かなり以前にも記事として書きましたが(http://blog.goo.ne.jp/james_mac/e/ad1b3e623e590d937a24d52d3c36f3ba)、6500万年前に大絶滅をもたらしたとされる小惑星との衝突という破滅的イベントは「木星」と「火星」の間にある小惑星帯にあった小惑星同士の衝突によって発生した多数の破片がその飛来源として推測されています。この場合はその多くが現在も黄道平面の近くに収まっており、その意味で観測には都合がよいと思われますが、他方黄道からかなり離れた平面を軌道とするものも存在しており、この場合観測がかなり困難となります。それは即座にその軌道予測も困難となることとなり、対策が後手に回ることとなります。
現在はそこも観測対象として全地球的に観測網が整備されつつありますが、中には太陽系内にその起源を持たないようなものも含まれる可能性もあり、このような場合は速度が高くしかも太陽めがけて加速しまたスイングバイされるため、遠ざかる際の速度は飛来時を上回ることとなります。
既に一昨年となりましたが、まさにそのようなものとして「オウムアムア」(Oumuamua)と呼称されるようになった天体の接近が観測されました。これはその形状が極端に球形からはずれた形状をしていたため(ほぼ棒状であった)ことから「葉巻型のUFO」などと噂もされましたが、結果的には太陽系の外部から飛来した「彗星」と判定されています。この「オウムアムア」は「こと座」のα星「ベガ」の方向からやってきて、発見時は秒速30Km弱であったようですが、その後太陽の至近で方向を変えた後加速し秒速40km程度となったことが観測されています。その後どんどんと太陽から離れていっており、現時点では土星軌道の距離程度まで離れていったようです。
このようなものが地球など惑星の至近を通過することも考えられるため、実際には地球近傍を通過する可能性のある天体は私たちが思う以上に多いと言わざるを得ません。今回は「たまたま」地球軌道からかなり離れた軌道となりましたが、地球とニアミスあるいは衝突する場合かなりサイズの小さなものであっても被害が大きなものとなる可能性があります。
また以前にも地球に700万キロメートルまで接近した小惑星があったという報道がされています。その大きさは4.5kmあったとされ、しかも衛星2個を伴っていたという情報までありますが、これはかなり「大きい」といえるサイズであり、さらに「700万キロメートル」というのは宇宙的には「すぐそば」というイメージであり、ちょっと驚愕です。またその「4.5キロメートル」という大きさも瞠目すべきであり、以前ロシアで観測された「隕石」(というより「微小小惑星」というべきでしょうか)の大気圏突入の際にはその衝撃波で多くの被害があったことが報告されていますが、このケースはかなり上空で本体の破壊があったため、被害もまだしも少なかったというべきでしょう。それは本体の大きさが数十メートルというレベルだったからであり、当然これより大きい「キロメートル」というオーダーの場合は(その入射角にもよりますが)、衝撃波によって破壊が進行するにも時間がかかることとなり、その分地表近くまで落ちてきてしまっているという可能性が高く、その場合衝撃波も閃光もより強烈なものが地表に届くこととなりますから、その威力として核爆弾と何ら異ならないものとなるため、甚大な被害が発生する可能性が高いと思われます。まさに「青天の霹靂」というべきものですが、地球における生物の進化にとって最も重要な不安定要因はこのような地球外から飛来する天体による衝突であるという研究もあるようであり、このような天体衝突による「大絶滅」は現在までも地球を何回か襲っていると考えられています。
ただ問題はその「間隔」なのでしょう。生物の進化には数千万年から数億年という時間オーダーが必要であり、その途中で大絶滅が起きてしまうとその時点で進化がリセットされてしまい、なかなか高等生物の登場に至らないと思われる訳です。その意味で「木星」という巨大な惑星が太陽系の中程に存在しているというのは、地球にとって「露払い」の意味があり(木星がその引力で微少小惑星群が太陽方向に行かないよういわば「引っ張っている」ため)、この存在があったからこそ現在「人間」が生きていられるというわけです。