参考ブログ 六百番歌合 目録・定家番抜書
寄月恋
やすらひにいでにしままの月のかげ我がなみだのみそでにまてども
おろかにもおもひやるかなきみももしひとりやこよひ月をみるらん
寄雲恋
ときのまにきえてたなびく白雲のしばしも人にあひみてしかな
あくがるるこころもそらにひかずへて雲にやどかるものおもひかな
寄風恋
しらざりしよぶかきかぜのおともにずたまくらうときあきのこなたは
ものおもふ身もならはしのをぎの葉にいたくなふきそ秋のはつかぜ
寄雨恋
さはらずはこよひぞきみをたのむべきそでにはあめのときわかねども
こぬ人をまつ夜ふけゆく秋のあめはそでにのみふる心ちこそすれ
寄煙恋
かぎりなきしたのおもひのゆくへとてもえむけぶりのはてやみゆべき
もしほやくうらのけぶりをかぜにみてなびかぬ人のこころとぞしる
寄山恋
あしびきのやまぢのあきになる袖はうつろふ人のあらしなりけり
この世にはよしのの山のおくにだにありとはつらき人にしられじ
寄海恋
とほざかる人のこころはうなばらのおきゆくふねのあとのしほかぜ
わたつうみのなみのあなたに人はすむこころあらなん風のかよひぢ
寄河恋
いつかさはまたはあふせをまつらがはこのかはかみにいへはすむとも
みなせがはあさきちぎりとおもへどもなみだはそでにかけぬ日ぞなき
寄関恋
身にたへぬおもひをすまの関すゑて人にこころをなどとどむらん
あふさかの関のこなたになをとめてこれよりすぐるなげきせよとや
寄橋恋
人ごころをだえのはしにたちかへりこの葉ふりしくあきのかよひぢ
おもはずにをだえのはしとなりぬれどなほひとしれずこひわたるかな
寄草恋
いはざりき我が身ふるやのしのぶぐさおもひたがへてたねをまけとは
ながめするこころのねよりおひそめてのきのしのぶはしげるなるべし
寄木恋
こひしなばこけむすつかに柏ふりてもとのちぎりのくちやはてなん
かくばかりおもふときみもしらがしのしらじないろにいでばこそあらめ
寄鳥恋
かものゐる入江のなみをこころにてむねと袖とにさわぐこひかな
さほがはのきりのまぎれのほどだにもつまもとむとてちどり鳴くよを
寄獣恋
うらやまずふすゐのとこはやすくともなげくもかたみねぬもちぎりを
いかでわれふすゐのとこにみをかへてゆめのほどだにちぎりむすばん
寄虫恋
わすれじのちぎりうらむるふるさとのこころもしらぬまつむしのこゑ
こぬひとのあきのけしきやふけぬらんうらみによわるまつむしの声
寄笛恋
ふえたけのただひとふしをちぎりとてよよのうらみをのこせとやおもふ
はるばるとなみぢわけくるふえたけをわがこひづまとおもはましかば
寄琴恋
むかしきくきみがてなれのことならばゆめにしられてねをもたてまし
わぎもこがこころのひかぬことのねはわがまつにこそかはらざりけれ
寄絵恋
ぬしやたれみぬよのいろをうつしおくふでのすさびにうかぶおもかげ
みづぐきのあとにせきおくたきつせをまことにおとすわがなみだかな
寄衣恋
こひそめしおもひのつまのいろぞそれみにしむはるのはなのころもで
あかざりしそのうつりがはからころもこひをすすむるつまにぞありける
寄席恋
わすれずはなれしそでもやこほるらんねぬよのとこのしものさむしろ
わけてこそなかよりちりはつもりぬれこひのやまひにしづむさむしろ
寄遊女恋
こころかよふゆききのふねのながめにもさしてかばかり物はおもはじ
ふねのうちなみのうへなるうきねにはたちかへるとてそでぞぬれける
寄傀儡恋(くぐつによするこひ)
ひとよかす野がみのさとのくさまくらむすびすてける人のちぎりを
うらむべきかたこそなけれあづまぢののがみのいほのくれがたのそら
寄海人恋
袖ぞいまはをじまのあまもいさりせむほさぬたぐひにおもひけるかな
こひをのみしたのうきしまうきしづみあまにもにたるそでのなみかな
寄樵人恋
やまふかみなげきこるをのおのれのみくるしくまどふこひのみちかな
山人のかへるいへぢをおもふにもあはぬなげきぞやすむまもなき
寄商人恋
たつのいちやひをまつ賤のそれならばあすしらぬ身にかへてあはまし
こころざしあべのいちぢにたつ人はこひに命をかへむとやする
『おとうと』(2010)
https://youtu.be/z3rB5tNLfLU?t=282
『学校』(1993)
『息子』(1991)
寄月恋
やすらひにいでにしままの月のかげ我がなみだのみそでにまてども
おろかにもおもひやるかなきみももしひとりやこよひ月をみるらん
寄雲恋
ときのまにきえてたなびく白雲のしばしも人にあひみてしかな
あくがるるこころもそらにひかずへて雲にやどかるものおもひかな
寄風恋
しらざりしよぶかきかぜのおともにずたまくらうときあきのこなたは
ものおもふ身もならはしのをぎの葉にいたくなふきそ秋のはつかぜ
寄雨恋
さはらずはこよひぞきみをたのむべきそでにはあめのときわかねども
こぬ人をまつ夜ふけゆく秋のあめはそでにのみふる心ちこそすれ
寄煙恋
かぎりなきしたのおもひのゆくへとてもえむけぶりのはてやみゆべき
もしほやくうらのけぶりをかぜにみてなびかぬ人のこころとぞしる
寄山恋
あしびきのやまぢのあきになる袖はうつろふ人のあらしなりけり
この世にはよしのの山のおくにだにありとはつらき人にしられじ
寄海恋
とほざかる人のこころはうなばらのおきゆくふねのあとのしほかぜ
わたつうみのなみのあなたに人はすむこころあらなん風のかよひぢ
寄河恋
いつかさはまたはあふせをまつらがはこのかはかみにいへはすむとも
みなせがはあさきちぎりとおもへどもなみだはそでにかけぬ日ぞなき
寄関恋
身にたへぬおもひをすまの関すゑて人にこころをなどとどむらん
あふさかの関のこなたになをとめてこれよりすぐるなげきせよとや
寄橋恋
人ごころをだえのはしにたちかへりこの葉ふりしくあきのかよひぢ
おもはずにをだえのはしとなりぬれどなほひとしれずこひわたるかな
寄草恋
いはざりき我が身ふるやのしのぶぐさおもひたがへてたねをまけとは
ながめするこころのねよりおひそめてのきのしのぶはしげるなるべし
寄木恋
こひしなばこけむすつかに柏ふりてもとのちぎりのくちやはてなん
かくばかりおもふときみもしらがしのしらじないろにいでばこそあらめ
寄鳥恋
かものゐる入江のなみをこころにてむねと袖とにさわぐこひかな
さほがはのきりのまぎれのほどだにもつまもとむとてちどり鳴くよを
寄獣恋
うらやまずふすゐのとこはやすくともなげくもかたみねぬもちぎりを
いかでわれふすゐのとこにみをかへてゆめのほどだにちぎりむすばん
寄虫恋
わすれじのちぎりうらむるふるさとのこころもしらぬまつむしのこゑ
こぬひとのあきのけしきやふけぬらんうらみによわるまつむしの声
寄笛恋
ふえたけのただひとふしをちぎりとてよよのうらみをのこせとやおもふ
はるばるとなみぢわけくるふえたけをわがこひづまとおもはましかば
寄琴恋
むかしきくきみがてなれのことならばゆめにしられてねをもたてまし
わぎもこがこころのひかぬことのねはわがまつにこそかはらざりけれ
寄絵恋
ぬしやたれみぬよのいろをうつしおくふでのすさびにうかぶおもかげ
みづぐきのあとにせきおくたきつせをまことにおとすわがなみだかな
寄衣恋
こひそめしおもひのつまのいろぞそれみにしむはるのはなのころもで
あかざりしそのうつりがはからころもこひをすすむるつまにぞありける
寄席恋
わすれずはなれしそでもやこほるらんねぬよのとこのしものさむしろ
わけてこそなかよりちりはつもりぬれこひのやまひにしづむさむしろ
寄遊女恋
こころかよふゆききのふねのながめにもさしてかばかり物はおもはじ
ふねのうちなみのうへなるうきねにはたちかへるとてそでぞぬれける
寄傀儡恋(くぐつによするこひ)
ひとよかす野がみのさとのくさまくらむすびすてける人のちぎりを
うらむべきかたこそなけれあづまぢののがみのいほのくれがたのそら
寄海人恋
袖ぞいまはをじまのあまもいさりせむほさぬたぐひにおもひけるかな
こひをのみしたのうきしまうきしづみあまにもにたるそでのなみかな
寄樵人恋
やまふかみなげきこるをのおのれのみくるしくまどふこひのみちかな
山人のかへるいへぢをおもふにもあはぬなげきぞやすむまもなき
寄商人恋
たつのいちやひをまつ賤のそれならばあすしらぬ身にかへてあはまし
こころざしあべのいちぢにたつ人はこひに命をかへむとやする
『おとうと』(2010)
https://youtu.be/z3rB5tNLfLU?t=282
『学校』(1993)
『息子』(1991)