中国語WEBの百度知度で反義語を含む成語について調べていたところ、成語の対句構造に着目した文章があった。それをベースに、私の理解も加味して日本語にしてみた。ご一読いただき、ご意見いただければ幸甚である。
成語中の対句構造について
中国語の成語で、四字成語が表示する客観的な事物や現象は対句的な修辞や色彩を持っているものが多い。
例えば、
①“鶏腸鼠肚”の中の“鶏腸”対“鼠肚”
②“嘔心瀝血”の中の“嘔心”対“瀝血”
③“融会貫通”の中の“融会”対“貫通”
④“人寿年豊”の中の“人寿”対“年豊”
このような内に対句を持つ成語が形成する派生義(派生する意味)、或いは比喩義(比喩する意味)は元の対句には無いものである。例えば“街談巷議”は社会の世論(輿論)という意味となり、“戴月披星”は朝早く出かけ晩遅く帰り、外で懸命に働くことを形容する。
一 、成語内対句の構造
四字の対句形式の成語の構造関係は、一二文字目と三四文字目の結び付きが緊密で、ふたつの語句を前後で組み合わせて、成語のふたつの部分となっている。ふたつの部分の組み合わせにより、対偶法の修辞を形成している。二文字の語句の形成は、通常、偏正、動賓、動補、主謂の四種類の構造がある。
[注]対偶法: 語格や意味などの相対した語句を用いて効果を強める修辞法のひとつ。例えば、“下筆千言,離題万里”(筆を下せば千言、題を離れること万里)
1、偏正構造の対句
[注]偏正構造:修飾構造。中国語の基本的な統合関係のひとつ。二つの成分が「修飾(限定)するもの+修飾(限定)されるもの」の関係で結ばれる。“偏正詞組”ともいう。
上記で例とした、①“鶏腸鼠肚”の中の“鶏腸”と“鼠肚”は何れも偏正構造の名詞句が並列し、対句になってできた成語で、意味は全く変わり、「度量が狭く、細かいことばかり考え、大局を考慮できない」ことの比喩となる。
例:蛛絲馬跡、旁門左道、鶏毛蒜皮、甜言密語、方柄圓鑿、金戈鉄馬、人面獣心、天香国色、金口玉言
何れもふたつの偏正式名詞が前後に組み合わさり新しい意味を生じたもので、この種の成語は前後を入れ替えても意味は変わらない。
例えば、“天香国色”は“国色天香”ということができ;“金戈鉄馬”は“鉄馬金戈”ということができる。
また、偏正構造の動詞句を組み合わせて成語としたものがある。
例:始乱終棄、潜移黙化
また、偏正構造の形容詞句を組み合わせて成語にしたものがある。
例:窮凶極悪、四平八穏
2、動賓構造の対句
②の“嘔心瀝血”:“嘔心”、“瀝血”は動詞+賓詞(目的語)構造の語句で、動賓詞が並列することで新しい語義を生みだし、「いろいろ知恵を絞る」という意味の比喩となっている。
例:捶胸頓足、損兵折将、捕風捉影、偸鶏摸狗、披肝瀝胆、斬釘截鉄、閉月羞花、
沾花惹草
これらの成語を構成する動賓構造の語句の関係は、全て“動+名”である。
また、“動詞+形容詞”の動賓構造の対句が成語を構成するものがある。ただ、実際にはこの場合、形容詞は事物化され、名詞になっている。
例えば、“披堅執鋭”の“堅”と“鋭”は既に名詞化し、“堅固な鎧”及び“鋭利な武器”を指し、並列して組み合わさり、戦いの勇ましい様を比喩している。
例:標新立異、撥乱反正、装瘋売傻、喜新厭旧、挑肥揀瘦、改邪帰正
3、動補構造の対句
③の“融会貫通”のふたつの部分の語句は、それぞれ動詞+補語の構造であり、やはり前後に並列しそれが相対することで、「あらゆる知識や道理を知り尽くすことによって、完全に理解する」という新しい語義を生みだしている。
例:除干打尽、斬尽殺絶、修正校対、穏定平衡
4、主謂構造の対句
④の“人寿年豊”の前後のふたつの部分の語句はそれぞれ主述構造であり、前後に並列することで、「体は健康で、作物の豊作で、生活がすばらしい」という意味になっている。
例:龍飛鳳舞、耳聡目明、口是心非、情投意合、室迩人遐
二 、成語中の対句間の対のでき方
成語内のふたつの対句の対のでき方は、通常、同類の語が対となるもの、同義の語が対となるもの、反義の語が対となるものが見られる。
(一) 同類語の対
対となる“語”(“詞”:独立して運用できる、意味を有する最小の言語単位)の種類は、現代漢語の“詞”の分類と同じく、名詞、動詞、形容詞、数詞、数量詞、代詞である。尚、対となる語は、二文字の語句の前の場合も後ろの場合もある。
1、名詞の対
例:東奔西走、黄童白叟、麞頭鼠目、禍棗災梨、斗転星移、酒酔飯飽、品竹弾絲、雕梁画棟、鉗口結舌
“東”と“西”は方位名詞の対。“童”和“叟sou3”は人倫名詞の対。“麞zhang1”(キバノロ)と“鼠”は動物名詞の対。“棗”と“梨”は植物名詞の対。 “斗”と“星”は天文名詞の対。“酒”と“飯”は飲食名詞の対。“竹”と“絲”は楽器名詞の対。“梁”と“棟”建筑物名詞の対。“口”と“舌”人体器官名詞の対である。
2、動詞の対
① 具体的動作、行為を表す。例:丢盔棄甲、左顧右盼
② 心理状態やその活動を表す。例:思前想后、深謀遠慮
③ 判断、存在を表す。例:古是今非、无独有偶
3、形容詞の対
① 形状を表す。例:外圓内方、天高地厚
② 性質を表す。例:氷清玉潔、天昏地暗
③ 状態を表す。例:紅男緑女、愁眉苦臉
4、数詞、数量詞の対
数量詞が対を形成するものはそれほど多くない。
例:二次三番、三年五載
数詞はたくさんあり、主に三種に分かれる。
①確数(確定した数)
例:三皇五帝、三綱五常、三従四徳
②概数
例:千絲万縷、三令五申
③指数、代数
例:挙一反三、顚三倒四
5、代詞の対
① 指示代詞の対。例:顧此失彼、此起彼伏
② 人称代詞の対。例:你死我活、尓虞我詐
(二) 同義語の対
対となる前後二句が反映している客観的な事物や現象が、その意味の上で同じか近いもの。例えば、“半斤八両”は、昔の度量衡では、一斤が十六両であるので、半斤は八両に等しい。
例:孤家寡人、赤県神州
(三) 反義語の対
通常、名詞、動詞、形容詞で見られ、語義上は同じ範疇に属するが、語義は相反する。語の性格は同じなので、対を構成する。
例えば、“東隣西舍”中の“東”と“西”は方位名詞。“取長補短”中の“長”と“短”は形容詞であり、長さを指す。
例:天南地北、朝秦暮楚;東拉西扯、鑚天入地;寛打窄用、説長道短
同義語と反義語が組み合わさり対句となり四字成語を形成するものは、数えきれないほどある。
例:憶苦思甜、生離死別、長吁短嘆、明争暗斗、好逸悪労、棄暗投明
これより以下のことがわかる。同類語、同義語、反義語の四字で構成される四字成語には「対を成す」という特徴があり、埋め込まれる語(詞)は、語義上は同じ、類似、反対であっても、構造上は皆対であり、組み合わされて成語となると、語義の変化を生じる。
例えば、“東”と“西”はふたつの方向を表すが、見ることを表す動詞“張”と“望”がはめ込まれると、全方位を表し、“到処”(至る所)の意味になる。“長”と“短”は長さを表すが、動詞“取”と“補”をはめ込まれると、語義は転化し、“優点”と“缺点”(長所と短所)の意味になる。
三、対句の相互の関係
四字成語を構成するふたつの対句の意味上の関係は、相関関係、対立関係、因果関係の三つに分類される。
1、相関関係
前後ふたつの対句は相関、相似した事物、或いは同一事物の両面であり、意味上互いに補い合い、互いに補いながらひとつのことばを構成し、ひとつの道理を説明する。
例えば“烏飛兔走”の中の“烏”“兔”は動物類の名詞対で、それぞれ伝説中の太陽の中の金烏、月の中の玉兔を指す。ここでは“烏”が太陽を指し、“兔”が月を指す。“飛”“走”は動詞対で、何れも行動がたいへん早いという意味。“烏飛”と“兔走”は主述構造の対で、合わせて「時間の経つのが早い」というひとつの道理を表す。
また例えば、“兵秣馬”,は“兵”と“秣馬”ふたつの動賓構造の対句から成るが、“兵”の意味は武器を磨くこと、“秣馬”の意味は馬に餌をやること、すなわち武器を整備し、馬に十分餌を与え、戦いの準備をすることを形容する。
また例えば、“帰馬放牛”は“帰馬”と“放牛” ふたつの動賓構造の対句から成るが、馬と牛は古代の戦争では、何れも徴用され、“汗馬功労”、戦功を立てるのに使われたのである。“馬”と“牛”の前にそれぞれ動詞“帰”“放”が加えられるのは、馬と牛が戦の徴用から解除されたということで、天下が太平で、戦争が無いことを表す。
これら相関関係の成語は、前後ふたつの部分の組合せに弾力性があり、語順が変わっても意味は変わらず、動作行為に前後、主従の区別は無い。
2、対立関係
前後ふたつの対句は、相反し相対立する事物やひとつの事物の対立面であり、互いに対照し、互いに相反しながら互いに成り立たせ合い、ひとつの道理を表す。
例:①陽奉陰違、②古是今非、③泰山鴻毛。
①“陽奉”対“陰違”:前者は表面上の服従を言い、後者は陰で反抗することを言う。
②“古是”対“今非”:一対の名詞の反義語と一対の動詞の反義語が交叉して対を構成している。古代から現代までの功労と過失、正しいことと正しくないことを論評することを言う。
③“泰山”対“鴻毛”:前者は地理名詞で、重いことを表す。後者は動物類名詞で、軽いことを表す。 “軽”、“重”の対比に“泰山”と“鴻毛”を使うことで、軽重の差が甚だしいことを比喩する。
その他の例:好逸悪労、遠交近攻、貪生怕死,正反成対,啓人深思,明其事理
3、因果関係
前後ふたつの対句が相互に継承し、条件、因果、目的等の関係を表す。
例:兔死狐悲、前赴后継、触目驚心、水滴石穿、順藤摸瓜、贪小失大、打草惊蛇、見異思遷、得意忘形、唇亡歯寒、春華秋実
[参考]http://zhidao.baidu.com/question/93457925.html
中国語をより深く理解する上で、成語に含蓄されている意味、派生、比喩を理解することは重要である。皆さんの今後の学習の一助になればと思う。
成語中の対句構造について
中国語の成語で、四字成語が表示する客観的な事物や現象は対句的な修辞や色彩を持っているものが多い。
例えば、
①“鶏腸鼠肚”の中の“鶏腸”対“鼠肚”
②“嘔心瀝血”の中の“嘔心”対“瀝血”
③“融会貫通”の中の“融会”対“貫通”
④“人寿年豊”の中の“人寿”対“年豊”
このような内に対句を持つ成語が形成する派生義(派生する意味)、或いは比喩義(比喩する意味)は元の対句には無いものである。例えば“街談巷議”は社会の世論(輿論)という意味となり、“戴月披星”は朝早く出かけ晩遅く帰り、外で懸命に働くことを形容する。
一 、成語内対句の構造
四字の対句形式の成語の構造関係は、一二文字目と三四文字目の結び付きが緊密で、ふたつの語句を前後で組み合わせて、成語のふたつの部分となっている。ふたつの部分の組み合わせにより、対偶法の修辞を形成している。二文字の語句の形成は、通常、偏正、動賓、動補、主謂の四種類の構造がある。
[注]対偶法: 語格や意味などの相対した語句を用いて効果を強める修辞法のひとつ。例えば、“下筆千言,離題万里”(筆を下せば千言、題を離れること万里)
1、偏正構造の対句
[注]偏正構造:修飾構造。中国語の基本的な統合関係のひとつ。二つの成分が「修飾(限定)するもの+修飾(限定)されるもの」の関係で結ばれる。“偏正詞組”ともいう。
上記で例とした、①“鶏腸鼠肚”の中の“鶏腸”と“鼠肚”は何れも偏正構造の名詞句が並列し、対句になってできた成語で、意味は全く変わり、「度量が狭く、細かいことばかり考え、大局を考慮できない」ことの比喩となる。
例:蛛絲馬跡、旁門左道、鶏毛蒜皮、甜言密語、方柄圓鑿、金戈鉄馬、人面獣心、天香国色、金口玉言
何れもふたつの偏正式名詞が前後に組み合わさり新しい意味を生じたもので、この種の成語は前後を入れ替えても意味は変わらない。
例えば、“天香国色”は“国色天香”ということができ;“金戈鉄馬”は“鉄馬金戈”ということができる。
また、偏正構造の動詞句を組み合わせて成語としたものがある。
例:始乱終棄、潜移黙化
また、偏正構造の形容詞句を組み合わせて成語にしたものがある。
例:窮凶極悪、四平八穏
2、動賓構造の対句
②の“嘔心瀝血”:“嘔心”、“瀝血”は動詞+賓詞(目的語)構造の語句で、動賓詞が並列することで新しい語義を生みだし、「いろいろ知恵を絞る」という意味の比喩となっている。
例:捶胸頓足、損兵折将、捕風捉影、偸鶏摸狗、披肝瀝胆、斬釘截鉄、閉月羞花、
沾花惹草
これらの成語を構成する動賓構造の語句の関係は、全て“動+名”である。
また、“動詞+形容詞”の動賓構造の対句が成語を構成するものがある。ただ、実際にはこの場合、形容詞は事物化され、名詞になっている。
例えば、“披堅執鋭”の“堅”と“鋭”は既に名詞化し、“堅固な鎧”及び“鋭利な武器”を指し、並列して組み合わさり、戦いの勇ましい様を比喩している。
例:標新立異、撥乱反正、装瘋売傻、喜新厭旧、挑肥揀瘦、改邪帰正
3、動補構造の対句
③の“融会貫通”のふたつの部分の語句は、それぞれ動詞+補語の構造であり、やはり前後に並列しそれが相対することで、「あらゆる知識や道理を知り尽くすことによって、完全に理解する」という新しい語義を生みだしている。
例:除干打尽、斬尽殺絶、修正校対、穏定平衡
4、主謂構造の対句
④の“人寿年豊”の前後のふたつの部分の語句はそれぞれ主述構造であり、前後に並列することで、「体は健康で、作物の豊作で、生活がすばらしい」という意味になっている。
例:龍飛鳳舞、耳聡目明、口是心非、情投意合、室迩人遐
二 、成語中の対句間の対のでき方
成語内のふたつの対句の対のでき方は、通常、同類の語が対となるもの、同義の語が対となるもの、反義の語が対となるものが見られる。
(一) 同類語の対
対となる“語”(“詞”:独立して運用できる、意味を有する最小の言語単位)の種類は、現代漢語の“詞”の分類と同じく、名詞、動詞、形容詞、数詞、数量詞、代詞である。尚、対となる語は、二文字の語句の前の場合も後ろの場合もある。
1、名詞の対
例:東奔西走、黄童白叟、麞頭鼠目、禍棗災梨、斗転星移、酒酔飯飽、品竹弾絲、雕梁画棟、鉗口結舌
“東”と“西”は方位名詞の対。“童”和“叟sou3”は人倫名詞の対。“麞zhang1”(キバノロ)と“鼠”は動物名詞の対。“棗”と“梨”は植物名詞の対。 “斗”と“星”は天文名詞の対。“酒”と“飯”は飲食名詞の対。“竹”と“絲”は楽器名詞の対。“梁”と“棟”建筑物名詞の対。“口”と“舌”人体器官名詞の対である。
2、動詞の対
① 具体的動作、行為を表す。例:丢盔棄甲、左顧右盼
② 心理状態やその活動を表す。例:思前想后、深謀遠慮
③ 判断、存在を表す。例:古是今非、无独有偶
3、形容詞の対
① 形状を表す。例:外圓内方、天高地厚
② 性質を表す。例:氷清玉潔、天昏地暗
③ 状態を表す。例:紅男緑女、愁眉苦臉
4、数詞、数量詞の対
数量詞が対を形成するものはそれほど多くない。
例:二次三番、三年五載
数詞はたくさんあり、主に三種に分かれる。
①確数(確定した数)
例:三皇五帝、三綱五常、三従四徳
②概数
例:千絲万縷、三令五申
③指数、代数
例:挙一反三、顚三倒四
5、代詞の対
① 指示代詞の対。例:顧此失彼、此起彼伏
② 人称代詞の対。例:你死我活、尓虞我詐
(二) 同義語の対
対となる前後二句が反映している客観的な事物や現象が、その意味の上で同じか近いもの。例えば、“半斤八両”は、昔の度量衡では、一斤が十六両であるので、半斤は八両に等しい。
例:孤家寡人、赤県神州
(三) 反義語の対
通常、名詞、動詞、形容詞で見られ、語義上は同じ範疇に属するが、語義は相反する。語の性格は同じなので、対を構成する。
例えば、“東隣西舍”中の“東”と“西”は方位名詞。“取長補短”中の“長”と“短”は形容詞であり、長さを指す。
例:天南地北、朝秦暮楚;東拉西扯、鑚天入地;寛打窄用、説長道短
同義語と反義語が組み合わさり対句となり四字成語を形成するものは、数えきれないほどある。
例:憶苦思甜、生離死別、長吁短嘆、明争暗斗、好逸悪労、棄暗投明
これより以下のことがわかる。同類語、同義語、反義語の四字で構成される四字成語には「対を成す」という特徴があり、埋め込まれる語(詞)は、語義上は同じ、類似、反対であっても、構造上は皆対であり、組み合わされて成語となると、語義の変化を生じる。
例えば、“東”と“西”はふたつの方向を表すが、見ることを表す動詞“張”と“望”がはめ込まれると、全方位を表し、“到処”(至る所)の意味になる。“長”と“短”は長さを表すが、動詞“取”と“補”をはめ込まれると、語義は転化し、“優点”と“缺点”(長所と短所)の意味になる。
三、対句の相互の関係
四字成語を構成するふたつの対句の意味上の関係は、相関関係、対立関係、因果関係の三つに分類される。
1、相関関係
前後ふたつの対句は相関、相似した事物、或いは同一事物の両面であり、意味上互いに補い合い、互いに補いながらひとつのことばを構成し、ひとつの道理を説明する。
例えば“烏飛兔走”の中の“烏”“兔”は動物類の名詞対で、それぞれ伝説中の太陽の中の金烏、月の中の玉兔を指す。ここでは“烏”が太陽を指し、“兔”が月を指す。“飛”“走”は動詞対で、何れも行動がたいへん早いという意味。“烏飛”と“兔走”は主述構造の対で、合わせて「時間の経つのが早い」というひとつの道理を表す。
また例えば、“兵秣馬”,は“兵”と“秣馬”ふたつの動賓構造の対句から成るが、“兵”の意味は武器を磨くこと、“秣馬”の意味は馬に餌をやること、すなわち武器を整備し、馬に十分餌を与え、戦いの準備をすることを形容する。
また例えば、“帰馬放牛”は“帰馬”と“放牛” ふたつの動賓構造の対句から成るが、馬と牛は古代の戦争では、何れも徴用され、“汗馬功労”、戦功を立てるのに使われたのである。“馬”と“牛”の前にそれぞれ動詞“帰”“放”が加えられるのは、馬と牛が戦の徴用から解除されたということで、天下が太平で、戦争が無いことを表す。
これら相関関係の成語は、前後ふたつの部分の組合せに弾力性があり、語順が変わっても意味は変わらず、動作行為に前後、主従の区別は無い。
2、対立関係
前後ふたつの対句は、相反し相対立する事物やひとつの事物の対立面であり、互いに対照し、互いに相反しながら互いに成り立たせ合い、ひとつの道理を表す。
例:①陽奉陰違、②古是今非、③泰山鴻毛。
①“陽奉”対“陰違”:前者は表面上の服従を言い、後者は陰で反抗することを言う。
②“古是”対“今非”:一対の名詞の反義語と一対の動詞の反義語が交叉して対を構成している。古代から現代までの功労と過失、正しいことと正しくないことを論評することを言う。
③“泰山”対“鴻毛”:前者は地理名詞で、重いことを表す。後者は動物類名詞で、軽いことを表す。 “軽”、“重”の対比に“泰山”と“鴻毛”を使うことで、軽重の差が甚だしいことを比喩する。
その他の例:好逸悪労、遠交近攻、貪生怕死,正反成対,啓人深思,明其事理
3、因果関係
前後ふたつの対句が相互に継承し、条件、因果、目的等の関係を表す。
例:兔死狐悲、前赴后継、触目驚心、水滴石穿、順藤摸瓜、贪小失大、打草惊蛇、見異思遷、得意忘形、唇亡歯寒、春華秋実
[参考]http://zhidao.baidu.com/question/93457925.html
中国語をより深く理解する上で、成語に含蓄されている意味、派生、比喩を理解することは重要である。皆さんの今後の学習の一助になればと思う。
中国語は難しいですね。
またきます。