2009年シーズン、我がファジアーノ岡山はJ2に昇格しました。昇格したシーズンのJ2は18チームで3回戦総当たりという年間51試合の地獄のリーグでした。その2009年、ファジアーノ岡山は年間8勝しかできず断トツの最下位。連続無得点試合のJリーグ記録を作ったり、2ヶ月以上勝てない期間もあったどびっきり弱いチームでした。
その最弱チームだったファジを応援しながらクラブの変遷と成長を見守ってきた者からしたら、16年間はあっという間でした。そして、長い時間をかけて強くなってきた雉の戦士たちが、遂に固く閉ざされたJ1の扉を開く瞬間がやって来たのです。
2024年12月7日(土)、今季のJ1昇格プレーオフの決勝はベガルタ仙台を相手にシティライトスタジアムで13:07キックオフでスタートしました。待ち望みながら、何度も跳ね返されたJ1昇格への道。
2016年雨のキンチョウスタジアム(現:ヨドコウ桜スタジアム)でセレッソ大阪と対戦したプレーオフ決勝では後半に奪われた1点で敗戦。大阪の冷たい雨に打たれながら流した悔し涙から8年。更にチーム史上最高成績のリーグ戦3位で進んだ2022年シーズンのプレーオフはホームでの初戦でモンテディオ山形に「0-3」の惨敗。チームにとっては、三度目の正直になるかという今季のプレーオフで前回ホームで完敗した山形をアウェーで撃破して辿り着いたホームでのJ1昇格プレーオフ決勝になったのです。
『全員で勝つ!』をプレーオフスローガンとして岡山が一体となって戦った決勝。引き分け以上でJ1昇格が決まるとはいえ、勝利で昇格したいというのは全ての人々の願いが火となって燃え上がる試合となればいいなと感じていました。
試合前からスタジアム全体が一体となった熱のようなものを感じられ、誰しもがJ1に行くことを信じて疑わなかったこの試合でしたが、試合というものは生き物であって考えたようにならないのが常です。まして、魔境とも沼とも呼ばれる恐ろしいJ2の闇を抜け出すことは並大抵のことではありません。
試合は末吉のゴラッソで先制した時点で膠着した試合の緊張感から解き放たれ、イケイケのムードの中で試合を進められたのはホームの押せ押せの雰囲気も手伝っていたと思います。リーグ戦5位のファジは6位の仙台を相手にしてホームで戦えるとはいえ、あくまでも挑戦者です。常に次の1点を狙う姿勢を崩さなかったことが完封勝利にも繋がったと思っています。
J2昇格から一度も昇降格なしで16年を過ごしてのJ1昇格はJリーグ史上最も遅い昇格記録の新記録になりました。更に、リーグ戦5位のチームがJ1昇格するのは史上初、山形と対戦したチームがJ1昇格するのも初めて、木山監督は自身5度目のプレーオフ挑戦で初めてJ1昇格を果たすことになりました。史上初が多い今季のJ1昇格プレーオフはファジアーノ岡山が歴史を動かしたシーズンだったと言っても過言ではないでしょう。
何度も何度も跳ね返されて、その度に浮沈を繰り返してきた弱小クラブは16年もの長い時間をかけて遂にJ1の扉を開きました。思えば、全てが想定できる最高の流れで動いたと感じます。
プレーオフ準決勝の相手が千葉ではなく山形だったこと。3位の"無敵艦隊"V・ファーレン長崎に非常に相性が良かったベガルタ仙台が6位に滑り込んでもう一つの山を乗り越えて下剋上で決勝まで勝ち上がってきたこと。結果的にホームのシティライトスタジアムで決勝を開催できることとなり、オール岡山の後押しで決勝が戦えたこと。実力だけでなく運も強く味方してくれて最後にファジに勝利の女神が微笑みました。
辛く厳しいJFL昇格への道を三度目で突破したチームは、JFLこそ1年でギリギリ突破してJ2に参入できたものの、そこから16年の魔境生活、何度も底なし沼にはまり込みながらも三度目のJ1昇格プレーオフで遂にJ1昇格という岡山の夢を実現させてくれました。
それにしても、仙台サポーターの皆さんの応援は素晴らしかったと思います。チケット争奪戦となった今回のプレーオフ決勝の運用に関してはファジとしてもクラブ運営の不手際があったと思います。チケットが入手できなかった皆さんには大変申し訳ないと思います。しかし、チケットが入手できなかった両チームのサポーターの皆さんがスタジアムの外で応援されていたことには心から敬意を表します。
これが岡山にサッカー専用スタジアム建設の後押しとなってほしいと切に望んでいます。J1に昇格することが決まったここで、3万人収容規模の専用スタジアム建設は絶対に必要だと万人が切実に感じたことだと思います。
「スポーツで岡山を元気に」というのが私の最大の願いです。それを体現する為にもそれに相応しい規模の箱はなくてはならない存在だということを痛感せざるを得ない今回のJ1昇格プレーオフでもありました。
出典:https://www.fagiano-okayama.com/
ともあれ、J1昇格という一つの目標を突破してくれた選手、監督、コーチ、そしてクラブスタッフの皆さんに厚く御礼致します。
生きている間にJ1で戦うファジアーノ岡山の姿を目にすることはできないのではないかと諦めかけたことは数知れずありました。その願いをかなえてくれたこの瞬間は途轍もない喜びが爆発した忘れることのできない景色であります。
さあ、「待ってろJ1!」
雉がJ1の空に高く舞い上がり、その優美な姿で日本全国を魅了し、そして頂点に舞い降りるその日が来るまで死ねないなという次の目標ができました。
今はとにかく喜びましょう。そして、J1での戦いが始まるのは既に2ヶ月とちょっとになっています。
来季はシティライトスタジアムから命名変更されるJFE晴れの国スタジアムでJ1サポーターの皆様とお会いしたいと思います。そして、全国各地のJ1ホームスタジアムへも行ける限りお邪魔して、諸国漫遊記の続編が書けるならばこの上ない幸福と感じます。
よろしくお願い申し上げます。
来年はコンサドーレがJ2なので、issanさんアウェイ遠征行きやすくなったかもしれません(笑)
コンサドーレ、来年J2優勝して再来年以降issanさんの北海道遠征実現してほしいと勝手に思っています(笑)
16年は途轍もなく長い長い時間でしたが、私にとっては本当にあっという間でした。
あの弱かったチームが少しずつ成長し、知名度と実績を積んだ選手たちが集結した時期もありました。しかし、それでも開けなかったJ1の扉を、今年の無名の選手たちが切り開いてくれました。
J1での戦いは辛く厳しいものになるでしょうが、新しい景色を見せてくれる選手、監督、コーチ、スタッフの皆さんに心より感謝申し上げます。
コンサドーレがJ1復帰を果たすとき、ファジがそこにいられたら良いですね。よろしくお願い申し上げます。