日本語おもしろ発見

日々の生活から

酸漿(ホーズキ)の正しい現代仮名遣いは?

2007-07-15 10:47:16 | 日本語豆知識

 いきなりですが、問題です。実が赤くて、中が空洞の観賞用の植物「酸漿」の現代仮名遣いは何でしょう。

 1.ほうづ

 2.ほうず

 3.ほおづ

 4.ほおず

 ヒント歴史的仮名遣いでは「ほほづき」です。現代仮名遣いでは、はっきりと語源の区別が認識できない場合は/zu/は「ず」で書くことになっています。

(「づ」と書く例:三日月=三日+月(みかづき)、仮名遣い=仮名+遣い(かなづかい))

 したがって、「づ」は「ず」となり、ホーの長音の部分は歴史的仮名遣いで「ほ」だったので、「う」ではなく「お」で書きます。正解は4番です。

 これは意外に大事です。ためしに「ほうずき」「ほおづき」で辞書を引いてください。ほとんどの辞書では、その仮名遣いでは「酸漿」を探すことはできませんから・・・

 学生の質問の中で、「なぜ、昔のルールを残すのか。もう変わったんだから新しいルールに合わせたらいいじゃないか」というのがありました。例えば、現代仮名遣いで例外として残っているものは昔の慣習を引き継いだものが多いからです。

 でも、やはり昔からあるものは規範として残したい、長い年月の間に人々が忘れ去っていることも、わざわざ調べ上げて、それを正しい表現としたいと私は思うのです。もちろん、この前の記事のように「消耗(しょうこう)」が「しょうもう」として定着していった例もたくさんありますが・・・。

 仮名遣いの誤りを直そうとした藤原定家、さらにそれを極めた契沖、そのほか、数々の著名な国語学者・・・そういった人々の研究成果はやはり残すべきだと思います。とっても固い考え方ですが、言葉をこよなく愛しているということで・・・^^

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「かおり」「かをり」「かほり」?どれが正しい?

2007-07-14 11:24:12 | 日本語豆知識

 一般的に「香り」を書くときは

       「まあ、いい『かり』ですね。」

 最近、恋愛が報道されることもある、タレントの眞鍋さんの名前は

       「かり」

 昔、誰かが歌っていた歌のタイトルは

       「シクラメンのかり」

 なぜ、このように3通りも書き方があるのでしょう。それは仮名遣いと発音の変化が関係しています。今、用いている現代仮名遣いは、中曽根康弘が首相のときの昭和61年7月1日に内閣告示第1号として定められました。それによると、「香り」は助詞でも長音でもないので「かおり」と書くのが正しいのです。

 では、「かをり」は何でしょう。これは歴史的仮名遣いによるものです。昔は「お」と「を」の発音の区別がありました。「折」(をり)と「織」(おり)では発音が違ったのです。したがって「かをり」は歴史的仮名遣いで書いているということです。今でも、例えば年配の方など、歴史的仮名遣いで書いている方もいらっしゃいます。

 では、さらに「かほり」という表記を見かけるのはなぜでしょう。これは発音の変化が関係しています。昔は語中語尾のハ行をそのまま発音していたのですが、平安時代のころ、ハ行がワ行に変わりました。

  「顔」・・・「かほ」→「かを」・・・→「かお」

 と、変化していったのです。この知識がある人が

  「香り」・・・「かおり」←(「かをり」)←「かほり」

 と、勝手に作ってしまったわけです。しかし、「香り」は最初から「かをり」なので、「かほり」とするのは間違いです。

 知識がある故に間違ってしまうこともあります。疑問があれば、すぐに辞書をひいて調べる習慣が大事だと思います。 

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「出た」のではありません。「出した」のです。

2007-07-12 10:04:59 | 日本語豆知識

 昨日、大リーガーのイチローがオールスター戦でMVPをとりました。本当に素晴らしいことですね。大胆な発言が多いイチローですが、それも当然だと思わせる結果を彼はしっかりと出していますから、批判する人はおそらくいないでしょう。

  「出た」のではありません。「出した」のです。

 これは、インタビュアーの「ランニングホームランが出ましたが」という質問に対する答えだったと思います。

  「出る」は「犬小屋から出る」で、自動詞

  「出す」は「犬小屋から出す」で、他動詞

 ランニングホームランは勝手に自然に出た、生じたのではなくて、自分が出そうと思って、自分で意識して出した、というのです。自分の力だ、運などでは決してないということでしょう。

 大きな違いがあるから、間違えないでくれというイチローの気持ちが伝わってきました。

 自動詞、他動詞の違いは留学生が難しいと感じるところです。その概念を理解するのも難しいようです。イチローは世界的なプレーヤーですから、自動詞他動詞の概念がわかってきたころに、応用編として、この話を出すのもいいかもしれませんね。

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初めてコンパに参加

2007-07-11 21:11:37 | 留学生のスピーチ'07s
初めてコンパに参加した体験を話してくれました。なかなか厳しかったようですね。合コンだったらもっと楽しかったでしょう^^
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スペインのお祭り

2007-07-11 21:09:26 | 留学生のスピーチ'07s
7月7日は日本は「七夕」ですが、スペインでは雄牛の祭りがあるそうです。毎年、けが人のニュースが流れますが、けがをするのは外国からの観光客だというオチもついています^^
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留学生のおすすめのドラマ

2007-07-11 21:05:57 | 留学生のスピーチ'07s

まずは、留学生のおすすめのドラマについて聞いてみましょう。「プロポーズ大作戦」がお気に入りのようですね。私も見ていましたが、最終回がなんともすっきりしませんでした・・・

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「消耗」の本来の読み方

2007-07-11 09:26:38 | 日本語豆知識

 「消耗」の本来の読み方は何でしょう。

 昨日の「タモリのジャポニカロゴス」で出されていた問題です。

 解答者は「しょうもお」と書きました。オ列の長音は「お」か「う」で書くという知識があったので、このように書いたのです。確かに、オ列の長音を「お」と書く場合がありますが、これは和語に限った特定の語について、表記の慣習を尊重して、そのように書くものです。

 例えば、「狼」→おおかみ、「蟋蟀」→こおろぎ、「氷」→こおり、「通る」→とおる、「十」→とお・・・・

 などです。つまり、昔の仮名遣いで「ほ」「を」だったものを「お」と書くのです。

 しかし、それは「和語」に限ったもので、「漢語」には適用されません。したがって、「オー」と発音される「漢語」の伸ばす部分は「う」で書けばよいのです。

 では、「しょうもう」じゃなかったら何でしょう。解答者も一つしかないと言っていましたが、実はニュースでよく見かける語があって、それは皆さんも知らず知らずのうちに本来の読み方で読んでいます。

 「心神弱」

 どうですか?「しんしんこうじゃく」

 「こう」ですね。だから「しょうこう」が本来の読み方なんです。 「もう」が慣用音、「こう」が本来の読み方なのですが、現代では、「もう」のほうが一般的な音で、「こう」のほうが特殊な読み方と「常用漢字表」でも決められています。本来とは違う読み方が浸透して、一般音の地位を勝ち取ったんですね!多数派万歳!

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「石鹸」が指すもの

2007-07-10 19:29:01 | 日本語豆知識

 この前、「洗濯粉」か「洗剤」かという記事を書きましたが、もしかしたら、「洗濯石鹸」と言っている人もいるかもと思いました。あるいは「歯磨き粉」じゃなくて、「歯磨き石鹸」とか?「石鹸」はいろいろなものを指しそうです。

 『日本国語大辞典』第2版によると、「石鹸」は、織豊時代に南蛮貿易によって渡来したものだそうです。「洗剤」は新しい言葉で、同辞書によると最初の用例は、阿部公房の小説の例(1961)ですね。

 「歯磨き石鹸」は、『風俗画法』127号(1896)「元祖福原衛生歯磨石鹸」というように使われていたようです。もしかしたら、おばあちゃん世代に「歯磨き石鹸」と言っている人もいるかもしれませんね。もう一つの用例

 『欧米最新美容法』(1908)「石鹸の種類は大別して5種あります薬用石鹸化粧石鹸浴用石鹸洗濯石鹸歯磨石鹸で」

 おおお、全部「石鹸」なんですね。今風にいうと、

 「薬用石鹸、クレンジング、ボディシャンプー、あるいは、ボディーソープ、洗剤、あるいは洗濯粉、歯磨き粉」でしょうか。

 この前、台所用の洗剤のラベルに「台所用石鹸」と書いてあるものを見つけました。だから、意外に「~石鹸」は実はいろいろなところでまだ使われているのかもしれません。ま、用途によって、言葉を使い分けるより、「~石鹸」で統一されてるほうが、学ぶ人にとってはいいですよね^^

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片仮名「ヲ」の筆順

2007-07-09 12:17:52 | 日本語豆知識

 片仮名の「ヲ」の筆順ですが、ご存知でしょうか。片仮名の「ヲ」は現代では用いることがないので、あまり重要ではないんですけど・・・一応・・・

 片仮名は主として、外国語の地名・人名、外来語、擬音語・擬態語、一部の動植物名・専門用語などに用いられるのですが、発音が「オ」と同じなので、現代では遣う機会はめったにありません。平成3年の内閣告示第2号の「『外来語の表記』に用いる仮名と符号の表」にも「ヂ・ヅ」「ヰ・ヱ・ヲ」は示されておらず、遣わないことになっています。

 ま、一応、歴史的には存在する音、仮名なので、筆順も覚えておかないと、ということで・・・・

 ① ニ → ノ → ヲ

 ② フ → 一 → ヲ

 ③ ノ → ニ → ヲ

 さて、どれでしょう。元になった漢字は「乎」なので、正解は、①でした。

 筆順と一口にいっても、かなり奥が深いです。例えば、「ヒ」は「比」が元の漢字なのですが、「ヒ」の一画目は左から右か、右から左か・・・小学校の教科書にも、両方の記述があるようです。ただ、左から右が優勢のようです。

 また、元の漢字では、説明できないものもあります。例えば、「毛」から、「も」と「モ」ができましたが、平仮名の「も」は縦から、片仮名の「モ」は横から・・・。

 一つのルールでなく、いろいろな要素が絡み合っていますから、難しいですね。 

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「ほうき」(箒)の語源

2007-07-08 13:28:38 | 日本語豆知識

 掃除のときに使う「ほうき」(箒)の語源は何でしょうか?『日本国語大辞典』第2版によりますと、

   ははき>はわき or はうき(優勢)>ほうき

と語形変化したようです。

 もとの形の「ははき」は羽掃きの意で、古く鳥の羽毛を用いたところからいうようです。

 そうか・・・。羽毛で作ったから、「ははき」で「ほうき」か・・・。

 私はベランダに来る鳩が悩みの種です。その鳩が残していく羽毛を掃除するのがすごく面倒なんです。羽毛「で」掃く、じゃなくて、羽毛「を」掃くから「ははき」なのかと思いましたが、違うんですね。

 ちなみに、「ほうき」は呪術的な意味を持つ道具だったようです。『古語拾遺』には、豊玉姫命の出産に際して、箒で蟹を掃ったことが書かれています。また、後世には、箒を逆さまに立てて、長居の客を返すまじないにもしたそうです。

 ということは、箒を逆さまにしたら、鳩も来なくなる???

 そんなことはないでしょうね・・・

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