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「埼玉発世界行き」奨学金

2012年02月27日 13時42分13秒 | 県全般

「埼玉発世界行き」奨学金

「グローバル人材育成」という言葉がにわかにクローズアップされてきた。若い世代の「内向き志向」を克服し、広い世界に目を向けさせようと、文部科学省などが中心になって旗振りしているものだ。

県の広報紙「彩の国だより」の11月号を見ると、グローバルに活躍できる人材を育成しようと、県ではさる11年度から県国際交流協会に「埼玉グローバル人材育成基金」(10億円)を創設し、「埼玉発世界行き」奨学金の支給を開始したとある。

毎年250人超、14年度までに約1100人を海外の大学や高校に送り出し、基金と留学生の数は4年連続で都道府県の中でトップの実績だという。

終戦後、米国留学のためフルブライト留学制度があった。今と違って若い世代が「外向き志向」に燃えていた頃、その留学は憧れの的だった。

ところが最近では、留学は進学、就職に不利になるかもと、日本の留学生の数は04年度の8万人台をピークに11年度には6万人台を割っている。

留学に伴う経済的負担を軽減し、留学促進支援のため、今や県の段階でも奨学金制度が設立されたというから驚いた。

大学生を対象にする学位取得コース、協定留学コースと高校生留学コースの3つがある。いずれも給付型。

学位取得コースは一人年間最大100万円が補助され、4年間も可能。

学位取得は県などによる選考があり、競争率も高い。米国では、コロンビア、カリフォルニア州立、ニューヨーク州立大学やドイツやフランスの大学に留学している。

協定留学コースは、海外の大学と交換留学などの協定(授業料免除協定)がある大学の学生が対象で、半年以上で1年が多い。渡航費など一人最大20万円補助。

高校生留学コースは、3か月以上。半年から1年が多い。一人最大60万円を補助。学校長の許可が必要。

13年度では、学位取得が20、協定留学が200、高校生が61の計281人が奨学金を与えられた。

留学生では女性の方が3対2の割合で多く、大学生では、埼玉大、独協大、東京国際大などの学生が多いという。

東京都や大阪府でも奨学金制度はあるが(13年度)、高校生向けで、本県の場合、大学や大学院生も含まれているのが評価されている。

県の取り組みは、地域における先進的な取り組みを表彰する「プラチナ大賞」(総務省など後援)の第2回(14年)で審査員特別賞を受賞した。「プラチナ大賞」とは、アイデアあふれる方法で、社会や地域の課題を解決している自治体や企業の取り組みを賞というかたちでたたえようとするものだ。

せっかくの制度なのに、応募者が伸び悩んでいるのが頭痛の種だ。