自民、公明両党が、「与党風」吹かして頭が高く参院議員選挙に「圧勝」できるか、「赤信号」が点滅中だ

2013年06月03日 01時32分06秒 | 政治
◆自民党が、東京都議会選挙、参院議員選挙に向けて、「選挙公約」をまとめ切れないでいる。北海道連は、あくまで「TPP参加反対」を、沖縄県連は「米軍普天間飛行場の県外移設要求」を主張して譲らず、とりわけ党本部では、ハト派で公家集団と言われる「宏池会」の古賀誠名誉会長(元党幹事長)が、「日本国憲法改正反対」を鮮明にしている。
 自民党の公約は、民主党の「マニフェスト(政権公約)」とは違い、必達目標、実現期限を課せられているわけではなく、破ったとしても、「公約違反」を咎められることはない。貼り薬の「膏薬」に譬えられるほどのものに過ぎない。故に、あまり神経質になる必要はないとはいえ、それでも、公党として統一した「行動目標」である公約をまとめられないのでは、候補者は、街頭演説にも困るに違いない。
 いまさら、「TPP参加」から抜けることはできず、農家を騙すしかない。「米軍普天間飛行場の県外移設求」を認めると、鳩山由紀夫元首相から「それみろ」と侮られる。「日本国憲法改正反対」に傾けば、「国防軍創設」は不可能となり、米国オバマ大統領から「どうしているのか」と責め立てられそうだ。米CIA対日工作者にも、侮られる。
◆日本国憲法改正反対」「国防軍創設」が潰れたのは、オバマ大統領が、韓国の朴槿恵大統領が訴えた「日本の歴史認識批判」発言に心を動かされたのが、大きく影響しているのに、安倍晋三首相は、異議も申し立てられない。
高市早苗政調会長は、日本の歴史問題についての「河野談話」や「村山談話」の見直しに意欲的であり、憲法改正、国防軍創設に政治生命を賭けていると何度も明言するなど、過激な「保守主義者」であり、穏健な国民有権者を怖がらせている。
安倍晋三首相は、「強い日本を取り戻す」と威勢がよかったのに、「盟友」と言っていた大阪市の橋下徹市長(日本維新の会共同代表)の「慰安婦発言」に恐れをなして、援護射撃することもできず、「考え方が違う」と逃げ腰。国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会から勧告を受けても、「国家賠償」に応ずる考えはさらさらない。元慰安婦さんが、他界するのをひたすら待つのみの構えだ。文字通り、正体不明の怪物「鵺(ぬえ)」の本領を発揮している。
 ◆このいい加減さは、自民党の伝統的な体質だが、それでも「東京都議会選挙、参院議員選挙は、圧勝する」といかにも楽天的なムードに包まれている。「選挙は戦い」という基本原則を忘れて、本当に呆れるほどノー天気なのだ。
 この自民党のノー天気を許しているのが、野党の分裂状況であることは、だれの目にも明らかであるにもかかわらず、いまだに一つにまとまれないでいる。それどころか、「憲法改正」で意見が違う民主党と「みんなの党」が、急接近、「民みん連合」を勧めているというから、これにも呆れる。ただし、双方ともに「分裂要因」を抱えているので、まとまるのは、やはり困難の模様。
 ◆ところが、さいたま市(123万人の政令指定都市)をはじめ、各地の市長選挙で、自民党・公明党が敗れる現象が続出している。その証拠に毎日新聞が6月1日午後8時18分、「自民:首長選で敗北続き 地方組織に緩み」という見出しをつけて、以下のように配信している。
 「長沼氏は自民党の石破茂幹事長(左)や公明党の井上義久幹事長(右)ら党幹部の応援を受け、政党を前面に押し出した=JR浦和駅東口前で2013年5月7日、狩野智彦撮影 安倍内閣が高支持率を続けるなか、地方選での与党候補の敗北が相次いでいる。地方で自民党の地力が十分には戻っていない部分があるためとみられ、参院選を前に自民、公明両党内にはいらだちも募っている。「自民党の支持率が高いのに首長選でコロコロ負ける例が目立つ。国政は別という人がいるが、自分の名前を書かせることに変わりはない」。自民党の高村正彦副総裁は5月29日に記者団に語り、地方選の結果に不満をにじませた。
自民党は千葉市長選(5月26日投票)で民主系現職に対立候補を擁立できない「不戦敗」を喫し、さいたま市長選(5月19日投票)でも自公推薦候補が現職に敗れた。両市とも現職は2009年に民主の支援を受けて初当選し、当時は民主への政権交代の流れを作ったとされた。だが今回、与党側は奪回に失敗した。6月16日投開票の静岡県知事選では、やはり09年に民主推薦で当選した現職を前に「厳しい戦いになる」とみて、公明党はいち早く自主投票を決定。自民党も県連が擁立した候補を推薦せず「支持」にとどめた。安倍晋三首相は経済再生を柱に参院選を乗り切る意向だ。ただ、首相の経済政策は株価中心の期待先行型。幹事長経験者は「大企業の業績は良くても地方では景気回復の実感につながっていない」と分析する。懸念に追い打ちをかけるのが、地方組織の緩みだ。5月26日投票の千葉県八千代市長選では、自公推薦の前県議が、市民グループや共産党市議などが支援した無所属候補に敗れる波乱が起きた。保守票が前県議と他の候補に分裂したためとみられ、公明党幹部は『自民党が保守を一本化すれば落とす選挙ではなかった』と批判する。自民党は、4月には青森、名古屋の両市長選に加え、東京都小平市長選でも敗れている。自民党の石破茂幹事長は周囲に『党の看板があれば当選できるというムードがある』と語るなど警戒感を強めており、5月29日に東京都連幹部、30日に新人衆院議員を党本部に集め、対策強化を指示した。【念佛明奈】」

 この記事は、詳しく分析していないけれど、選挙というものは、結果がどうなるかわからない「わくわくする選挙」でなければ、有権者は、投票所に足を運ばない。自民党・公明党が組織力を発揮して、「勝つに決まっている」と見られるようなときには、支持者でさえ、安心しているからだ。「あと一歩」と危機感を煽らなければ、ダメなのだ。しかも最近は、自民党・公明党が「与党風」を吹かして、頭が高くなっているので、嫌われ者になっている。ましてや、与党は、消費税増税に意欲的で、生活保護費受給者の支給金をカットしたりしている。そればかりか、「母子が餓死」という最悪事態まで起きているのに、冷淡である。


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