【5】平仄の現代漢語での活用
以上述べたように、平仄で縛られるのは古代の律詩であるが、元々、平仄は中国語の音韻の特性に基づき、読みやすく、聴いて耳に快い感覚から生まれたものであるので、現代文にもこの平仄の技法は活かされている。
例えば、多くの四字格の成語では:
① 前功尽棄/餐風飲露/単槍匹馬/来龍去脈/銅墻鉄壁/偸工減料
② 視死如帰/異想天開/画餅充飢/問道于盲/断簡残編/痛改前非
例①の成語は平平仄仄、例②は仄仄平平である。どちらも、平仄が相対していて、読んでみると調子が良く、聴くと耳に心地よい。
現代の韻文は一般に句中の音節の平仄は問わないが、句末の音節の平仄には気をつける。これには二つの型がある:一つは“上仄下平”で、これは戯曲の歌の歌詞の基本的な型である。もう一つは“同調相押”、または“一条龍”と呼ばれ、韻脚(句末の韻)に同じ声調の同じ韻の文字だけを用いるもので、快板書、歌謡などがこの方式を常用している。
老舎はこう言った:「中国語の中で、文字は平仄に分かれる。平仄を変えることは、私たちの詩の様式の発展の上で大きな役割を果たした。私たちは今日既に散文を書いたり芝居を書く時に、この点を無視しがちで、話を書くことばかり考え、声調の美しさに注意するのを忘れている。しかし実は、たとえ散文を書く場合でも、平仄の排列にも気をつけるべきである。」(《戯話浅論》)
例えば:
③ 一張白紙,没有負担。
④ 好写最新最美的文字,好画最新最美的画図。
例③の上の句、“白紙”は平仄、下の句“負担”は仄平。例④の上の句“文字”は平仄、下の句の“画図”は仄平。平仄の調和をとるため、個別の語句の語順を変え、“画図”と言って、図画とは言わない。文章全体に抑揚や強弱がつき、調和がとれて、読みやすい。
以上をまとめると、現代の散文の平仄の調和は主に二つの面で表現される:一つは語句の末尾は平仄が呼応しているかどうか注意する。一般には前が仄声、後ろが平声である;もう一つは、平仄の重複、変化に注意する。一般には二文字ごとに変化させる。
(本稿 了)
にほんブログ村
人気ブログランキングへ