後江相公
欲充今日新飢爨泣賣先朝舊賜筝
あまつかぜ雲のかよひぢふきとぢよ
をとめのすがたしばしとゞめむ 良岑宗貞
遊女
賀蘭暹
秌水未鳴遊女佩寒雲空満望夫山
以言
翠帳紅閨万事之礼法雖異
舟中浪上一生之歓会是同
順
和琴緩調臨潭月唐櫓高推入水煙
後江相公
今日の新なる飢爨(きさん)を充んと欲れば、泣く泣く先朝の旧賜筝を売る。
古今集 雑歌上
五節の舞姫を見てよめる 良岑宗貞(遍昭)
天津風雲のかよひぢ吹きとぢよをとめのすがたしばしとゞめむ
寄所思佳人 賀蘭暹
秋の水には未だ遊女の佩(おもの)を鳴らさず。
寒雲空く望夫山に満つ。
遊女序 大江以言
翠帳紅閨、万事の礼法異りと雖、舟中の浪の上の一生の歓会これ同じ。
詠遊女行 源順
和琴、緩く調て潭月(たんぐゑつ)に臨む。
唐櫓(からろ)、高く推して水煙に入。
しらなみのよするなぎさに世をすぐす
あまのこなればやどもさだめず 海人詠
老人
白
昔為京洛聲華客今作江湖潦倒翁
白
老眠早覚常残夜病力先衰不侍年
白
再三憐汝非他事天寶遺民見漸稀
菅三品
紅榮黄落一樹之春色秋聲結
綬抽簪一身之壮心老思
新古今和歌集巻第十八 雑歌下
題知らず よみ人知らず
白波の寄する渚に世をすぐす海士の子なれば宿もさだめず
よみ:しらなみのよするなぎさによをすぐすあまのこなればやどもさだめず 有定家雅 隠
意味:私ども遊女は、白波の寄せる渚の舟の上で客を待って世を過ごす海人の子なれば、定まった宿を定める事もありませんよ。
備考:和漢朗詠集 遊女。源氏物語夕顔に引き歌として記載。
晏坐閑吟 白居易
昔は京洛の声華なる客為り。今は江湖の潦倒たる翁と作る。
睡覚 白居易
老眠の早覚て常に夜を残す。病の力は先衰て年を待たず。
贈康叟 白居易
再三汝を憐む他に非ず。天宝の遺民は見ふ漸く稀なり。
為清槙公請致仕 菅原文時
紅栄黄落す、一樹の春の色秋の声。
綬を結簪を抽ぞ、一身の壮なる心老たる思。