前回に出した、中国語の文法間違いの練習問題も解答をお届けします。
一、次の文には、実詞の使い方に誤りがある。誤りを指摘し、その理由を説明せよ。
① 他為人処事一向很原則,很認真。
この文で、“処事”の状語(連用修飾語)として“原則”、“認真”が置かれているが、“原則”は名詞なので、状語にならない。ここは、“遵守原則”、或いは“尊重原則”としなければならない。
② 現在一些人很注意包装自己。包装可以,但不能太包装。
“包装”は物を包装したり梱包したりする意味で、人の性格を覆い隠す、という意味に用いることはできない。ここは、“包装”を“掩飾”に変えなければならない。
③ 除去行政楼外,几乎所有的窓子都明亮着不疲憊的眼。
“明亮”は形容詞で、そのままでは後ろに“不疲憊的眼”という名詞句を伴うことができない。ここは助詞“着”を“得”に変え、その後ろに像を挿入し、“明亮得像不疲憊的眼”とするとよい。
④ 実行新的管理制度以来,優質品率由過去的百分之八十提高到了百分之九十。
助詞“以来”は動作の起点以降の動作の連続性を示し、起点が強調されるが、この文では既に“優質品率”が“百分之九十”になったという結果に重点があるので、“以来”ではなく、“以后”を用いるべきである。
⑤ 護膚品在使用過程中難免不受外界汚染,微生物很容易大量生長繁殖,導致変質。
副詞“大量”と動詞“生長”は結びつかない。ここは、“生長”を削除し、“大量繁殖”とすべきである。
二、次の文には、虚詞の使い方に誤りがある。誤りを指摘し、その理由を説明せよ。
① 我認為一個人生活的太順利了倒是一種不幸。
動詞“生活”と形容詞“順利”の間は動詞・補語の関係があり、助詞は“的”でなく、“得”を用いなければならない
② 1980年5月18日上午,我国向太平洋預定海域発射的第一枚運載獲得圓満成功。
助詞“的”により、後段の“発射”は“火箭”の修飾成分になってしまており、成功したのは“火箭”となってしまっている。ここは、ロケットの打ち上げ行為の成功、という意味であるべきなので、“的”を削除すべきである。
③ 歌曲或曲譜各選1名,各贈金卡1張,享受本企業各類優惠卡10年。
接続詞“或”と副詞“各”をいっしょに使うのはおかしい。後ろの3か所の“各”を活かすなら、“或”を“和”に変えるべきである。
④ 在改善学生生活上,我們学校採取了一些措施。
方位詞“上”は、名詞+上の形で用いられるが、ここは動詞+賓語の形になっており、“上”を用いることができない。“上”を削除すべきである。
⑤ 這種鈣片能使鈣迅速沈積于骨骼上,達到了真正的補鈣目的。
助動詞“能”の位置がおかしい。この文で、言いたいのは、“達到真正的補鈣目的”が可能になることだが、“能”をこの位置に置くと、“能”が後段の“達到”にかからない。また、“使鈣沈積于骨骼上”は目的に達する理由を説明しており、“能”を付ける必要はない。よって、“能”の位置を“達到”の前に変えるべきである。
三、次の文は、ことばの組合せが適切でない。誤りを指摘し、その理由を説明せよ。
① 近几年来文壇非常活躍,小説、散文、詩歌的数量和質量都顕著地増加了。
“数量”が“増加”するのはよいが、“質量”が“増加”するのはおかしい。後段は、“小説、散文、詩歌都顕著地増加数量,提高質量了”とすべきである。
② 節日的公園洋溢着一派生机勃勃、欣欣向栄的景象。
“生机勃勃”、“欣欣向栄”とよく似たことばを並べて使っている。“欣欣向栄”は草木がすくすく伸びるように勢いよく発展する、という意味で、ここで言いたい「活気がある」という意味とは多少ずれている。“生机勃勃”は「活気がある」という意味であり、ここは“欣欣向栄”を削除すべきである。
③ 最稀奇古怪的軍備要数埃塞俄比亜人了。
“埃塞俄比亜人”の“軍備”が“最稀奇古怪”に数えられるのだから、“軍備”の位置がおかしい。“最稀奇古怪”を動詞“数”の前に出すのであれば、“最稀奇古怪的要数埃塞俄比亜人的軍備了”とすべきである。
④ 陳明仁却対肖毅精湛的藝術和医療態度十分佩服。
“精湛”(jing1zhan4 詳しくて深い。巧みで完璧である)は“藝術”と“医療態度”の両方にかかっているが、この修飾は“医療態度”とは結びつかない。助詞“的”の位置を変え、対肖毅的精湛藝術和医療態度とし、“精湛藝術”と“医療態度”の何れもが“十分佩服”につながるようにすればよい。
⑤ 他的煩悩憤懣之情,被山間明月和江山清風吹散了。
後段の“山間明月”、“江山清風”は何れも動詞“吹散”にかかっており、“江山清風”はよいが、“山間明月”が“吹散”するのはおかしい。
四、次の文にはことばの成分の欠如や余分がある。誤りを指摘し、その理由を説明せよ。
① 通過這些事実,使我們認識到進行愛国主義教育的重要性、必要性和迫切性。
ここで“認識”したのは、“愛国主義教育”そのものの“重要性”、“必要性”、“迫切性”であり、“愛国主義教育”の“進行”ではないので、“進行”は削除すべきである。 ② 我国足球運動的落后状况在社会上引起了很大反響,如果還按照以往的訓練、管理模式, 這種現状恐怕難有根本性的改変。
“按照以往的訓練、管理模式”は介詞“按照”+名詞で「以前の訓練、管理方式により」という意味で、「それでどうする」という動詞が欠けている。例えば後ろに動詞“教練”を挿入し、“按照以往的訓練、管理模式教練”とすべきである。
③ 来這里参観的人感慨万端,誰能想到,這緑茵茵的草場竟是寸草不生的荒漠!
副詞の使い方がおかしい。“竟”は現状の意外な現象を言う時に用いるが、ここは「以前は~であった」と言いたいので、“竟”を“原来”に変えなければならない。
④ 江西廬山風景区名人別墅将于4月20日在北京人民大会堂進行拍売。
副詞“将”の使い方がおかしい。4月20日という具体的な日付があるので、“将”を削除すべきである。
⑤ 全校師生在英雄事跡的感召下,好人好事如雨后春笋般涌現出来。
成語“雨后春笋”は名詞句であり、後ろに“般”を付けただけでは、“涌現”の状語にならない。“般”の後ろに助詞“地”を挿入する必要がある。
・感召 gan3zhao4 感化する。“的感召下”で、「~に感化されて」という意味に使う。
五、次の文にはどのような誤りがあるか。誤りの内容を指摘し、修正せよ。
① 王廠長的模範作用激発了広大工人的労働熱情,産量一下子提高到百分之二十。
動詞+“到”で動作の到達した状態を示すが、“産量”の増加の比率は、“百分之一百二十”としないと、20%増えたことにならない。或いは、“到”を削除し、“了”を加えると「20%増えた」となる。
② 豊富而深厚的生活積累是我們能否創作出好的文学作品的関鍵問題。
“生活積累”の形容として“豊富”は当てはまるが、“深厚”は当てはまらない。“深厚”の用途としては、“深厚的感情”(深い親しみ)、“深厚的基礎”(しっかりした基礎)という使い方をする。ここは、“而深厚”を削除すればよい。
③ 太和豆豉相伝原産于江西省的太和鎮而得名。
“相伝”、は「伝えられるところによれば~だそうだ」という意味だが、“原産于”で「~の原産である」と既に断定しているので、この上に“相伝”を被せるのはおかしい。ここは、“相伝”を削除すべきである。
④ 3年前我們相遇的時候,那時他雖然已経満頭華髪了,却精神矍鑠,也很健談。
最初のクローズ“3年前我們相遇的時候”で出会った時間を説明しているので、次の“那時”は全くの重複で意味がなく、削除すべきである。
・矍鑠jue2shuo4 年を取っても元気がよいこと。かくしゃくとした。
・健談 jian4tan2 口達者である。話上手である。
⑤ 不管天気多麼冷,運動員們却能堅持訓練。
接続詞“不管”に呼応するのは、“都”、“也”である。後段の“却”を“都”に変えるべきである。
⑥ 我們和農民一起,在山坡上昨天参加了植樹造林的緊張労働。
“昨天”の位置がおかしい。語順は、日時+場所+行動内容であるべきなので、後段は、“昨天在山坡上参加了植樹造林的緊張労働。”とすべきである。
⑦ 今天我們学習《詞的構成》這篇基礎知識短文的主要内容是合成詞的結構方式。
前半の“学習”の賓語“短文”が後半の主述文の主語の“主要内容”にかかっており、全体の文章の意味が通じなくなってしまっている。文章を二つに分け、“今天我們学習《詞的構成》這篇基礎知識短文,這個主要内容是合成詞的結構方式。”にすると意味が通じるようになる。
⑧ 大家的不同的意見,主要集中在如何更徹底地改革陳規陋習。
“不同”と“集中”をいっしょに使ったため、文の意味がわからなくなってしまっている。前の“不同”を削除すれば、“大家的意見”という前提を維持して文の意味が通じるようになる。
・陳規陋習 chen2gui1lou4xi2 古い規則と悪い習慣
⑨ 這次会議対引進外資問題交流了広汎的経験。
介詞“対”が受ける名詞句“引進外資問題”に“的”が抜けている。ここは、“引進外資的問題”となるべきである。
⑩ 在搶険防洪的戦斗中,経過4個多小時驚心動魄的同洪水搏斗,同志們奮不顧身跳進汹涌澎湃的激流,保住了大壩,戦勝了洪水。
文の順番がおかしい。“戦勝了洪水,保住了大壩。”となるべきである。
・搶険 qiang1xian3 河川、道路などが危険な状態になったとき、迅速に補修する。応急修理する
・驚心動魄 jing1xin1dong4po4 手に汗を握る
・搏斗 bo2dou4 格闘する
・奮不顧身 fen4bu4gu4shen1 身の危険を顧みず、勇気を奮って突き進む
⑪ 我們做任何事情,都要対于人民負責。
前段で、“做”の賓語として“任何事情”と言うことはできない。“任何”を削除すべきである。“任何”の代わりに“什麼”を入れても構わない。
⑫ 打開收音机時,小華総喜歓選那些歓快、激動的楽曲聴。
“歓快的楽曲”ということはできるが、“激動的楽曲”ということはできない。“激動人心的楽曲”と言わなければならない。激動の後ろに“人心”を加えるべきである。