和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

【SS】Babel

2012-05-29 17:09:08 | 小説。
「巫女様」

――誰かが私をそう呼んだ。
神の声を聞く者。
神の力を借りる者。
まるで、この力が私のものではないかのように。

例年通り、国は飢えていた。
日照り続きで作物が育たないとか、何とか。詳しいことは知らない。
そして例年通り、最終的には私に頼る。
否、私を通して、神と呼ぶ何者かに頼るのだ。
「神よ。何卒、雨を降らせて下さいまし――」
日に二度三度と、同じ願いを違う人から聞かされる。

私は何だか、飽きてきた。

同じような願いを聞くことに。
そして――神の代理と扱われることに。

「・・・煩いなぁ」
誰もいなくなった祭壇で、ひとりごちる。
国中の誰も、私が、私の力で願いを叶えていることを知らない。
幼い頃からそうだった。
どんな奇跡を起こしても、それは神の力とされ、私のものではないとされた。
それでもいいか、と思ってはいたのだけれど。
積もりに積もった不愉快は、私の中の何かを決壊させた。

私が願いを聞かなくなったら。
みんな、どう思うだろう?

いや。
私に願いが届かなくなったら。
そうしたら、神などいないことに、気が付くだろうか。

そうだ。
壁を作ってしまおう。
私と、みんなの間に、高い高い壁を作ってしまおう。
誰も乗り越えられないような。
完全なる拒絶を、築きあげてしまおう。

思い付いてしまえば、実行は容易かった。
言語を変える。
私が操る言語と、みんなが操る言語を変える。
ただそれだけで、容易に壁はできる。

「――XXXXXX」
必死の形相で、何事か訴えかける人々。
「ああ、何を言ってるのかわからないわ。困ったわね」
悲しそうな演技をしながら、そんなことを言ってみせる。
勿論、私のこの言葉も、彼らには何一つ通じない。

さあ。
どうする?
神の代理でなくなったら、私をどう扱う?

迫害するならすればいい。
私は精一杯抵抗しよう。
たとえ刃を向けられようと、負けない自信はある。
それだけの力を、私は持っている。

やがて、どうしても言葉が通じないと分かった人々は、静かに去って行った。
そしてそのまま、私の周りには誰もいなくなった。

恵みの雨など降らない。
私が降らせはしない。

いつか――。
この高い壁を乗り越えて、神などではない本当の私を見つけることができたなら。
その時に、じっくり話をしようじゃない。
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雑記。

2012-05-29 13:48:37 | いつもの日記。
今週のニセコイ。
ついに小野寺さんのターン!
長かったね・・・。ここから、メインヒロインとして大活躍していくのだね。
・・・やばい、小野寺さんが活躍するイメージがちっともわかない。
可愛いと思うんだけどな、小野寺さん。
何故さん付けなのか。

そういえば、ニセコイはVOMIC化なんだってさ!
おお、よかったじゃない。
単行本はまだ1巻しか出てないんだっけ? まだ出てない?
何にせよ、アニメ化にはちょっとストックが足りない感じですね。
しかし、このまま行けばアニメ化も夢じゃない。
ぜひ頑張って欲しい。

ジャンプといえば。
最近のラブコメ推しには少し危機感を感じている。
ニセコイ、パジャマな彼女、恋染紅葉とラブコメが続いています。
そうなると、マジコ辺りが割を食うんじゃないだろうか。
更に新連載陣の中で票が割れたり。
どれも面白いだけに、つくづく「ジャンプじゃなければ」と思ってしまいます。
ジャンプにそこまでのラブコメ要素は求めてねえよ。
精々2本だろ。3本は多いだろ。

氷菓面白いなぁ。
えるの好奇心描写が、毎回楽しみになってきました。
あと、摩耶花と里志の喧嘩(?)シーンとか、非常によかった。
摩耶花の摩耶花らしさってのが、存分に出ていたと思います。
ミステリといいながら、完全にキャラ物ですねこれは。
そして次回は温泉回。
BD/DVDで湯気が消えたりするんですかね。京アニはそんなことしないか。

最近、健康面を考慮して2杯目以降のコーヒーには砂糖を入れないことにした。
そもそも2杯以上飲むこと自体どうなんだ、と思わなくもないけど。
毎日3杯以上飲むと健康にいい、という噂も聞くんだぜ。
もう何が本当か分からんな!
なので、取り敢えず砂糖だけでも減らそうと思って。
砂糖の過剰摂取がよくないってのはもう間違いないだろうからねー。
コメント (2)
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