目下、中国の庶民にとっての関心事は、物価の値上がり、特に野菜や豚肉の値段がどうなるかでしょう。
7月9日に国家統計局が6月の消費者物価指数を発表しました。
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(↓ クリックしてください。中国語原文が表示されます)
CPIとは、以前にも取り上げましたが、“Consumer Price Index”、消費者物価指数のことで、最近は中国の新聞のニュースでもすっかりおなじみになりました。これに対するのがPPI、“ Produce Price Index”、生産者物価指数です。
このCPIが、6月は“破六”、つまり6%を突破したというのです。これは、過去3年間の最高値である、とのことです。
“同比”tong2bi3とは、前年同月比。これに対し、前月比は“環比”huan2bi3です。2010年7月の前年同月比の消費者物価指数の上昇率は3.3%で、その後徐々に上昇を続け、6月に遂に6%の大台を突破した、というのです。
・這一輪 zhe4yi1lun2 量詞“輪”は、循環する動作や事物についていう。数詞は通常“一”。物価上昇は周期的に起こるので、“輪”を使っている。
・一路 yi1lu4 道中。途中。“~平安”が文字通りの使い方。ここから派生し、「ずっと」という意味に使う。“~領先”がその例。ここでも「ずっと」の意味。
・攀昇 pan1sheng1 上昇する。
・牽動人心 qian1dong4 ren2xin1 “牽動”は、一部の変動によって、他の部分の変動を引き起こす、という意味。つまり、「波及する」、「引き起こす」という意味になる。“人心”は文字通りの意味は「人々の心」だが、心、気持の内容まで包含することがある。例えば、“不得~”は、人心を得ることができない、とは「人々に憎まれる」という意味になる。“牽動人心”で、人々の関心を惹き起す、という意味になる。
・拐点 guai3dian3 曲がり角。ここでは、物価の上昇傾向が下落に転じることを言うのだろう。
□ 6月のCPI(消費者物価指数)「6%を突破」、過去3年の最高レベルに
6.4%、国家統計局が9日発表した6月のCPI(消費者物価指数)は上げ幅が前年同月比で一挙に6%の大台に乗せただけでなく、過去3年の最高を記録した。 2010年7月から始まったこの物価の激しい上昇は、既に1年続いている。3.3%から6.4%に、消費者物価の前年同月比の上げ幅はずっと上昇し続けている。一般民衆から専門家、学者まで、一つの問題が関心の的となっている――「6%突破」後、CPIがいつ曲がり角を迎えるか(つまり、下落に転じるか)。
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・八大類商品:CPIの統計範囲で、食品、たばこ・酒、衣料品、家庭設備用品及びそのメンテナンスサービス、医療保険及び個人用品、交通・通信、娯楽教育文化用品及びサービス、居住の八つを指す。合計262の基本分類商品とサービスが含まれる。調査地域は全国31の省、直轄市、自治区の500の市、県の6.3万点の調査地点で、それには食品雑貨店、百貨店、スーパー、コンビニ、専門市場、専売店、ショッピングセンター、農貿市場(いわゆる“街市”)、消費サービスセンター等が含まれる。
□ 食品類価格、特に豚肉価格が引き続きCPI上昇を先導
国家統計局のデータによれば、6月の全国の食品類価格は前年同月比14.4%上昇、CPI上昇に約4.26%影響を与えた。そのうち、豚肉価格は57.1%上昇、CPI上昇に約1.37%影響を与えた。
過去の物価上昇と同様、食品価格が値上がりの主要な担い手となった。しかし、CPIを構成する八つの商品とサービスの価格の前年同月比は何れも上昇した。CPIの高レベルの上昇と同時に、経済成長速度は鈍化し、私たちに今回の物価上昇は従来と異なり、背後に錯綜した複雑な要素があることを気付かせた。
「もしCPIの上昇幅だけで言うと、4%、5%、更に6%さえも、改革開放以来、嘗て出現したことがある。今回、これほど高度に重視する所以は、一つにはインフレ予測が比較的高いことと、もう一つは物価の動静に尚不確定な要素があることによる。この他、賃金上昇と物価上昇のスパイラルな上昇の問題にも警戒しなければならない。」中国社会科学院学部委員、経済学部副主任の劉樹成はこう語った。
流動性の過剰がもたらした比較的強いインフレ予測が、今回の物価上昇の特殊な背景である。中国人民銀行が北京市の預金者に行った最新のアンケート調査によれば、第2四半期の北京市民の物価上昇予測指数は73.4で、第1四半期、及び前年同期に比べ、それぞれ2.8、12.6上昇した。金融界で一般に考えられているのは、インフレ予測はしばしば「自己実現性」を備えており、一旦強烈なインフレ予測が形成されると、政府が多くの労力と長い時間をかけてはじめてこの予測を変えることができるということである。
人々が通常言うインフレとは、商品価格が引き続いて、一定の幅を越えて上昇することを指すが、資産価格の過度のスピードでの上昇もインフレに属する。国務院発展研究センター・マクロ経済研究員の張立群の指摘によれば、家賃価格は直接にはCPIに算入されていないが、過去数年の国内の家賃価格が連続して速い速度で上昇したことは、一般大衆に、お金が「羽が生えた」ようになったと感じさせ、住居費負担が重くなったことは、大衆の一般商品価格上昇の許容能力を大幅に弱めることになった。
このことから分かることは、国内外の一連の複雑な要素、及び豚肉など農産品の価格の周期的、季節的変動がいっしょになって、今回の物価上昇を引き起こし、中国経済の成長速度を引き下げ、食糧が連続して豊作であったにもかかわらず、依然として物価上昇幅が引き続き上昇するという稀な情勢が出現し、対策の難しさも大幅に増加した。
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・翹尾因素 qiao2wei3 yin1su4 前年の年末の物価上昇が翌年に影響を及ぼすこと。数ヶ月間、なだらかな曲線を描いていた物価が、年末になって突然跳ね上がることを“翹尾”という。そして、経済動向は直前の経済情勢の影響を受けるため、翌年の年初の経済動向はこの前年の年末の物価上昇の影響を受ける。このことを“翹尾因素”という。英語では“Carryover Effects”。
□ CPIの上昇はいつ曲がり角を迎えるか?専門家は理性的な分析を行った
「CPIが6月に「6%台を突破」したのは、より多くは昨年下半期以来の続けざまの物価上昇の波及要素が今年上半期の度重なる遅延を反映し、かかる波及要因が既に最高潮に達したことによるもので、恐れる必要はない。むしろ、実は多くの新たな物価上昇要因が、国の引き締め政策により、正に収斂を迎えている。」張立群はこのように指摘した。国家統計局の推計によれば、6月の6.4%のCPIの前年同月比の上昇中、前年からの波及要因が3.7%を占め、新たな物価上昇要因は約2.7%である。
昨年以来、連続12回の預金準備率の引き上げと5回の金利引き上げにより、国内の流動性の過剰状況は正に効果的に緩和されつつある。全国の広義の貨幣供給量M2残高の伸び率は既に30%前後の高レベルから5月末には15.1%に下落し、既に経済成長率とCPIの前年同月比の上げ幅の総和に近づき、これまでの歴史での経験値は、通常4%を上回ったあたりである。
「貨幣政策の引き締めの効果は予想を上回り、通貨の角度から見ると、更なる物価上昇の可能性は減少している。」国家情報センター経済予測部副主任、祝宝良はこのように分析した。
国際的な相場商品の価格は全体的に高レベルから下落しており、外因的なインフレ圧力は緩和した。我が国の製造業の調達価格指数は3月の70%前後から6月は56.7%に下落した。川上のPPT(生産者物価指数)は、6月は前月と同レベルを維持し、川下のCPIの圧力を緩和した。
市場の供給関係は全体的に予想より好転した。張立群によれば、国の大幅な支援により、冬播き小麦は8年連続で豊作となり、野菜や西瓜が大量に市場に出回り、前月比で価格が下落し、豚肉価格が周期的な上昇をした以外は、農作物の需要と供給の関係は、予想を上回って改善した。とりわけ不動産の分野は、国の引き締め政策により、投機的な需要に打撃を与えた。
「皆が言っているコストが物価を押し上げている要因だというのは、事実ではあるが、コストの上昇と同時にしばしば技術の進歩も推進され、部分的に価格の上昇を吸収している。」このように張立群は特に強調した。
国家発展改革委員会価格局の責任者はこれに先立ち次のように明確に表明した:下半期は前年からの波及要素が急速に終息し、新たな物価上昇要因は引き続き抑制され、CPIの前年同月比の上げ幅は高レベルから下落し、通年の物価は制御可能な範囲内で推移するだろう。
国家統計局の前総経済師、姚景源の予測によれば、CPIの前年同月比の上げ幅は今年の第3四半期には鎮静化を開始し、第4四半期には明らかに下落するだろう。
(新華社北京7月9日電による)
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民生重視に舵を切った現政権にとって、庶民の関心事、物価のコントロールは大変重要な問題で、特に昨今の豚肉値上がりへの対策が急務となっています。昨日(7月13日)も、国務院常務会議で養豚業者への手厚い政府補助金政策が発表されました。物価安定、インフレ抑圧のための景気引き締めは、様々なところに波及するだけに、今後も注視が必要です。
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