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中国語の構造:詞と詞組の違いについて

2010年08月26日 | 中国語
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 中国語の構造を、語素からはじめ、文法の基本単位である詞まで見てきましたが、今回は、詞を組み合わせた詞組を取り上げます。詞組は、詞を組み合わせたものでありながら、おもしろいことにその意味や構造に違いがあります。そして、そのことばが詞であるのか、詞組であるのかを分析することは、文の意味、構造を理解する手助けになります。それでは、詞と詞組の違いについて、見ていきましょう。

                       詞と詞組

 詞は語素から構成され、詞組は詞から構成される。詞組は“短語”とも呼ばれ、詞より大きい言語単位であり、二つ、或いは二つ以上の実詞で構成され、且つ文にならない言語単位である。詞と詞組の区別は以下の三点から説明できる。

  意味の上から見ると、詞組も明確な概念を持っている。例えば、“感謝母親”、“生産的知識”、“革命的意志”といったものだが、詞のような簡単な概念を表すのではなく、複合的な概念を表す。

 語音構造から見ると、詞の内部では停頓(ポーズ)は許されないが、詞組の内部はポーズを置くことができる。同じ“東西”を、詞の時(「もの」の意味)と詞組の時(「東側と西側」の意味)とで比較するとよくわかる。詞の“東西”(発音はdong1xi)の語音構造は固定的で、“西”は軽声であり、末尾にのみポーズを置くことができる。一方、詞組の“東西”(発音はdong1xi1)では、“西”は軽声ではなく、語音構造はあまり固定しておらず、中間にポーズを置いても構わず、また“東和西(dong1 he2 xi1)”と言うこともできる。

 文法面から見ると、詞は文法的に独立して運用できる最小の単位である。詞組も、文法構造に則った運用単位であるが、最小ではなく、これを更に詞の単位に分けて分析することができる。例えば、“感謝母親”は「動詞+賓詞」と分析でき、“生産的知識”は「定語+中心語」と分析できる。

  詞と詞組を区別してやることは、文の構造、意味を理解する上で、重要である。現代漢語の語彙は、二つの不定位語素から構成される合成詞が絶対多数を占めている。その中のいくつかの語素は、単独で使われ、詞となる。しかし、これらの構成様式は、詞組の構成様式とよく似ているため、このことは、いくつかの詞と詞組を混同しやすくしている。例えば、“黒板”と“白花”は何れも附加式の構造である。“骨肉”と“血肉”、“心腸”と“胃腸”は何れも連合式の構造である。“打場”と“打虎”は支配式の構造である。“頭痛”(“傷脳筋”、頭を悩ます、の意味で使った時)と“手痛”は陳述式の構造である。それでは、これらのどれが詞で、どれが詞組なのだろうか。これについても、概念の内容、音節の特徴、結合関係の三つの面から回答を求めることができる。

 詞と詞組は、概念の表現の上で、一定の違いがある。詞が表現する概念は一般に比較的単純で、固定的である。したがって、合成詞の中で語素が表す意味は融合されて一つになり、簡単には付け足すことができない。例えば、“黒板”は“黒的板”ではないので、詞である。“白花”は“白的花”であるので、詞組である。“骨肉”(肉親、緊密な間柄の意味)は、“骨和肉”ではないので、詞である。“血肉”は“血和肉”であるので、詞組である。“打場”(脱穀すること)は“打場地”ではないので、詞である。“打虎”は“打老虎”であるので、詞組である。“頭痛”は“頭部疼痛”ではないので、詞である。“手痛”は“手部疼痛”であるので、詞組である。これらは、意味の上からの区別である。

 詞の音節の特徴も、詞と詞組を区別する参考条件になる。中国語の詞は多数が二音節である。したがって、二音節の形式が、しばしば現代漢語の中の詞の語音形式と考えられる。しかし、この特徴は絶対的なものではない。なぜなら、全ての二音節構造の語が詞であるわけではなく、また二音節でない詞もあるからである。音節の特徴を応用して詞と詞組を区別する時は、その他の面の特徴と併せて分析しなければならない。

 詞と詞組の区別で、最も重要なのは、これらの各構成成分の間の結合関係がそれぞれどうなっているかである。合成詞の各成分の間では、結合関係はたいへん緊密で、勝手に切り離したり、随意に別の成分を加えたりすることはできない。例えば、“長短”は、詞として使う場合、“長度”(長さ)、“意外的変故”(意外なできごと)、“是非”(善し悪し)などの意味であり、したがって分解して解釈することはできず、“長和短”と言うことはできない。一方、詞組の“長短”は異なり、分解して解釈することができ、別の詞を間に加えることができる。同様に、詞としての“語言”は“語和言”と言うことはできない。詞としての“水土”(気候風土の意味)は“水和土”と言うことはできない。

 詞と詞組は明確な区別があるとともに、密接な関係があり、詞組が詞に転化したり、詞が詞組に転化することができる。これについては、以下の二つの面に分けて考えることができる。

(一)詞組の短縮、凝縮

 現代漢語の中のいくつかの詞組、とりわけ事物の意味を表す詞組は、その中のいくつかの成分を抽出して略称とすることができる。これは、しばしば詞組が短縮され、新たな詞が構成されるプロセスである。例えば:

     整頓作風 → 整風     掃除文盲 → 掃盲
     安全理事会 → 安理会     中国語言文学系 → 中文系

 略称の形式で通常見られるのは、以下のいくつかのやり方である。

1.名称全体の中から中心成分を取る。例えば:
     中国人民解放軍 → 解放軍
     中華人民共和国国務院 → 国務院

2.二つの並列する成分の中の共通の語素を省略する。例えば:
     中学小学 → 中小学     工業農業 → 工農業
     理科工科 → 理工科     海軍陸軍空軍 → 海陸空軍

3.詞組の中のある成分を抽出する。例えば:
     全国総工会 → 全総     文化教育 → 文教
     経済委員会 → 経委、経委会     五月四日 → 五四

4.数を表示し、概括する。例えば:
     初伏、中伏、末伏 → 三伏
     身体好、学習好、工作好 → 三好

     開口呼、斉歯呼、合口呼、撮口呼 → 四呼

(字音を韻母で分類する時、iまたはiで始まる韻母の字音を“斉歯呼”、uまたはuで始まる韻母の字音を“合口呼”、ű またはűで始まる韻母の字音を“撮口呼”、それ以外の韻母の字音を“開口呼”という。“四呼”はこれらの総称)

(二)詞の分解、或いは分裂

  いくつかの合成詞は、しばしば分解され、その中間に別の成分を挟むことができる。例えば:

   理髪 → 理一次髪   革命 → 革保守派的命   鞠躬 → 鞠個躬
   看見 → 看得見、看不見   提高 → 提得高、提不高

 詞を分解し、別の成分を挿入して詞組を構成することは、詞の本質的な特徴ではなく、全ての詞がこのように分解できる訳ではない。その範囲は限定され、少数の支配式と補充式の合成詞だけがこのようにでき、しかも挿入できる詞も限られたものだけである。

 それゆえ、詞を勝手に分解してはならない。例えば、“決議”を“決個議”と言ったり、“動員”を“動一次員”と言ったり、“立正”を“立一下正”、“駕駛”を“駕一次駛”と言うことはできない。

 詞と詞組はこのように密接な関係にあり、互いに詞から詞組、詞組から詞へと転化することができる。言語の建築材料としての語彙は、ことばの中のあらゆる詞を含むだけでなく、成語、歇后語といった固定詞組も含むのである。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂本 上海教育出版社1995年

 以上、何回かに分け、語素、詞、詞組という言語単位から、中国語の構造を見てきました。しかし、中国語の構造を文法的に見る時の基本単位は詞です。そこで、次回からは、詞の構造について、詳しく見ていきたいと思います。


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