平成二十三年歌会始
お題 「葉」
【選歌】
夕凪ぎを柿の若葉に確かめて灰七十キロ無事に撒き終ふ
電源を入れよと妻に声かけてわさびの苗葉に液肥を放つ
草の葉の切れ端のこるシャワー室妻は夏日の草を刈りしか
妻の里丹波の村の山椿カナダに生ひて葉をひろげゆく
一字一字指しつつ読みぬ木簡の万葉仮名の「皮留久佐乃皮斯米(はるくさのはじめ)」
背丈より百葉箱の高きころ四季は静かに人と巡りき
ささやかな悲しみあれば水底に木の葉が届くまで待ちゐたり
霜ひかる朴葉拾ひて見渡せば散りしものらへ陽の差す時刻
駐輪場かごに紅葉をつけてゐるきみの隣に止める自転車
「大丈夫」この言葉だけ言ふ君の不安を最初に気づいてあげたい
“料理人は,見るべきものがあるところなら,どこにでも身を置くべきだろう。ユルバン・デュポアの本だけではなく,テーブルかけについて,材料の効果について,微笑の美しさについて,学ぶこと. 事物が美しいなら事物の美しさに酔うがままにすること. どのような美しさであっても, それが本当に全体の中に加えられると, 最も簡単なサラダであれ, 最もお人好のタルトであれ, 当然皿の中にまで移行するものである。”
『料理 ルセットを超えるもの』 アラン・シャペル 音羽和紀 訳
お題 「葉」
【選歌】
夕凪ぎを柿の若葉に確かめて灰七十キロ無事に撒き終ふ
電源を入れよと妻に声かけてわさびの苗葉に液肥を放つ
草の葉の切れ端のこるシャワー室妻は夏日の草を刈りしか
妻の里丹波の村の山椿カナダに生ひて葉をひろげゆく
一字一字指しつつ読みぬ木簡の万葉仮名の「皮留久佐乃皮斯米(はるくさのはじめ)」
背丈より百葉箱の高きころ四季は静かに人と巡りき
ささやかな悲しみあれば水底に木の葉が届くまで待ちゐたり
霜ひかる朴葉拾ひて見渡せば散りしものらへ陽の差す時刻
駐輪場かごに紅葉をつけてゐるきみの隣に止める自転車
「大丈夫」この言葉だけ言ふ君の不安を最初に気づいてあげたい
“料理人は,見るべきものがあるところなら,どこにでも身を置くべきだろう。ユルバン・デュポアの本だけではなく,テーブルかけについて,材料の効果について,微笑の美しさについて,学ぶこと. 事物が美しいなら事物の美しさに酔うがままにすること. どのような美しさであっても, それが本当に全体の中に加えられると, 最も簡単なサラダであれ, 最もお人好のタルトであれ, 当然皿の中にまで移行するものである。”
『料理 ルセットを超えるもの』 アラン・シャペル 音羽和紀 訳