
岸田総理が考える、「史上最低の総裁再選戦略」...「支持率が上がらないなら、ライバルを蹴落とせばいいじゃない」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

解散せずに、総裁選で再選される─これが岸田が現時点で考えているメインシナリオだろう。 しかしその先のことは何も考えていないに違いない。来年には参院選もあるし、衆院も任期満了を迎える。その間、物価は上がり続け、国民の暮らしは大変になるばかり。
断末魔の自民党─再び下野する日がやってくるのも近い。
断末魔の自民党─再び下野する日がやってくるのも近い。
岸田総理が考える、「史上最低の総裁再選戦略」...「支持率が上がらないなら、ライバルを蹴落とせばいいじゃない」
5/4(土) 7:03配信
空前の円安で、ゴールデンウィークは「節約旅」がトレンド入り。国民が物価高にあえぐなか、裏金問題の真相究明すらしようとしない自民党に、補選で「ノー」が突きつけられた。ところが……。
【一覧】「裏ガネ総選挙」で落選する議員の全実名はこちら…!
前編記事『岸田総理『ずっとおれのターン! 』...補選惨敗なのに『岸田おろし』が起こらない驚くべき「カラクリ」』より引き続き、岸田総理の再選戦略を見ていく。
石破茂が総理以上に補選で奔走
Photo by gettyimages
総裁選で岸田にとってもっとも強敵になりそうなのが石破茂だ。世論調査では毎回「ポスト岸田」候補1位を独走している。「選挙の顔はやはり石破しかいない」となれば、議員票も一気に石破へと雪崩を打つ可能性がある。
「石破さんは総理がピンチのときにも、党内野党よろしく平気で政権批判するので、『石破は皆が苦しいときに、後ろから鉄砲を撃つ』と評判が悪く、なかなか党内での支持が広がらなかった。
最近は石破さんもそれではまずいと思ったのか、補選で皆があきらめムードの中、島根に4回も入って必死に応援活動をしていた。そういう姿を見せることで、『石破が頑張ってるじゃないか』という空気が少しずつ党内にでき始めています」(二階派中堅議員)
補選前にラジオ日本の番組に出演した際には「島根(の補選)を一生懸命やらないで『岸田けしからん、辞めろ』と言うのは自民のすることではない」と宣ってみせた。これまでとは一味違う。
しかし、岸田はこちらについてもすでに手を打ってある。
ライバルを蹴落として、自分を上げる
「最近、麻生さんが突然、『石破も見どころがあるじゃねえか』と言い出した。麻生さんは首相だった'09年に、現職の農水相だった石破さんに早期退陣を迫られたことを根に持っており、石破さんを嫌っている。だからこの発言はおかしい。もちろんこれは罠です。党内支持を集めようと必死な石破を増長させるために、わざと言っているのでしょう。
石破さんも真に受けているわけではないのですが、どうもこの動きを麻生さんの政敵である菅義偉さんが警戒しているようで、石破さんと距離を置き始めました」(自民党関係者)
二階俊博が引退を表明した今、非主流派を取りまとめるキーマンは、前総理の菅しかいない。長年、無派閥を貫いてきた菅が持っている手駒は2枚。それが石破と、自身の内閣で法相を務めた上川陽子だ。
麻生は石破を持ち上げることで、菅と石破のあいだに楔を打った。一方、「ポスト岸田」として名前があがり始めた上川についてはとっくに手を打ってある。
「そもそも麻生さんが上川陽子を『このおばさんやるねえ』と持ち上げたのは、単なる失言ではなく、『ポスト岸田』となりうる菅さんの持ち駒を潰すため。その思惑通り、すでに上川は菅の手から離れている」(同前)
残るは党内基盤のない高市早苗や河野太郎などのザコばかり。総裁選に立候補したとしても岸田にとって敵ではない。
解散をちらつかせることで、あえて遠心力を働かせ、ライバルたちを浮き足立たせる。相手の失策を誘い、最後は総裁選で僅差であっても再選に持ち込む。これが岸田が目論む勝利のシナリオだ。
5/4(土) 7:03配信
空前の円安で、ゴールデンウィークは「節約旅」がトレンド入り。国民が物価高にあえぐなか、裏金問題の真相究明すらしようとしない自民党に、補選で「ノー」が突きつけられた。ところが……。
【一覧】「裏ガネ総選挙」で落選する議員の全実名はこちら…!
前編記事『岸田総理『ずっとおれのターン! 』...補選惨敗なのに『岸田おろし』が起こらない驚くべき「カラクリ」』より引き続き、岸田総理の再選戦略を見ていく。
石破茂が総理以上に補選で奔走
Photo by gettyimages
総裁選で岸田にとってもっとも強敵になりそうなのが石破茂だ。世論調査では毎回「ポスト岸田」候補1位を独走している。「選挙の顔はやはり石破しかいない」となれば、議員票も一気に石破へと雪崩を打つ可能性がある。
「石破さんは総理がピンチのときにも、党内野党よろしく平気で政権批判するので、『石破は皆が苦しいときに、後ろから鉄砲を撃つ』と評判が悪く、なかなか党内での支持が広がらなかった。
最近は石破さんもそれではまずいと思ったのか、補選で皆があきらめムードの中、島根に4回も入って必死に応援活動をしていた。そういう姿を見せることで、『石破が頑張ってるじゃないか』という空気が少しずつ党内にでき始めています」(二階派中堅議員)
補選前にラジオ日本の番組に出演した際には「島根(の補選)を一生懸命やらないで『岸田けしからん、辞めろ』と言うのは自民のすることではない」と宣ってみせた。これまでとは一味違う。
しかし、岸田はこちらについてもすでに手を打ってある。
ライバルを蹴落として、自分を上げる
「最近、麻生さんが突然、『石破も見どころがあるじゃねえか』と言い出した。麻生さんは首相だった'09年に、現職の農水相だった石破さんに早期退陣を迫られたことを根に持っており、石破さんを嫌っている。だからこの発言はおかしい。もちろんこれは罠です。党内支持を集めようと必死な石破を増長させるために、わざと言っているのでしょう。
石破さんも真に受けているわけではないのですが、どうもこの動きを麻生さんの政敵である菅義偉さんが警戒しているようで、石破さんと距離を置き始めました」(自民党関係者)
二階俊博が引退を表明した今、非主流派を取りまとめるキーマンは、前総理の菅しかいない。長年、無派閥を貫いてきた菅が持っている手駒は2枚。それが石破と、自身の内閣で法相を務めた上川陽子だ。
麻生は石破を持ち上げることで、菅と石破のあいだに楔を打った。一方、「ポスト岸田」として名前があがり始めた上川についてはとっくに手を打ってある。
「そもそも麻生さんが上川陽子を『このおばさんやるねえ』と持ち上げたのは、単なる失言ではなく、『ポスト岸田』となりうる菅さんの持ち駒を潰すため。その思惑通り、すでに上川は菅の手から離れている」(同前)
残るは党内基盤のない高市早苗や河野太郎などのザコばかり。総裁選に立候補したとしても岸田にとって敵ではない。
解散をちらつかせることで、あえて遠心力を働かせ、ライバルたちを浮き足立たせる。相手の失策を誘い、最後は総裁選で僅差であっても再選に持ち込む。これが岸田が目論む勝利のシナリオだ。
自民党が再び野党に転落する日
こう考えれば11月に大統領選を控えたこのタイミングで、麻生がわざわざ渡米し、トランプ前大統領と会談したことも得心がいく。
「麻生さんはかねてより『俺は岸田を支え続ける』と周囲に言っている。トランプとの会談も、表向きは官邸も『一議員として行われたもの』(林芳正官房長官)と説明しているが、事前に岸田さんと相談したことはあきらかです。これこそ岸田再選のための戦略でした。
すでに岸田さんはバイデン政権とは信頼関係を築いている。日米首脳会談はそのアピールでした。
もし11月の米大統領選でトランプが勝った場合には、パイプがあるのは麻生さんだけ。となると麻生さんが推す岸田さん以外にトランプとまともに交渉できる総理候補はいない。これは岸田総裁の再選に有利に働くのではないか。そう思って麻生さんはメディアを引き連れて訪米したのです」(全国紙政治部記者)
さらに岸田は党の人事制度に大きな変更を加えることで、権力を一手に掌握しようとしている。
「派閥の人事関与を断つために検討している人事制度の原案では、幹事長ら『党七役』に対して、代行や代理などの部下を選ぶ権限をそれぞれ付与することになっています。これまでは党本部が派閥のバランスを考慮して決めていたのですが、今後、党七役は自分の意に沿う議員を引き上げることができる。
そして、その党七役の人事を握っているのは総裁に他なりません。もはや誰も岸田さんに逆らえなくなる」(同前)
解散せずに、総裁選で再選される─これが岸田が現時点で考えているメインシナリオだろう。
しかしその先のことは何も考えていないに違いない。来年には参院選もあるし、衆院も任期満了を迎える。その間、物価は上がり続け、国民の暮らしは大変になるばかり。
断末魔の自民党─再び下野する日がやってくるのも近い。
(文中敬称略)
「週刊現代」2024年5月11日号より
もっと読む【完全予測】落選する「裏ガネ議員」全実名を大公開…! 岸田の「6月ヤケクソ解散」で自民党がボロ負けする【東日本編】
こう考えれば11月に大統領選を控えたこのタイミングで、麻生がわざわざ渡米し、トランプ前大統領と会談したことも得心がいく。
「麻生さんはかねてより『俺は岸田を支え続ける』と周囲に言っている。トランプとの会談も、表向きは官邸も『一議員として行われたもの』(林芳正官房長官)と説明しているが、事前に岸田さんと相談したことはあきらかです。これこそ岸田再選のための戦略でした。
すでに岸田さんはバイデン政権とは信頼関係を築いている。日米首脳会談はそのアピールでした。
もし11月の米大統領選でトランプが勝った場合には、パイプがあるのは麻生さんだけ。となると麻生さんが推す岸田さん以外にトランプとまともに交渉できる総理候補はいない。これは岸田総裁の再選に有利に働くのではないか。そう思って麻生さんはメディアを引き連れて訪米したのです」(全国紙政治部記者)
さらに岸田は党の人事制度に大きな変更を加えることで、権力を一手に掌握しようとしている。
「派閥の人事関与を断つために検討している人事制度の原案では、幹事長ら『党七役』に対して、代行や代理などの部下を選ぶ権限をそれぞれ付与することになっています。これまでは党本部が派閥のバランスを考慮して決めていたのですが、今後、党七役は自分の意に沿う議員を引き上げることができる。
そして、その党七役の人事を握っているのは総裁に他なりません。もはや誰も岸田さんに逆らえなくなる」(同前)
解散せずに、総裁選で再選される─これが岸田が現時点で考えているメインシナリオだろう。
しかしその先のことは何も考えていないに違いない。来年には参院選もあるし、衆院も任期満了を迎える。その間、物価は上がり続け、国民の暮らしは大変になるばかり。
断末魔の自民党─再び下野する日がやってくるのも近い。
(文中敬称略)
「週刊現代」2024年5月11日号より
もっと読む【完全予測】落選する「裏ガネ議員」全実名を大公開…! 岸田の「6月ヤケクソ解散」で自民党がボロ負けする【東日本編】