返し
わすれなばたれかは人をうらむべき
うきにをくれてしなばわれかは
おとこ
みくまのゝうらのはまゆふもゝがさ
ねこゝろはあらねどあはぬきみかな
女かへし
みくまのゝうらのはまゆふ、、され
ばわれもひとへに思やはする
また返事
しのゝめのあくればきみはわすれ
けむいつともわかぬわれぞくるしき
あめふるとてこぬおとこをうら
みければ
おもふことならずながらによのなかに
ふればやあめにわれさはりけむ
つきもへだゝりにけりと女の
いへる返事に
兼輔集
忘れなば誰かは人を恨むべき憂きにおくれてしなばわれかは
み熊野の浦の浜木綿百重ね心はあれどあはぬ君かな
み熊野の浦の浜木綿夕されば我もひとへに思ひやはする
東雲の明くれば君は忘れけむいつともわかぬ我ぞ悲しき
思ふことならずながらに世の中に降ればや雨に我さはりけむ