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日本人は1000年以内に消える「絶滅危惧種」→そんな日本より先に消滅する国とは?

2024年12月10日 18時03分52秒 | 女と男のこと

日本人は1000年以内に消える「絶滅危惧種」→そんな日本より先に消滅する国とは?

100歳以上が9万2000人いる世界最長寿国・日本。そんな日本も、生涯未婚率は直線的に上昇し続け、出生率は上がらないのが現状だ。今のペースが続いた場合には、2130年に男性未婚率が100%になり、日本人はあと1000年以内に消滅する絶滅危惧種と示すデータまである。医師である黒木登志夫氏が掲げる、出生率を上げるためのたった1つの方策とは?本稿は、黒木登志夫『死ぬということ 医学的に、実務的に、文学的に』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。


100歳以上は9万2000人
世界のどこでも女性の方が長生き

 厚労省は、2023年の敬老の日の「100歳以上人口」は9万2139人と発表した。人口の0.074%になる。その88.5%は女性である。53年連続で増加中というから驚く。私もあとたった12年で100歳だ。とはいうものの、100歳まで生きるのも大変だろうし、考えてしまう。


 ちなみに、イギリスでは、100歳になると国王(少し前まで女王)からお祝いのカードが贈られる。その次は105歳、その後は毎年贈ると政府のホームページに出ている。どこの国でも100歳はめったに到達できない数値目標なのだ。


 世界の国々の男女の平均寿命をまとめた図がある。それを見ると、19世紀以降は、調べられているすべての国で、女性の方が男性より長生きである。しかし、なぜかについての正確な答えはない。



 男性自身が作った男性優位の社会の下、男性はより多くのストレスにさらされ、男性は自らを短命に追い込んだという説明が一番説得力があるように思える。寅さんがいうように「男はつらいよ」なのだ。


 女性が長く生きるのは、孫の世話により種を守るためという「おばあちゃん」仮説がある。


 しかし、90歳以上まで生きると、「おばあちゃん」は「ひいおばあちゃん」になる。


「おばあちゃん」は孫の世話をすることができるが、「ひいおばあちゃん」には「ひ孫」の世話は無理である。「おばあちゃん」は「ひいおばあちゃん」の介護と孫の世話で大忙しとなる。


110歳以上のスーパー長寿者は61名
人は何歳まで生きられるのか?


 ギネスブックに長寿世界一と認定された110歳以上のスーパー長寿者は61名いるが、そのうちの最長寿者は、122歳のジャンヌ・カルマン(後述)と119歳の田中カネおよびサラ・ナウス(アメリカ)である。


 日本には田中カネ(福岡市、1903~2022)に続いて、117歳が3人、116歳が3人いた。2024年現在生存している最長寿者は116歳の糸岡富子(芦屋市、1908~)である。過去には、泉重千代(徳之島)が世界の最長寿者としてギネスブックに公認されていたが、生年に疑問があるため取り消された。おそらく105歳であったと言われている。


 南仏のアルルに生まれたジャンヌ・カルマン(Jeanne L. Calment:1875~1997)は、1888年当時、叔父の画材店を訪れたバン・ゴッホをよく覚えているという。彼女によれば、ゴッホは「汚くて、だらしのない服装だった」という。


 ところが、122歳164日で亡くなったのはジャンヌではなく、彼女の娘のイボンヌであるという論文が、2018年ロシアから発表された。


 ジャンヌ自身は1934年に59歳で亡くなったが、相続税を逃れるために、娘のイボンヌがジャンヌになりすましたというのだ。しかし、その根拠は、ジャンヌとイボンヌがそっくりだとか、ジャンヌの1930年代のパスポートの写真の目の色が違うといった程度の不確実な「証拠」であった。しかし、この報告はメディアの注目を集めた。



 この報告に猛反発したのが、フランスの国立衛生・医学研究所(INSERM)である。フランスチームは、国勢調査報告、証言を詳細に検討し、ロシアの報告はねつ造であり、撤回すべきと結論している。この論文は、120歳から123歳の長寿者は、百寿者の1000万人に1人の確率であり得ると述べている。


日本人は絶滅危惧種
2130年には男性未婚率100%


 2022年5月7日、アメリカの電気自動車メーカーのCEOイーロン・マスク(Elon Musk)は次のようにツイートした。


 当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を上回るような何らかの変化が起きない限り、日本はいずれ消滅するだろう。それは世界にとって重大な損失だ。

 確かに、イーロン・マスクがいうように、日本の出生数と死亡数は、2005年以降、死亡者が出生数を上回り(図2-2)、両者の回帰直線の勾配(絶対値)は、死亡数が出生数より、1.5倍も急だ(死亡19.4、出生12.9)。これでは、本当に日本の将来が心配になる。



 そもそも、若い人が結婚をしないのだ。図2-3に見るように、この35年間、生涯未婚率(50歳までに結婚しない人)は、直線的に増加している。「女子会」よりも「男子会」の方が10%は高く、両者の直線は平行して上昇している。




 このままでいくと、100年ちょっと後の2130年には男性の生涯未婚率が100%になる。イーロン・マスクはなんというだろう。アラサー世代の意見も聞きたいものだ。


 国立社会保障・人口問題研究所によると、日本人はあと1000年もたたないうちに消えてしまう。日本は「絶滅危惧国」なのだ(表2-2)。


 日本人がいなくなれば、日本語も日本文化も滅びてしまう。日本が消えるのは、日本だけの問題だけではない。イーロン・マスクのいうように、世界にとっても失うものが大きすぎる。



結婚しなくても子どもを産める
制度にして出生率を上げるべし


 将来の人口を計算する数式において、結果を左右するのは、次のような因子である。


・男女年齢別人口


・合計特殊出生率(ひとりの女性が一生のあいだに出産する子どもの数。以下特殊出生率)


・出生性比(男性が5%多い)


・男女死亡率


 この中で大きく変わりうる数字は、特殊出生率である。逆に言うと出生率を上げない限り、日本人は3000年には絶滅することになる。人口維持に必要な特殊出生率(人口置換出生率)は、2.06である(図2-4)。この数字に達するのは非常に困難である。


 これまでの出生率を見ると、1974年までは2.0以上であったが、その後は減少し続け、2022年にはついに1.26まで下がった。ちなみに、中国は1.16(2021年)、韓国は0.78(2022年)と日本よりもはるかに低い。韓国の人口が日本の半分であることを考えると、韓国は日本よりも先に消滅するであろう。




 子どもを増やすためには、結婚しなくても子どもを産める制度に変えていく必要がある。少子化対策の切り札は、婚外子を認めることである。国連の少子化対策報告書には、婚外子に関する1つの図がある(図2-5)。





 日本は婚外子が他の国とくらべて圧倒的に少ない。49ヵ国中で最小の2.1%である(2010年)。フランスは50%を超えている。この国連データを日本のメディアは取り上げない。何を恐れているのだろうか。


 フランスは、1990年代には、出生率が1.7台であったのが、2010年代の半ばには2.0台にまで上昇した。その背景には、世の中の変化、人々の意識の変化に合わせて、思い切って制度を変えたことがある。フランスでは、PACS(Pacte Civil Solidarite:連帯市民協約、平たくいえば結婚の簡易版)が、結婚登録に変わりつつある。


「戸」籍を「子」籍と改め
婚外子を認めるべし


 つまり、戸籍制度を改め、正式に結婚しなくとも、届け出さえすれば事実婚ができるし、名字を変える必要もない、同性同士でも可能としたのである。


 社会保障も税金などでも、結婚と同じ保障がある。その上、嫡出子、非嫡出子(婚外子)の区別をなくした。


 つまり、正式に結婚していない事実婚のカップルとその子を法律的に保障することにより、生まれてくる子どもの人権を守ろうという考えである。

 2023年度政府予算の審議の中で、「異次元」の少子化対策の議論が行われた。政府も国民も少子化という大問題に気がついたのはよいことだ。しかし、現在の「異次元」政策はこれまでの補助金政策の枠を出ていない。本当に異次元というなら、婚外子を認めるくらいの制度改革をしなければならない。


 そもそも、日本の「戸」籍は、「家」を守るための籍である。それを「子」を守るための「子」籍に変える。「子籍」にして婚外子を認めれば、生涯未婚の男女も参加してくれるであろう。しかし、日本は、夫婦別姓すら認められていないような保守的な国である。このままでは1000年後に日本は消えてしまうのだ。本当にそれでよいのですか。


 出生率を上げるためには婚外子を認めるような思い切った制度改革が必要である。移民政策も見直し、ラグビーチームのように国際化しないと日本は生き残れないであろう。政治家よ、真剣に考えなければならないときなのだ。





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