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映画『東京家族』について

 『万葉集 (長歌篇)』

2013年11月02日 | 映画『東京家族』



 ※ 今日の記事に、オチはありません(笑)。



 柿本人麻呂


196 飛ぶ鳥の 明日香の川の 上(かみ)つ瀬に 石橋渡し 下(しも)つ瀬に 打橋(うちはし)渡す 石橋に 生(お)ひなびける 玉藻(たまも)もぞ 絶ゆれば生(お)ふる 打橋に 生(お)ひををれる 川藻もぞ 枯るれば生(は)ゆる なにしかも 我(わ)が大君(おほきみ)の 立たせば 玉藻のもころ 臥(こ)やせば 川藻のごとく 靡(なび)かひの 宜(よろ)しき君が 朝宮(あさみや)を 忘れたまふや 夕宮(ゆふみや)を 背(そむ)きたまふや うつそみと 思ひし時に 春へには 花折りかざし 秋立てば 黄葉(もみちば)かざし しきたへの 袖たづさはり 鏡なす 見れども飽かず 望月(もちづき)の いやめづらしみ 思ほしし 君と時どき 出でまして 遊びたまひし 御食向(みけむ)かふ 城上(きのへ)の宮を 常宮(とこみや)と 定めたまひて あぢさはふ 目言(めこと)も絶えぬ しかれかも あやに哀しみ ぬえ鳥(どり)の 片恋づま 朝鳥(あさとり)の 通はす君が 夏草の 思ひ萎(しな)えて 夕星(ゆふつづ)の か行(ゆ)きかく行き 大船(おほぶね)の たゆたふ見れば 慰(なぐさ)もる 心もあらず そこ故(ゆゑ)に せむすべ知れや 音のみも 名のみも絶えず 天地(あめつち)の いや遠長(とほなが)く 偲(しの)ひ行かむ 御名(みな)にかかせる 明日香川 万代(よろづよ)までに はしきやし 我(わ)が大君(おほきみ)の 形見にここを 


197 明日香川しがらみ渡し塞(せ)かませば流るる水ものどにかあらまし

198 明日香川明日だに見むと思へやも我が大君(おほきみ)の御名(みな)忘れせぬ  











  柿本人麻呂


207 天(あま)飛ぶや 軽(かる)の道は 我妹子(わぎもこ)が 里にしあれば ねもころに 見まく欲しけど やまず行かば 人目を多み まねく行かば 人知りぬべみ さね葛(かづら) 後(のち)も逢はむと 大船(おほぶね)の 思ひ頼(たの)みて 玉かぎる 磐垣淵(いはかきふち)の 隠(こも)りのみ 恋ひつつあるに 渡る日の 暮れゆくがごと 照る月の 雲隠(がく)るごと 沖つ藻の なびきし妹(いも)は 黄葉(もみちば)の 過ぎて去(い)にきと 玉梓(たまづさ)の 使ひの言へば 梓弓(あづさゆみ) 音(おと)に聞きて 言はむすべ せむすべ知らに 音(ね)のみを 聞きてありえねば 我(あ)が恋ふる 千重(ちへ)の一重(ひとへ)も 慰(なぐさ)もる 心もありやと 我妹子(わぎもこ)が やまず出で見し 軽(かる)の市(いち)に 我が立ち聞けば 玉だすき 畝傍(うねび)の山に 鳴く鳥の 声も聞こえず 玉鉾(たまほこ)の 道行き人(びと)も ひとりだに 似てし行(ゆ)かねば すべをなみ 妹(いも)が名呼びて 袖(そで)そ振りつる

208 秋山の黄葉(もみち)をしげみ惑(まと)ひぬる妹(いも)を求めむ山道(やまぢ)知らずも

209 黄葉(もみちば)の散り行くなへに玉梓(たまづさ)の使ひを見れば逢ひし日思ほゆ







 ( →『2013.11.1 東京新聞 発言』 ) 

 

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