インスタグラムで稼ぐために「映え」よりも大切なこと
「働き方改革」に伴い、政府も副業を後押しする昨今。スキマ時間に手軽にできるものから、まとまった元手や時間を要するものまで、その内容は多種多様だが、果たしてその明暗を分かつものは何なのか?
プロフページのタイムラインの美しさにこだわる
『「こだわり」が収入になる! インスタグラムの新しい発信メソッド』の著者であり、インスタグラマーとして自身で培ったノウハウをもとにインスタグラムによる法人向けのマーケティング支援を行う会社「grams」を運営する艸谷真由氏。前回の記事では一見、男性会社員には縁遠そうなインスタグラム副業の魅力をお伝えしたが、今回はより具体的なノウハウを伝授していく。 インスタを活用して副業や個人ビジネスを始める上で、まず気がかりなのは発信するコンテンツのテーマ選び。アパレル販売員を経て10か月で1万フォロワーを達成した艸谷氏は、カフェやファッション、旅などインスタ内で定番人気のジャンルで成功しているが、比較的メジャーなテーマで差別化していくには自分が好きなテーマを掛け合わせていくことがコツだという。
「もともとのパイが大きい分野がやりやすいのは確かなので、自分の好きなテーマやインスタの中に転がっているテーマから、自分が好きで続けられそうなものを拾い、自己流で組み合わせるのが一番やりやすいと思います。例えば、本好きなら小説系とかビジネス系とか、本をテーマにしたアカウントを調べて空いているジャンルを私なら狙います。もしくは、新しいコミュニティやマーケットを自分で一からつくるのが難しそうなら、ほかのテーマを掛け合わせるという感じ。『自分だったらこういうコンテンツをフォローしたい』という基準が大切です」
インスタで扱われるジャンルやコミュニティは日々、多様化しているため、ほかのユーザーがまだやっていない、意外とニッチなテーマでも成功する可能性は十分あるが、写真や文章のテイストをインスタの温度感に合わせて発信することは必須となる。 「写真で意識してほしいのは“映え”ではなく、統一感があって見やすいこと、いつ見てもプロフィールページのタイムラインがきれいで完璧な状態に保つことです。普通、知らない人をフォローするときは投稿写真の統一感や、コンテンツの完成度を判断してフォローします。写真の雰囲気が余りにもバラバラだったり、コンテンツと直接関係ない日常の写真が混じっていたり、プロフページのライムラインがグチャグチャした印象だと、その一瞬の見た目でフォロワーを逃してします」
艸谷氏がオススメするプロフページの例
艸谷氏はストーリーやほかのSNSを使い分け、インスタの本投稿では自身が手がけた商品の宣伝などは一切行わないそうだ。 「1枚1枚の角度や背景を変えてプロフのタイムラインをいい感じに揃えるのはすごくセンスがいりますが、意識することは水平と垂直を真っ直ぐにして、色がちゃんと出るように撮るだけです。変に斜めからとか撮る人も多いですけど、それだけでかなり差別化になります。写真は絶対に真っ直ぐ撮ると決めておくと、それだけでセンスあるように見えますよ」 写真は基本デジカメで撮影している艸谷氏だが、特殊な機材なども使わず、他メディアで活用しやすいといった理由からフィルターも使っていない。
「テーマ的に写真が地味になりやすい場合は、YouTuberのサムネ画像みたいにイラレなどでレイアウトし、写真に文字を入れるのがオススメです。吹き出しなどで文字を入れるだけで写真の雰囲気がだいぶ変わるし、デザインは使い回しできます。キャプションなどテキストの内容は、写真に紐付く情報だけを書き、日記にしないこと。自分のことは最後に一言くらいにして、『駅の何番出口から徒歩何分で行きやすい』とか、フォロワーがなるべく自分事として共有できる、有益な情報を心がけましょう」
ハッシュタグ活用と地道な「いいね!」回りで仲間を増やす
早くフォロワー増やしたいなら、『いいね!』回りをしっかりやると、フォロワーの増える速度が全然違います。自分と同じようなテーマで発信しているアカウントやハッシュタグを足掛かりに、そこのフォロワーに『いいね!』しまくるんです。そのためにも『ここをフォローするなら自分もフォローしてくれるはず!』というコンテンツづくりが大事です。結局、『いいね!』した人には『いいね!』が返ってくるし、コメントしたらコメントが返ってくる。『いいね!』返しやコメント返しも徹底しましょう」 インスタ内で仲間をつくり、一緒にコミュニティを盛り上げる意識も成功の近道となりやすいが、インスタにはハッシュタグのフォロー機能(フォローしたハッシュタグの付いた投稿を自分のタイムラインに表示させる機能)もある。ハッシュタグは新規フォロワーの流入元として積極的に活用したい。 「日本人のフォロワーを増やしたいなら日本語のタグ、学生のフォロワーを増やしたいなら学生の間で盛り上がっているタグというように、自分のターゲットがどんなキーワードで検索するか想像して付けます。いかにトップに載るかを考えると、投稿10万件以下の規模のタグがオススメ。ハッシュタグをいろいろ見ていくと、関連タグや人気の投稿内容などもわかってきます。例えばカフェ関連のタグの中で『このお店がトップに来やすい』とわかったら、みんなとは違うアングルで撮るなど、その層に刺さりそうな内容を投稿しましょう」 インスタでは複数のハッシュタグによる同時検索ができないため、店名などの基本情報的なタグに加え、「東京カフェ」「浅草ランチ」など複数キーワードを組み合わせたタグ、広いテーマから狭く絞り込めるタグを付けるのもポイントだ。 最後にフォロワーを増やすための投稿のペースについてだが、ほぼ毎日同じ時間に1投稿することが基本だとか。撮り溜めして、下書きに置いておくことも可能とはいえ、本業の仕事もしながらだとなかなか大変そうだが……。 「たとえフォロワーがたくさんいても、週1くらいのペースだとトップに上がりにくくなるんです。まずは18投稿と1000フォロワーを目標にするといいと思います。自分のプロフのタイムラインが良い感じにできてくると、みんな気持ちが乗っかってくるので。18枚くらい投稿が揃った段階から本格的に1日1投稿と『いいね!』回りを実践していくと、着実にPVが増えて反応もらえるようになる。最初は大変ですが、1000フォロワーくらいになると続けやすいし、本気でやれば3か月で1000フォロワーは可能です」 インスタも副業として取り組むとなると本気度が問われそうだが、スマホ1台で完結する上、元手ゼロで始められるのは魅力。“これは”という趣味がある人、単に「稼ぐ」だけでなくやり甲斐や楽しさを重視する人は気軽に始めてみるといいだろう。