未曾有と想定外

＜未曾有と想定外＞とは、失敗学の権威の畑村洋太郎氏の最新の著書です。東北大震災と福島原発事故に関して、失敗学の立場から論評しています。

未曾有とは、＜歴史上いまだかつて無い＞の意味ですが、安易に使い過ぎです。ただ、忘れているだけなのに、曖昧に表現をしています。

＜忘れっぽさ＞の法則とは、個人では3年で忘れ、組織では30年で忘れ、地域では60年で忘れ、社会では300年で忘れ、文化的には1200年で忘れる法則です。人間が入れ替わるから、忘れられていきます。

想定外のことが起きた場合、臨機応変に対応しなければなりません。想定外の事態に対処できるのは、日頃から想定の訓練をしている人だけです。

最初に想定した時には、正しかった考えの枠でさえ、時間の経過や環境や条件が変化するのに合わせて、変えていく必要があります。特に、原発事故に関して、想定の枠を変えて考えていかないと、事故を防ぐことはできません。

＜歴史は繰り返す。特に自然災害もまた繰り返す。＞これには、人間の二つの性質、＜忘れっぽさ＞と、＜見たくないものは見えない＞＜聞きたくないことは聞こえない＞が、関係しています。

畑村洋太郎氏は、含蓄のある指摘を数多くしています。