ロジックICの出力電流がどれくらい流れるか分かったので、本題に入ります。
(えー、いままでのは前振りだったのー)
以前、何かのおりに「LEDに電流制限抵抗を付けないとダメですよね。」
みたいな事を言われたことがあります。
確かに、「ちっちゃいーの」や「ikkeiplexing shield」は、
電流制限抵抗を省いてAVRにLEDを直結しています。
おそらく、大学の先生か何かで、学生に教える時に
LEDには抵抗を付けるんだと、言い聞かせていたのだと思います。
そのせいで、LEDと聞くと、
LED -> 電流制限抵抗 と脊髄反射してしまう人も多いのでしょう。
では、なぜLEDに抵抗を付けて電流を制限する必要があるのか。
それは、過大な電流が流れてしまうとLEDが壊れてしまうからです。
逆に言うと、過大な電流が流れないのなら、抵抗は無くても構わないと言うことです。
では、LEDが壊れるかどうか、実際に直結してみましょう。
回路は、先の測定回路の電流測定用の1Ω抵抗はそのままにして、
VRの代わりにLEDをつなぎます。
まずは、軽い方の4069にLEDをつなぎます。
用意したのは、秋月で買った赤色と青色のLEDです。
ソース VF IF
RED 1.9V 4.48mA
BLUE 2.96V 3.68mA
シンク VF IF
RED 1.96V 3.28mA
BLUE 2.92V 3.12mA
4069なら、3~4mA程度しか流れないので、直結でも全然大丈夫です。
先のグラフで、確認してみましょう。
ソース出力では0VからVF分だけ上がった電圧から横にみてグラフと交わった所がIFとなります。
シンク側を見て下さい。

定電流特性に入っているので、VFが違っているのにIFはほとんど同じになっています。
次に、HCU04です。
ソース VF IF
RED 2.4V 44mA
BLUE 3.56V 30.8mA
シンク VF IF
RED 2.36V 40mA
BLUE 3.6V 33.6mA

4069の10倍、30~40mAくらい流れます。
さて、それでは注目のUNOはどうでしょう。
ソース VF IF
RED 2.48V 68mA
BLUE 3.72V 41.6mA
シンク VF IF
RED 2.36V 76.8mA
BLUE 3.68V 48.8mA

Arduino UNO では、赤は70mA、青は40mAくらい流れました。
えー、そんなに流して良いの?!
と、思う人が多いでしょう。
では、LEDのデータシートを見てみましょう。
使用したLEDは既に秋月では売っていないようなので、
今売っているLEDのデータシートの定格を見てみましょう。

普通は、このIF=20mAを見て、20mA流せば良いんだと言うことになります。
でも、このデータ、IF=20mAのとき、VFは3.1V(代表値)で、10cdだと言うことを
表しているに過ぎません。
では、どれだけ流しても良いのか。
それはディレーティングカーブを見ます。

これを見ると、25℃までなら、30mA流して良いと言うことが分かります。
さらに、70℃だったら、15mAしか流せません。
じゃ、40mAも流しちゃダメじゃん。
いえいえ、そんなことはありません。
そう、絶対最大定格というのがあります。

これを見ると、100mAまで大丈夫そうです。
もちろん、マージンがあるので、100mAを超えると即破壊というわけではありません。
ただし、下の方にあるように、デューティは1/10以下にしないといけません。
実験では1/1000のデューティなので、余裕でOKです。
「ちっちゃいーの」では1/16なので、これもOK。
ま、LEDによって電流値は違うのですが、おおむねこのようになっています。
学校で教える時も、最初は「必ず電流制限抵抗を付けないといけない」で良いですけど、
卒業までにはデータシートの読み方や、ディレーティング、
デューティ制限なども教えてやって欲しいと思います。
私は大学校での講義は3ヶ月しか出来なかったので、
そこまでの話が出来なかったのが残念です。
追記
このまま、製品に適用する人は居ないと思いますが、
製品の信頼性については絶対最大定格に対して十分なマージンを確保する必要があります。
それに関しては、またいずれ。