ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ 

埼玉県について新聞、本、雑誌、インターネット、TVで得た情報に基づきできるだけ現場を歩いて書くエッセー風百科事典

「ゆるキャラの首都」 羽生市

2013年12月02日 14時57分52秒 | 市町村の話題
「ゆるキャラの首都」 羽生市

「ゆるキャラ」の語がひとつピンと来なかった。

ゆるキャラとは縫いぐるみのことらしい。ゆるとは縫いぐるみのぶかぶかした印象から。キャラとはキャラクターの略語。人形もキャラクターなのか。中に入っている人は、夏などは汗だくになり、大変だろうと同情する。

10年11月29日の各紙の埼玉版は、羽生水郷公園で第1回ゆるキャラさみっとが開かれ、1都18県の85体(県内からは45)が集合、会場には5万人が集まったと伝えた。「この市にこれほどの観光客が来たのは記憶にない」と担当者が語っていたほどだった。

「埼玉県はゆるキャラ王国といってもいい」と、羽生市の河田晃明市長は語っている。その王国の先陣を切っているのがその羽生市だ。この市は、県のゆるキャラの先進地なのである。

ゆるキャラは埼玉県にとっては特別の意味がある。「海なし、温泉地なし、世界遺産なし」。観光資源ときたら“無い無い尽くし”だからである。

上田清司知事は10年1月、「埼玉『超』観光立県宣言」を出した。本当にほとんど無いのだから、観光というなら、「超」的な知恵を絞って、イベントを考え出し、人に来てもらわなければならない。その柱の一つが、このゆるキャラ、もう一つはB級グルメである。

知事はこの宣言で、「63全市町村に12年までにゆるキャラとB級グルメを」と呼びかけた。ゆるキャラ制作費やPR活動費の2分の1(上限百万円)を県の「ふるさと創生資金」で補助しようというのである。

上田知事は、県人ではなく、福岡県大牟田市出身。それだけに埼玉県を客観的に見ることができる。なかなかのアイデアマンだ。

羽生市に何があるだろう。

東に加須市、西に行田市。田山花袋の「田舎教師」の舞台だ。その像が立っている。

水郷公園の宝蔵寺沼には、自生する国内唯一の天然記念物の食虫植物「ムジナモ」がある。そこで出来たキャラが「ムジナもん」。その頭の横についているのがモロヘイヤ。羽生の特産だ。

その原産地エジプトに3年半いたので、モロヘイヤについてはよく知っている。日本に紹介した故人も私の知人だった。最高の健康食品で、その健康効果の全貌が分かれば、再び大ブームになるだろう。私も暑い時によく買う。

ピラミッドを造ったのはモロヘイヤだと聞いたことがある。クレオパトラも食べた

羽生の飲食店組合はモロヘイヤ入りの「王様のワンタン」をつくった。暑い時には最適だろう。このほか、地ビール工房「キャッセ羽生」は、国際ビールコンテストで7年連続受賞。名物「いがまんじゅう」は農水省の全国郷土料理百選に選ばれた。

ゆるキャラと言えば、最も有名なのは、「彦根のひこにゃん」だ。10年には特別ゲストで招待されて喝采された。羽生市はゆるキャラで「東の羽生、西の彦根」を目指した。

3回目は12年11月24、5日、36都道府県から前年の2回目を80以上回る265キャラ(県内からは60以上)が参加した。2日間で前年の2倍以上の29万5千人が見物に来た。市の人口約5万6千人の5倍を超す。(2回目の11年は、30都道府県から172キャラが参加、二日間で13万5千人の人出)。

全国から865キャラが参加する「ゆるキャラグランプリ2012」(投票総数650万票)の発表があり、1位には前年2位の「バリィさん」(愛媛県今治市)、前年6位だった深谷市の「ふっかちゃん」 (写真)は5位に選ばれた。

この1か月前に開かれた彦根のゆるキャラ・イベントに集まったのは244キャラだったので、羽生市の方が多かった。羽生市は、日本の「ゆるキャラ」の首都になったのである。

14年8月2日には、羽生市中央の「羽生市民プラザ」に、「くまモン」「ふなっしー」など65体のキャラクターのぬいぐるみとキャラクター・グッズ約500種を展示する日本で初めての「キャラクターミュージアム」(約80平方m)もオープン、15年5月4日リニューアルした。

日本ご当地キャラクター協会(本部・滋賀県彦根市)が設置、羽生市観光協会が管理・運営する。


コバトン シラコバト 越谷市

2013年12月02日 10時21分01秒 | 県全般
コバトン シラコバト 越谷市

埼玉県のマスコットである「コバトン」のことを書いているうちに、50年近くこの県に関係したり、住んだりしているのに、そのモチーフになった県の鳥「シラコバト」の実物を見たことがないことに、ハタと気付いた。

そう言えば、さいたま市の見沼田んぼにある「さぎ山記念公園」の森にサギが群れているのを見た記憶も無い。「埼玉をまともに見直してみよう」と、本気になったのはまだこの一年くらいのことなのだから。

地元の人に聞いてみても、「シラコバトを実際に目にしたことはほとんどない」という。

そこで思い出したのが、越谷市の「キャンベルタウン野鳥の森」。キャンベルタウンは4年近くいたオーストラリアのシドニーに近く、越谷市の姉妹都市。訪ねたこともある。野鳥の森は、高く大きなネットで周りをすっぽり囲んだ中で一部を放し飼いしたりしている施設である。

「野鳥の森」は、姉妹都市提携10周年を記念して、同市から鳥の寄贈を受けて建設された。

オーストラリア勤務を終えてすぐ、訪ねたのはもう何年前のことか。シラコバトはオーストラリアに関係のない鳥ながら、訪ねてみると、「入ったらすぐ右手の小屋にいますよ」。

雌雄二匹いるのを外から狙ってみたものの、警戒心が強いので、小屋の隅に逃げられ、金網のため小さなデジカメではうまく撮れない。

受付にいた親切な若い職員に頼んで、中に入ってもらって、撮ってもらったペアがこの写真である。

シラコバトは、キジバトより小型で、体型はほっそりとしていて、小顔がかわいい。頭部にかけて白っぽく、なんともスタイルがいい。思わず惚れ込んでしまう。

首の後ろに黒色の横帯があるのが特徴で、一目見たらすぐ分かる。英語では、Collared Dove。「首輪付きの鳩」。ほんとに美しくかわいいので江戸時代に飼い鳥として、外国から持ち込まれ、それが放鳥され、野生化したとのだという。

「ポポーポウ」「ポポーポウ」と鳴くそうで、童謡の「ぽ、ぽ、ぽ、鳩ぽっぽ」は、この鳴き声を模したものだとか。それほど身近に沢山いた鳩だったのだ。

それが、繁殖地だった屋敷林が減り、乱獲もあって減少。1956年国の天然記念物、65年県の鳥、88年越谷市の鳥に指定された。どういうわけか越谷市を中心とした地域に住んでいるからである。

ちゃっかり鶏場や豚舎の餌のおこぼれにあずかろうと、その周辺で目についたのに、鳥インフルエンザ対策で鶏舎防御シートが張られ、侵入口がなくなり、一時増えかけていたのに、また減少の道をたどり、レッドリスト(絶滅危惧種Ⅱ類)に挙げられたまま。

この野生の森には、オーストラリアの珍鳥クカバラやエミューなどもいる。クカバラは、「笑いカワセミ」とよばれ、ゴルフ場の木の上にとまっていて、ミスプレーをすると「ク、ク、カ、カ」と鳴いたりする世界最大のカワセミの仲間。

エミューは、ダチョウに似た羽根をなくした大きな鳥。好奇心が旺盛、後ろからガイドブックをのぞき見したりする面白い習性の持ち主。オーストラリアにはめずらしい鳥も動物も多い。