新,又日新。”《康誥》曰:“作新民。”《詩》曰:“周虽旧邦,其命维新。”是故君子無所不用其極。
湯:殷朝初代国王の成湯
盤銘:青銅器の上に刻んだ箴言(しんげん)。ここでの器は成湯の入浴(行水)用のたらい。
苟:もしも
新:体の垢を拭い去り、体をきれいにすること。翻って、古い体質を捨て、新しく生まれ変わること
作新民:古い体質を捨て、新しく生まれ変わるよう、促す
詩:詩経 大雅 文王
周:周朝
旧邦:旧国
其命:禀受天命 天命を受け継ぐ
是故:それゆえ
(訳)
殷の湯王が入浴用のたらいの上に刻ませた箴言に言うには:もし今日垢をぬぐって新たに生まれ変わったなら、以後も毎日、それを続けなければならない。周の成王の《康诰》に言うには:古い体質を捨て、新しく生まれ変わるよう、促さねばならない。《詩経》に言うには:周はふるい国だが、新たな天命を受け継いでいる。それゆえ、徳の備わった君主は完善を求め続けなければならない
これは、胡錦涛国家主席の母校、精華大学の校訓、「人文日新」の
もとになったことばです。
このあとに出てくることば、
天行健,君子以自強不息
については、次回、説明いたします。