雨中嵐山 雨のなかの嵐山
周恩來
雨中二次遊嵐山, 雨のなか再び嵐山に遊び、
兩岸蒼松, (桂川の)両岸の蒼い松は、
夾着幾株櫻。 幾本かの櫻をはさんでいる。
到盡處突見一山高, 突き当たりの場所に突然ひとつの山が大きく現れ、
流出泉水綠如許, その山からこんなにも澄んだ清い水が流れ出し (②流れ出る泉はエメラルドの如く)
繞石照人。 (水の流れは)石を繞って、(水のきらめきは)人を照らす。
瀟瀟雨, 瀟々と静かに降る雨が、
霧濛濃, 霞んで朦朧として濃くなってきたとき、
一綫陽光穿雲出, 一条の陽光が雲間から射し込み、
愈見嬌妍。 ますますあでやかさを現してきた。
人間的萬象眞理, 人の世のあらゆる事象や眞理は、
愈求愈模糊, 追求すればするほど模糊となり、
模糊中偶然見着一點光明, 模糊としたその中に偶然一点の光明を見いだしている、
眞愈覺嬌妍。 そのことはほんとうにいよいよ甘くてあでやかだ。
と、ここまで来た時、碑文のページがあったので見てみると、最後の文字が違う(笑)。
この jiao1 は、「みめうるわしい、美しい」(中日辞典 小学館)という意味なので、それならば、最終行の jiao1 yan2 は、
「ほんとうにますます美しくあでやかに感じられる。」
と訳してもいいかもしれないが、やはりそのうち図書館へ行ってみようと思う。