中国語学習者のブログ

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四合院、その門を構成する各部分について

2020年02月03日 | 中国文化

今回は、四合院の門を構成する各部分について、ご紹介したいと思います。

(1)門板(戸板)
先ずは戸板です。戸板の材料は、門の形状と同様、富貴尊卑を表わす手段になりました。木の門が一般的ですが、木材は吟味して選ばれました。しかし、たとえばエンジュの木は、「槐」の字の片側が「鬼」であるので、使うのは避けられました。四合院の表門に使う門の扉は、通常「実榻門」と「棋盤(ごばん)門」の二種類があります。前者は戸板の芯材と扉が同じ厚みであり、後者は戸の枠に木の板をはめ、横木を架け渡したもので、それによってできる格子縞(じま)が碁盤に似ているのでこう呼ばれます。

実榻門

棋盤門

門の色については、「人の主たるは黄が宜しく、人の臣たるは朱が宜しい」とされ、漢や唐の時代の黄色の門は大変高貴なものでした。朱塗りの大門もかつては至尊至貴のしるしとされました。朱色の扉の家は「九錫」に列せられました。「九錫」というのは、天子の諸侯、大臣に対する最高の礼遇を指し、朝廷から九種の器物を賜ったことによります。朱色の扉を賜るというのは、朝廷から極めて高い待遇を受けたことを意味しました。黒色の大門はどこにでもあり、官吏以外の家の門の色でした。こういう黒色は「黒煞神」(道教の守護神)と呼ばれ、これを門にすると、邪気が入ってきにくく、門の色そのものが門神でした。5世紀から6世紀にかけての南北朝時代には彩色上絵をした門が現れ、あるものは草花、あるものは龍や鳳が描かれました。これと相反するのが「白板扉」で、色を塗らず、木の地のままで、これは農家の素朴な生活を反映していました。

門の戸板にも装飾が施されました。故宮の大門上の銅の「門釘」は中でももっとも凝ったものです。これはもともと木の板の門の製作上の必要から始まったものですが、後になって、「門釘」の装飾効果がより重要になってきます。更に、一般の家の門扉は、門環、門鈸、鋪首、鉄包葉などで飾られています。

門釘

(2)門環
門の扉の把手(とって)を「門環」と言い、門を開け閉めするのに用いられました。門の上の銅の輪(わっか)の把手を「鋪首」と言います。門の上の金属の器物を俗に「響器」と言い、正式には「門鈸(はつ)」と言います。最もよく見かける門鈸は六角形をしており、形状は銅製の「鈸」(はつ。民族楽器の一種で、銅製のシンバルのようなもので、中央が半円形に盛り上がっている)の様な形をしています。四方は約七寸と言いますから、20-25センチ。真ん中に突起があり、六つの角には穴が空いていて釘を通すようになっており、門板の上に釘付けされます。門鈸には獣頭の形のものがあり、獣面と呼ばれます。一般の門鈸は鉄製で、突起の出た中央部には木の葉のように鉄片が垂れ下がっており、来客が門鈸を軽くたたき、屋敷の中の人を呼んで門を開けてもらうことになります。よく知っている人は、たたく回数、たたく強さが決まっていたそうです。

門鈸

門鈸から更にその家の主人の地位もわかります。宮殿や王府は銅製のもので、龍の頭か獅子の頭の形で、半楕円形の輪が付いています。官吏や商人の邸宅は銅製の六角形で、縁飾りや円に沿って木の葉模様が付いています。一般庶民の家は鉄製でした。

上の写真の門鈸は、元々この上に銅の輪が付いていて、ちょうど下の銅のボタンに当たるようになっていました。客が訪ねて来ると、輪を軽く打ち叩き、屋敷の中の人を呼ぶことができました。

(3)門簪
「門簪」(もんさん)は門の扉の上軸の連結柱を鴨居に固定する部品です。その位置が門の上の鴨居にあり、先が突き出ており、形が婦人の頭に挿す簪(かんざし)のようであるので、「門簪」と言います。一般には二つか三つ、多いものは四つか六つ用い、上に彩色の図柄を描いたり字を書いたり(彫ったり)します。

門簪

門簪は四角形、長方形、菱形、六角形、八角形等多くの形があり、図柄は四季の花が比較的多く、それ以外に春蘭、蓮、菊、梅の花を刻んだもの、文字は「吉祥如意」、「福禄寿禧」、「天下太平」等の字句が書かれました。

(4)門檻(敷居)と框(かまち)
「門檻」(敷居)は門の下の一本の横木です。門は一般に内側に開くので、敷居は一般に門の外にあります。門を閉めた時、門の前に敷居があり、門の内側には門閂(かんぬき)があり、門はしっかりと閉じられます。ちなみに門閂(かんぬき)は、門の内側に通す一本の横木です。

門檻(敷居)

敷居の高さと門の大きさは関係があります。およそ門の大きいものは、敷居が高くなければならず、必然的に身分の高い人の家となります。したがって人々はよく、「お宅は敷居が高くて、誰も行く勇気がない」と言う訳です。

家猫が敷居に寝そべっているのは、吉祥の兆候と見做されます。なぜなら猫は主人を助ける動物であり、敷居に寝そべっているのは、主人の為に持ち場にいてくれており、見知らぬ人が入ってくるのを防いでくれているからです。各地の風俗習慣でも、敷居の象徴的な意味が見られます。人を座らせてよい、人を座らせてはいけない。足を踏み入れてよい、足を踏み入れてはならない、等々。魯迅の小説、『祝福』の中で、祥林嫂は、死後、閻魔様に身をのこぎりでふたつに切られ、亡きふたりの夫に分けられることのないよう、その土地の廟(道教の寺院)に敷居をひとつ寄進し、自分の身代わりにして、人が足を踏み入れるに任せ、これによって「罪」をあがなおうとしました。

門を構成する部品には、戸板の他、敷居をはじめ、「檻」という横向きの部品があります。門檻(敷居)は「下檻」、門簪を取り付けるのは「中檻」、更にその上には「上檻」があります。一方、「框」(門の枠。かまち)というのは縦向きの部品です。「抱框」、「門框」があります。

門の各部分の名称

門簪は門扉の上軸を固定し、門の枕石の中心に据付けられた鉄の鋳物の「海窩」で門扉の下軸を固定します。門の外の「抱鼓石」と門の内側の門枕はいっしょにつながり、上面には鳥獣や草花の模様が彫られ、実用的で、且つ美しいものです。石鼓には獅子の彫り物をしたものがあり、吉祥を得るという意味があります。門の回転をなめらかにする為、下軸の海窩の中には常に多少の油を差す必要があります。そうすると、門の開け閉めが軽くなり、音もしなくなります。

門枕石(下の土台部分)と
抱鼓石(上の円筒部分)

抱鼓石