かくばかり
へがたくみゆる
世中に
うらやましくも
すめる月かな
拾遺集 雑春
ひえの山にすみ侍りけるころ、人のたき物
をこひて侍りけれは、侍りけるままに、す
こしを梅の花のわづかにちりのこりて侍る
えだにつけてつかはしける
如覚法師
春すぎてちりはてにけりむめのはなただかばかりぞえだにのこれる
拾遺集 雑上
法師にならんと思ひたち侍りけるころ、月
を見侍りて
藤原たかみつ(高光)
かくばかりへがたくみゆる世中にうらやましくもすめる月かな
新古今和歌集巻第十六 雜歌上
題しらず
藤原高光
見ても又またも見まくのほしかりし花の盛は過ぎやしぬらむ
よみ:みてもまたまたもみまくのほしかりしはなのさかりはすぎやしぬらむ 定雅 隠削
意味:見ても又見たくなる。何度見ても見飽きることがないほどの故郷の花は今頃花の盛りを過ぎてしまったのだろうか。
備考:新古今注
藤原高光ふじわらのたかみつ(940?~994?)
法名如覚。多武峯少将入道と呼ばれる。師輔の子。従五位上右近衛少将。三十六歌仙の一人。
令和6年10月27日 貳點貳/陸