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新古今和歌集の部屋

前田家本 方丈記 飢餓9 稚き子の猶乳を吸いつつ

このなをちをすいつゝふせる

なともありけり。仁和寺に隆曉

法印といひける人かくしつゝかすも

しらす死ぬ事をかなしみてひし

りあまたかたらひてそのかふへの

みゆることにひたいに阿字をか

きて縁をむすはしむるわさをな

むせられける。人かすをしらむとて

四五月をかそへたりけれは、京のう 

※阿は梵字

 (いとけなき)

子の猶乳を吸いつゝ伏せるなどもありけり。

仁和寺に隆曉法印と云ひける人、斯くしつゝ、数も知らず死ぬ事を悲しみて、聖、数多語らひて、その頭の見ゆる毎に額に阿字を書きて、縁を結ばしむる業をなむせられける。

人数を知らむとて、四五月を数へたりければ、京のう 


 (参考)大福光寺本

子ノナヲチヲスイツツフセルナトモアリケリ

仁和寺ニ隆暁法印トイフ人カクシツゝ数モ不知死ル事ヲカナシミテソノカウヘノミユルコトニヒタイニ阿字ヲカキテ縁ヲ結ハシムルワサヲナンセラレケル

人カスヲシラムトテ四五両月ヲカソヘタリケレハ京ノウ

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