257 神無月御室の山の山颪に紅くくる竜田川かな 新千載集
かむなつきみむろのやまのやまおろしにくれなゐくくるたつたかわかな
三室の山や→B本、下颪に→松平本 下風に→神宮本・春海本 紅たたる→C本
258 梢には残る錦も留まりけり庭にぞ秋の色は裁ちける
こすゑにはのこるにしきもとまりけりにはにそあきのいろはたちける
残る錦と→C本、庭にも秋の→C本・京大本・神宮本 色は立ちけり→B本・京大本・ 色立ちけり→C本
259 見るままに冬は来にけり鴨の居る入江の汀薄氷りつつ 新古今
みるままにふゆはきにけりかものゐるいりえのみきはうすこほりつつ
見ることに→河野本 入江の氷→B本 入江の凪は→三手本 入江の渚→京大本 薄氷しつ→A本・松平本 薄氷して→C本・京大本・三手本・岩崎本・神宮本・国会本・河野本
260 時雨れつつ四方の紅葉は散り果てて霰ぞ落つる庭の木の葉に 風雅集
しくれつつよものもみちはちりはててあられそおつるにはのこのはに
降り果てて→B本・正治初度 四方の紅葉葉降り果てて→風雅 庭の木陰に→A本・松平本、岩崎本、三手本、文化九本
261荒れ暮らす冬の空かな掻き曇り霙れ横切り風競ひつつ
あれくらすふゆのそらかなかきくもりみそれよこきりかせきほひつつ
あれてふす→B本 かきくりり→神宮本 霰横切る→春海本 霙横切る→国会本・河野本・益田本 風きほひて→岩崎本
262 葦鴨の払ひもあへぬ霜の上に砕けて掛かる薄氷かな 続古今
あしかものはらひもあへぬしものうへにくたけてかかるうすこほりかな
払ひぞあへぬ→岩崎本・三手本
263 霰降る後の笹原節侘びて更に都を夢にだに見ず 続古今
あられふるのちのささはらふしわひてさらにみやこをゆめにたにみす
野路の篠原→C本・京大本・神宮本・正治初度百首
264 狭筵の夜半の衣手冴え冴えて初雪白し岡の辺の松 新古今
さむしろのよはのころもてさえさえてはつゆきしろしをかのへのまつ
小莚に→B本・森本 初雪白く→春海本
265 群れて立つ空も雪気に冴え暮れて氷の閨に鴛鴦ぞ鳴くなる 風雅集
むれてたつそらもゆきけにさえくれてこほりのねやにをしそなくなる
空ぞ雪気に→岩崎本・三手本 浅暮れて→C本・神宮本 消え暮れて→岩崎本・三手本 さしくれて→春海本 鴛鴦ぞ鳴く也→松平本・春海本・神宮本
266 身に沁むは庭火の影も冴え上る霜夜の星の明け方の空
みにしむはにはひのかけもさえのほるしもよのほしのあけかたのそら
身に沁むに→C本 庭火の影も→B本 庭の火の影に→岩崎本 消え昇る→C本・岩崎本・森本 冴え残る→京大本 さし残る→春海本
267 天つ風氷を渡る冬の夜の乙女の袖を磨く月影 新勅撰
あまつかせこほりをわたるふゆのよのをとめのそてをみかくつきかけ
冬の夜は→森本 本歌:天つ風雲の通ひ路吹き閉じよ乙女の姿暫しとどめむ
268 日数経る雪気に勝る炭窯の煙も寂し大原の里 新古今
ひかすふるゆきけにまさるすみかまのけふりもさひしおほはらのさと
雪気のまさる→B本 煙も寒し→河野本
269 海の原深くや冬の成りぬらむ氷ぞ繋ぐ海人の釣り舟 続後撰
わたのはらふかくやふゆのなりぬらむこほりそつなくあまのつりふね
本歌:海の原八十島掛けて漕ぎ出でんと人には告げよ海人の釣り舟
270 人はぬ都の他の雪の中も春は隣に近付きにけり 続後撰
ひととはぬみやこのほかのゆきのうちもはるはとなりにちかつきにけり
雖入勅撰不見家集歌にのみ及び重出多数。春の隣りに→岩崎本・三手本
271 自づから長らへば猶幾度か老いを迎へて哀れと思はむ
おのつからなからへはなほいくたひかおいをむかへてあはれとおもはむ
哀れにおもはむ→A本・松平本・C本・京大本・神宮本
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