新古今和歌集の部屋

山寺 都良香、高丘相如 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション




三千世界

  眼前尽

十二因縁

  心裏空

泉飛雨洗

  聲聞夢

葉落風吹

  色相秋



和漢朗詠集 山寺
 晩夏遊竹生島述懐 都良香
三千世界眼前盡 三千世界は眼(まなこ)の前に尽き
十二因縁心裏空 十二因縁は心の裏に空し

意訳
琵琶湖を一望すれば、三千世界の全てが眼前に見尽くされ、
十二因縁の煩悩は心の中まで取り払われるようだ。


石山寺作 高相如
泉飛雨洗声聞夢 泉飛んでは雨声聞の夢を洗ふ
葉落風吹色相秋 葉落ちては風色相の秋を吹く

意訳
石山寺の滝の飛沫の雨のような音が、声聞の修行僧の妄夢を破る。
又、木葉が落ちては、風が諸行無常の秋を吹いて知らせている。




令和元年12月20日 肆點參
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