またまた定電流ダイオードを使った残念な記事を見かけたのでちょっとまとめた事を書いておこうと思いました。
LEDのVfに関わらず抵抗値を計算しなくてもLEDの電流を決められるからと安易に使用する例が後を立ちません。
では実際にLEDにCRD(定電流ダイオード)を直列につないだ回路に電圧を掛けて電流を測ってみましょう。
回路図がこれです。
CRDには公称10mAのE103を使いました。
LEDは2種類をつなぎ替えます。
1つ目は赤色の OSDR5113A (Vf 2.0 V)です。
もう一つは白色、日亜の NSPW500DS (Vf 3.2 V)です。
電流計が無いので、1Ωの抵抗を直列に入れて電圧を測ります。
1Ωなので、1mVが1mAという事です。
この回路で電源の電圧を変化させて電流を測定してグラフにしたのがこれです。
確かに定電流特性が出ていますが、Vfに関わらず同じ電流でと言うには少なくとも7V以上必要だということが分かります。
5Vでは赤と白でかなり差が有りますしグラフが水平じゃないので電源電圧が変化すると電流値も変化してしまいます。
つまり5Vでは低電流ダイオードを使っても抵抗を使うのと同じと言う訳です。
抵抗値の計算をしなくても良いのは間違いありませんけれども。w
さらにこのグラフを良く見てください。
公称10mAのはずが15mA近くまで流れています。
データシートで確認してみましょう。
E103は代表値が10mAですが、8〜12mAとかなり幅がありますし、CRDに掛ける電圧も10Vです。
測ったグラフでも13Vくらいがそれですが、それでも14mAは流れています。
ま、それくらいバラツキが有ると言う事でしょう。
また、肩電圧Vkは3.5Vとあるので、このCRDには3.5V以上かけて使ってくださいと言うことも分かります。
肩電圧と言うのはグラフが右上がりから水平に切り替わる電圧のことです。
そのグラフもデータシートに有ります。
ここまでちゃんとデータシートに書かれてあるのに、記事を書く人は「定電流」と言う言葉だけでデータシートを全く見ずに作ってしまっています。
とりあえずLEDが光ってしまうのでおそらく電流値も確認していないと思います。