埼玉の酒 大試飲会
埼玉県の広報紙「彩の国だより」(月刊)は、編集も凝っていてなかなか面白い。10年10月号の最終ページは、「多酒埼彩! うまいぞ、すごいぞ、埼玉の地酒」の特集。「多酒埼彩!」とは、埼玉の「埼」と、埼玉が自称する「彩の国」の「彩」をもじったもので、うまい見出しである。
この見出しに魅かれて、読んでみると、知らないことがいくつも書いてある。埼玉では、「酒造りに適した酒米『さけ武蔵』を作り出し、17の蔵元で埼玉の地酒造りに挑戦している」「江戸時代から江戸に酒を出荷、現在、蔵元は35、日本酒出荷量は約2万klで、全国7位(09年)」「県酒造組合(事務局・熊谷市)では若手の杜氏育成に務めている」などだ。
11年度には、出荷量は約2万2千klで、兵庫、京都、新潟の酒どころに告ぐ第4位になったというから驚く。消費量も4位。一人当たりの年間消費量は36位になったが、1位の新潟県や2位の秋田県とは2-3倍の差があるという。県産酒のシェアは18%と低い。
さらにページの最下端まで見ると、「埼玉35酒蔵大試飲会 開催 各蔵自慢の地酒の地酒を飲み比べ」とあり、費用はわずか500円とのこと。県酒造組合が05年から毎年開いている。
10月5日午後4時、大宮区のソニックシティの会場には長い行列ができていた。入り口で、試飲用のお猪口と、銘柄名リストとアンケート用紙を渡される。
埼玉の酒を飲まなかったわけではない。「清龍」(蓮田市)は池袋店で大学に入って初めて飲んだ日本酒だった。昔コマーシャルでよく聞いた「清酒力士はうまい酒}の「力士」(加須市)は、有楽町駅前にも飲ませる店があった。その蔵元の釜屋は1748(寛延元)年の創業だ。秩父の銘酒「秩父錦」(秩父市)は都内でも店構えはどっしりとしている。
小川町の「帝松」も県内で飲んだことがある。「帝松」は全国新酒鑑評会で7年連続金賞を受賞しているという。後で知ったのだが、「秩父錦」も08年まで七年連続金賞を受けている。
試飲会ではどれを飲んでもうまかった。大吟醸や吟醸、古酒、「ひやおろし」・・・と取っておきの酒を飲ませてくれるからだ。吟醸酒ブームの時代、日本吟醸酒協会の試飲会に毎回、通ったのを思い出す。
「ひやおろし」というのも、今度初めて知った。春先にしぼった新酒を一度、火入して、夏の間冷たい蔵で熟成させ、秋になったら、二度目の火入れをせずに出荷する酒のこと。「秋の酒で、今が一番おいしい」とのことで、盃を重ねた。
地元さいたま市にも、創業100年を超える酒蔵が4つある。西区の「金紋世界鷹」の小山本家酒蔵は、「地産地消」をコンセプトに県産米の「日本晴」、蔵内湧水、蔵付き酵母「又兵衛酵母」を使って「埼玉県内限定」で売っている。岩槻区にはお城にちなんだ「大手門」や「万両」の鈴木酒造、見沼区には「九重桜」の大瀧酒造、旧浦和市の桜区には「旭正宗」の内木酒造(写真)があり、健闘している。
埼玉県には荒川と利根川の2つの大河があり、伏流水が豊富。利根川系に比べて、荒川系の方がやや硬度が高い。全体的に軟水で、酒質はやわらかく、口当たりの良いまろやかな酒ができると、県酒造組合のパンフレットにある。
環境省が08年にまとめた「平成の名水百選」に県内から4か所が選ばれた。小鹿野町の毘沙門水、秩父市の武甲山伏流水、熊谷市の元荒川ムサシトミヨ生息地、新座市の妙音沢で、県で4か所は、酒どころ新潟、富山と肩を並べる。
地元の酒蔵の座談会を読んでいると、埼玉の冬場の平均気温と乾燥した気候が酒造りにぴったり。気温が高過ぎると冷やさなければならないし、ものすごく寒いともろみを温めなければならない。埼玉の平均気温が最適だというのである。
埼玉の酒は淡麗とか濃醇とか一言で表現できる特徴は無いものの、料理と一緒に出すと評判がいいという話もあった。
埼玉県の広報紙「彩の国だより」(月刊)は、編集も凝っていてなかなか面白い。10年10月号の最終ページは、「多酒埼彩! うまいぞ、すごいぞ、埼玉の地酒」の特集。「多酒埼彩!」とは、埼玉の「埼」と、埼玉が自称する「彩の国」の「彩」をもじったもので、うまい見出しである。
この見出しに魅かれて、読んでみると、知らないことがいくつも書いてある。埼玉では、「酒造りに適した酒米『さけ武蔵』を作り出し、17の蔵元で埼玉の地酒造りに挑戦している」「江戸時代から江戸に酒を出荷、現在、蔵元は35、日本酒出荷量は約2万klで、全国7位(09年)」「県酒造組合(事務局・熊谷市)では若手の杜氏育成に務めている」などだ。
11年度には、出荷量は約2万2千klで、兵庫、京都、新潟の酒どころに告ぐ第4位になったというから驚く。消費量も4位。一人当たりの年間消費量は36位になったが、1位の新潟県や2位の秋田県とは2-3倍の差があるという。県産酒のシェアは18%と低い。
さらにページの最下端まで見ると、「埼玉35酒蔵大試飲会 開催 各蔵自慢の地酒の地酒を飲み比べ」とあり、費用はわずか500円とのこと。県酒造組合が05年から毎年開いている。
10月5日午後4時、大宮区のソニックシティの会場には長い行列ができていた。入り口で、試飲用のお猪口と、銘柄名リストとアンケート用紙を渡される。
埼玉の酒を飲まなかったわけではない。「清龍」(蓮田市)は池袋店で大学に入って初めて飲んだ日本酒だった。昔コマーシャルでよく聞いた「清酒力士はうまい酒}の「力士」(加須市)は、有楽町駅前にも飲ませる店があった。その蔵元の釜屋は1748(寛延元)年の創業だ。秩父の銘酒「秩父錦」(秩父市)は都内でも店構えはどっしりとしている。
小川町の「帝松」も県内で飲んだことがある。「帝松」は全国新酒鑑評会で7年連続金賞を受賞しているという。後で知ったのだが、「秩父錦」も08年まで七年連続金賞を受けている。
試飲会ではどれを飲んでもうまかった。大吟醸や吟醸、古酒、「ひやおろし」・・・と取っておきの酒を飲ませてくれるからだ。吟醸酒ブームの時代、日本吟醸酒協会の試飲会に毎回、通ったのを思い出す。
「ひやおろし」というのも、今度初めて知った。春先にしぼった新酒を一度、火入して、夏の間冷たい蔵で熟成させ、秋になったら、二度目の火入れをせずに出荷する酒のこと。「秋の酒で、今が一番おいしい」とのことで、盃を重ねた。
地元さいたま市にも、創業100年を超える酒蔵が4つある。西区の「金紋世界鷹」の小山本家酒蔵は、「地産地消」をコンセプトに県産米の「日本晴」、蔵内湧水、蔵付き酵母「又兵衛酵母」を使って「埼玉県内限定」で売っている。岩槻区にはお城にちなんだ「大手門」や「万両」の鈴木酒造、見沼区には「九重桜」の大瀧酒造、旧浦和市の桜区には「旭正宗」の内木酒造(写真)があり、健闘している。
埼玉県には荒川と利根川の2つの大河があり、伏流水が豊富。利根川系に比べて、荒川系の方がやや硬度が高い。全体的に軟水で、酒質はやわらかく、口当たりの良いまろやかな酒ができると、県酒造組合のパンフレットにある。
環境省が08年にまとめた「平成の名水百選」に県内から4か所が選ばれた。小鹿野町の毘沙門水、秩父市の武甲山伏流水、熊谷市の元荒川ムサシトミヨ生息地、新座市の妙音沢で、県で4か所は、酒どころ新潟、富山と肩を並べる。
地元の酒蔵の座談会を読んでいると、埼玉の冬場の平均気温と乾燥した気候が酒造りにぴったり。気温が高過ぎると冷やさなければならないし、ものすごく寒いともろみを温めなければならない。埼玉の平均気温が最適だというのである。
埼玉の酒は淡麗とか濃醇とか一言で表現できる特徴は無いものの、料理と一緒に出すと評判がいいという話もあった。