新古今和歌集の部屋

翁草 洛陽(天明)大火3


同申上刻 雨振出南風烈敷。所々の火勢益熾なり。本圀寺へ北の方より火移。寺内を南へ焼廣がり、西本願寺の皷樓へ火移り、門焼失。此火風上をさして東南へ焼廣がる。
同中刻 上京新町辺より千本通を限り西陣を北へ焼廣がる。但千本通迄は不出。

同下刻 出水通西の行詰七本松通にて寺四軒焼。北の方紫野今宮御旅まで焼抜る。
同酉上刻 乾の方より大風起り雨頻に降。火勢大に熾、東南吹立。
戌刻 御築地北の方道正庵辺より堂上衆屋敷々々へ火付。此時分下にて問屋町へ火移。二丁計焼。何方よりの飛火やらん。不審。

同亥刻 公家衆屋敷所々へ火移。
誓願寺は先刻未刻寺中限に焼止りしが焼出されの者夥く本堂の内或は掾の下などへ入て雨風を凌居るに此時に至り車輪の如き飛火三つ四つ來。忽然上り暫時に焼失す。仍怪我人殊に多し。
同子上刻 北方鞍馬口へ焼抜。

同中刻 東本願寺此時刻に至。終に裏通新町の方より台所へ火移。本堂・阿弥陀堂・大門其外諸堂へ火移。丑寅刻に悉焼失す。

同下刻 公家衆屋敷多く焼失す。

同丑上刻 上京寺町辺より木屋町の方を南へ行。下御霊・革堂抔へ火移る。

同中刻 御所不殘焼。此時雨止。

同下刻 上京より所々焼廻り木屋町三條下る松平土佐守屋敷の際にて焼留る。是洛中の焼止なり。

同暁寅上刻 洛東頂妙寺新地へ飛火。二條新地所々焼廣。
同中刻下刻に至 火洛中洛外に充滿し一同に火の手立昇る。
二月朔日卯 一天に所々一面に焼崩下火と成り亥刻より風も少し止む。

同辰巳刻 頂妙寺及此辺の新地町々悉焼盡し東方寺院の際にて焼止り南は壇王法輪(林)寺の半町計北の方町家にて焼止。



同午刻 洛中洛外大方消火。所々火の入たる土藏或は御築地追々焼出し此処彼処出火。
同二日雨始霽。餘煙の中日輪朦朧として如光り物。
同三日四日 火の入たる土藏所々焼出。
同五日六日に至り餘焔漸消。

申の上刻 = 15時台
申の下刻 = 16時台
酉の上刻 = 17時台
酉の下刻 = 18時台
戌の上刻 = 19時台
戌の下刻 = 20時台
亥の上刻 = 21時台
亥の下刻 = 22時台
子の上刻 = 23時台
子の下刻 = 0時台
丑の上刻 = 1時台
丑の下刻 = 2時台
寅の上刻 = 3時台
寅の下刻 = 4時台
卯の上刻 = 5時台
卯の下刻 = 6時台
辰の上刻 = 7時台
辰の下刻 = 8時台
巳の上刻 = 9時台
巳の下刻 = 10時台
午の上刻 = 11時台
午の下刻 = 12時台
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